お久しぶりです。

 

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32243504/

Watch-and-wait strategy for type A intramural haematoma and acute aortic dissection

with thrombosed false lumen of the ascending aorta: a Japanese single-centre experience

Eur J Cardiothorac Surg

 

北里大学からの論文

type A intramural  hematoma、type A血栓閉塞型ともいいますか。

・上行径50 mm以下

・pain scale 3/10以下

・上行にULPなし

の時に、まず、経過観察するという方針はよいですよという話。

watch-and-wait strategyのGroup W (n=46)では、院内死亡4%、手術施行17%だったと、

ただ、pericardial effusion drainageを17%にしてる。

 

手術に突入したGroup Sとの比較は下の表。

あと、手術拒否したGroup Dというのもある。こちらは4割近く亡くなってる。

 

  Group W Group S
Zone 0 ULP 0 16
Zone 2 ULP 0 1
Zone 3 ULP 8 3
Zone 4 ULP 22 2

Zone 4 patent false lumen

6 0
In-HP mortality 4% 14%

 

この表が結果のポイントかと思います。

Group Wでは、ほとんどZone 4にULPかpatent false lumenを認めてますね。

ということは、retrograde type Aになりますね。

 

Group Sは、大部分がZone 0にULPを認めてます。type Aということですね。

この辺が、strategyとoutcomeに影響してるかと。

 

確かに、retrograde type Aで血栓閉塞していたら、

前の3つの条件あてはまれば、まず経過観察でいいかなとも思いますね。

 

ただ、心嚢ドレナージを結構やってるのが不安な材料かな。

 

あとは、日本の様に、心臓外科チームで主治医やresidentが継続して患者さんを管理する場合は

このような方針でもいいですがね。

このstudyでは結構まめにCTとってるし、血圧もsBP<110と大分厳しい。

アメリカみたいなガンガン麻薬で鎮痛する場合はちと怖いかなとも思います。

 

ULPがdistal archとか下行にあって、retrogradeの診断がついてればいいですけど、

完全に血栓閉塞していて逆にentryの位置が不明な場合注意が必要かな。

 

自分だったら、少し待って手術しちゃうかなとも思います。

 

May 2, 2021

AN