透析患者さんの人工弁選択の話。

 

大学勤務時代に、なぜか透析管理のバイトをしてました。

こ、こんな世界があったのか、と体の震えが止まらないくらいの衝撃を受けました。

その後、暇があれば日本の透析医療に貢献してきました。

 

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32778466/

Mechanical or biological heart valve for dialysis-dependent patients? A meta-analysis

 

透析患者さんの人工弁選択の話。

ちなみに、2020 ACC/AHA gidelineでは、透析患者に対して、機械弁はclass II、生体弁はclass IIIとなってます。

 

このpaperでは、24のretrospective study、約10000 case(機械弁(MP): 6934、生体弁(BP): 3230)を分析してました。

結構大仕事です。

正直、統計的なものはよく分からないのですが、

結果として、

・Long-term survivalはAVRでは、MP群が優れていた。MVRに関しては差がなかった。

・出血系のeventは、INRが2.5以上になると、MP群で多い、INRが2.5以下では関係なかったと。

しかし、頭蓋内出血のような重篤な出血は差がなかった。

・人工弁不全(SVD)はMP群の方が優れていた。

 

よくある話ですが、まず、一般的に若年者に機械弁が、高齢者に生体弁が使用されることが多く。

その辺がこの結果にどのように影響しているかがあります。

あとは、透析患者さんのlife expectancyも改善しているのでね。

 

しかし、今はTAVR/TMVRのvalve-in valveがありますのでね。

 

循環器学会のgidelineでは、

 

透析患者に対する人工弁の選択は議論のあるところである.2006年 ACC/AHA ガイドラインでは,人工弁
耐久性に注意する疾患として腎機能障害,特に維持透析下にある症例に対する弁置換術に言及している.生体弁
では石灰化によるSVDが,機械弁では出血合併症が多いことが知られているが,最近の研究では,両者の成
績に差はなく,維持透析症例に生体弁を避ける必要はないとも報告されており,まだ結論は出ていない.個々の
症例で話し合って決めるしかなく,今回のガイドラインでは,どちらかの弁を推奨するということはしない.

 

と、書かれていました。

 

本日はcheat dayというわけではありません。

 

March 16, 2021

AN