こんにちは。マサリク大学医学部4年の新井葉奈です。

先日(10/13/2024)、マサリク大学を2021年に卒業後、現在ドイツで初期研修医として働いている MUDr. Hadi Alhosami のセミナーに参加したので、内容をシェアしたいと思います。

<基本情報>

 

セミナータイトル:Day in the life of a doctor in Germany

https://www.instagram.com/p/DA2ldhTNBWY/?hl=en

 

主催:MIMSA (Masaryk International Medical Students Association)
Masaryk International Medical Students Association | MIMSA | Czechia (mimsaonline.com)

スピーカー:MUDr. Hadi Alhosami

  • シリア出身
  • 2021年6月 マサリク大学医学部卒
  • 現在、 ドイツのHassen(ヘッセン州)で内科/循環器科にて初期研修中

<目次> 

 

  1. Why Germany? – どうしてドイツを選んだのか?
  2. Steps to work in Germany -IMGとしてドイツで働くまでのステップ
  3. My Day to Day – 日々の仕事内容
  4. Life work balance – ライフワークバランス
  5. Pros & Cons – メリット&デメリット

 

1. どうしてドイツを選んだのか?>

 

Dr.Hadiは専門分野の選択が柔軟である事と給与面、可能性が広がるという3つの観点からIMG Doctorとしてドイツで働くことを決意したそうです。

 

①専門分野の選択が柔軟

→国試の成績によって専門が決まってしまうフランスなどと比べて、ドイツでは自分の興味に基づいて専門を選ぶことができ、途中での変更も比較的容易だそうです。

②給与面でも十分な待遇

→内科/循環器科の研修医として働くDr. Hadiのお給料は月に€5000 (2024年10月現在、日本円で約820000円)これにプラスして当直代が支給されます。

③可能性が広がる

→ドイツで働く/ドイツ語を使って医療行為が出来るとドイツだけではなく、オーストリアやスイスのドイツ語圏でも働くことが出来るため、キャリアの選択肢が広がります。

 

2IMGとしてドイツで働くまでのステップ>

 

1.ドイツ語の習得

ドイツ語の習得は必須で、日常会話レベルのB2に加えて、医療の現場で使う専門ドイツ語のC1レベルが求められます。

ドイツ語の医療専門用語を理解するために、Fachsprachprüfung(FSPという試験に合格しなければならないそう。

Dr. HadiはB2レベルまでは独学、それ以降はGo Academyという語学学校が提供する医療専門のドイツ語コースを使用していたそうです。

 

※Fachsprachprüfung(FSP)
FSPは、ドイツ語での医療用語やコミュニケーション能力を測る試験であり、IMG doctorにとって一番のハードルになります。

合格することで、ドイツでの医療活動が正式に認められます。

 

  1. 医師免許の承認(Approbation
    ドイツには16の州があり、それぞれで医師免許の承認プロセスが異なります。

書類の提出や審査に関しても州ごとに異なる基準があり、処理速度もさまざまです。

Dr. Hadiのおすすめは、処理が比較的早いことで知られているトレンガ、デュッセルドルフ、バーデン=ヴュルテンベルクなどの州です。

 

  1. 臨床実習 (Clinical attachment)
    ドイツでは正式な職に就く前に、臨床実習を行うことが強く推奨されています。これはドイツの医療システムに慣れ、病院とつながりを持つ良い機会になります。

Dr. Hadiも、このステップは座学で学習したドイツ語を実際に医療現場で使う練習ができ、また病院とのコネクションも出来るので、ドイツでの就職を成功させる鍵だと何度も強調していました。

 

3. 日々の仕事内容>

 

Dr. Hadiの勤務時間は8:00-16:30の8時間。当直は月に平均で5-6回ありますが、夜当直または週末の当直を選べるのでワークライフバランスが保たれています。

勤務時間や休日がしっかりと守られ、超過勤務には年末に適切な報酬が支払われるか、追加の休日が付与されます。(日本にはこのような制度があるのでしょうか?)

スタッフ不足時や忙しい時期には、残業をすることもあるけれども、趣味や運動に使う時間もしっかり取れるそうです。

 

循環器の初期研修は計6年、Dr. Hadiは内科の研修もしているので全部で7年かかるそうです。初期研修医は研修中に習得するべき手技などが記されたログブックが支給され、そのログブックに日々の業務を記入します。

Dr. Hadiが勤務されている病院では、高度な技術を必要とする手技は、チームとしての指導はなく、モチベーションや高い志を持っている人は積極的に上級医にアドバイスや指導を求めないといけないと仰っていました。

 

 

4.ライフワークバランス>

 

<3.日々の仕事内容>でも書いた通り、医者の勤務体制がしっかりと守られているため、プライベートを充実させることが出来ます。Dr. Hadiも休日には趣味の時間やジムで体を鍛える時間があるそうです!

 

5.メリット・デメリット>

 

メリット

  • 専門分野の選択が柔軟にできる
  • 仕事に見合った収入
  • 将来の可能性が広がる

 

デメリット

  • 言語の壁
  • 専門によっては競争が激しい(特にRadiology, Psychologyは人気、NeurologyやInterventional radiologyもやや人気)
  • 主体的に計画を立てて、自己研鑽をする必要がある。
  • 高度な技術を取得するには、残業や上級医に頼み込まないといけない

 

<まとめ>

 

IMG Doctorとしてドイツで働かれているDr. Hadi のセミナーはドイツでのキャリアを考える日本の医学生や医療従事者にとって、大変参考になる内容でした。

Dr. Hadiの体験談を聞く限り、ドイツで医師として働くことは、言語試験や書類の準備、文化の違い…といったハードルはあるものの、しっかりと準備をして挑めば充実したキャリアを築く事が可能だと感じました。

 

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以上がセミナーのまとめになります。

漏れや間違い、勘違いがあるかもしれません。御了承ください。

長くなりましたが、ここまでのご清覧ありがとうございました。

 

新井葉奈