管理職という立場上、残業もしくは休日出勤なんて余程の事がない限りないんですが….
事の発端は先週の木曜日の夕方、仕事が終わって帰ろうとした時、
MND (Motor Neurone Disease )CNS のジャンがオフィスに訪ねてきました。
どうにも雰囲気が切羽詰まっている様で、話を聞くと…..
最近緩和ケアを始めたALS の患者さんの為にエスコートスタッフを探しているとの事。
実は、患者さんの息子が週末に結婚式を挙げるらしく、是非参列したいのだそうだ。
でも、何分にも急なお願いで、しかも聞くと患者さんの容体が余り良くない。
2週間前に肺炎起こしてICUに入院していたけど、抜管が成功しなくって…
(この時点でDNR CPRになる予定でしたが、家族が反対した為)
結局、気管切開してNIV set up。しかもICU入院中に心停止を2回程起こしたらしい。
その後、治療困難との事で、先週から緩和ケアを始め、ホスピスに転院との事。
本来ならばホスピスが患者さんの願いを聞くべく、色々とアレンジするんですが、
状態が不安定で、いつどうなってもおかしくない状況に、ホスピスがアレンジするのを断ったらしい。
でも、患者さんにしてみれば、人生の最後、息子の一世一代の晴れ舞台に是非参加したいと強く希望しています。
でもホスピスには断られ….で、家族がジャンに最後のお願い相談したと言う訳。
ジャンと少し話をして、少し条件付ならOKしようと決定。
そのお願い、私達が叶えてあげましょう!!とお返事しました。
そうは言っても、ジャンが私のオフィスに来たのは夕方5時。
通常業務が終わる時間は、何処のオフィスに連絡しても時間外なので、
明日また時間内に電話してねって、適当な対応をされてしまいます。
Pramedicスタッフをまず確保するためにいろんな会社に電話をしましたが、即答はなし。
が、金曜日の午後になって、スタッフが確保できるとの連絡をもらい、
土曜日にある結婚式へ行ってきました。(因みにジャンはキャンセル出来ない用事があるとかで来ませんでした…)
当日は、11時にホスピスで患者さんとPramedicスタッフと待ち合わせ、申し送りを受けてLet’s Go!
秋晴れの中で行われた結婚式は本当に素敵なものでした。そして何事もなく、
4時間もの長い間モルヒネも使わず参加していた患者さんは少し疲れた様子があるものの、本当に嬉しそうでした。
ちょっぴり疲れた帰りの救急車の中で、ふと思い出した本があります。
“ The Top Five Regrets of the Dying” by Bronnie Ware (2011)
この本はあるオーストラリア人看護師が末期患者と接する中で、彼らが話した後悔の言葉….を書いています。
そのトップ5 とは、
- 1.もっと自分らしく生きればよかった
- 2.あんなにガムシャラに働かなくてもよかった
- 3.言いたいことは、はっきりと言えばよかった
- 4.もっと友達と連絡を取ればよかった
- 5.もっと自分の幸せを追求すればよかった
今回の出来事が上記のトップ5に当てはまるかは分かりませんが、
少なくとも患者さんの希望を叶える事が出来てよかったなぁとParamedicのスタッフと話なしながら帰路に着きました。
遠く離れたオフィスから駆けつけてくれたWillとEllyに感謝です。(で、ジャンには絶対月曜日お昼を奢らせる!!)
結婚式に参加するのに、スクラブを着るのもどうかと思い、
でも広い屋外結婚式会場で、すぐ医療スタッフだと見分けてもらうにはどうしたら良いか。
そう、北原先生からいただいた黄色いTeam WADA Tシャツが役に立ちました。
北原先生、ありがとうございました。
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