皆さん、こんにちは。ニューヨークの岡野です。

 

最近、急激に寒くなってきました。ニューヨークの気温はだいたい札幌くらいですが、真冬に急激に冷え込むときは「華氏」でマイナス、つまり摂氏-17.8度以下になります。テレビの天気予報とかは全部華氏(ファーレンハイト)です。ちなみにヨーロッパも摂氏(セルシウス)らしく、ヨーロッパから来たフェローも摂氏じゃないとイメージできない、とか言ってます。USMLEに出てくるので勉強中の方はご存知かと思いますが、摂氏1℃差が華氏1.8℉差に相当、体温とか華氏104℉が同じく4で40℃ぴったりと覚えましょう。まあ今調べたんですけど。

 

余談はこの程度にして、本題です。今日依頼されていた論文の査読を提出しました。皆さんも英文雑誌の査読の経験がある方もいらっしゃると思いますが、私も現在定期的に1誌、非定期に4-5誌から査読の依頼が来ます。最初ある雑誌に論文を投稿したら、その雑誌から依頼が届くようになり、締め切りを守って出していたら、その後同じ出版社の別雑誌からも届くようになりました。ちなみにその自分の論文はRejectでしたが。。。雑誌にもよりますが、査読者の選定には過去の出版業績とは無関係のものも多いようです。逆を言えば名前の聞いたことのある雑誌の査読をした人が、須らくすごいわけではありません。その代わり、何度も断ったり、締め切りに遅れたり、コメントなしでリジェクトとかやると依頼が来なくなります。これを教えてくれた前の同僚は、依頼があんまり多いので、来ないようにわざと何か(詳細不明)したと言っていました。自分が投稿者であれば、後ろの二つは絶対にやってほしくないです。彼はNatureやScienceであれば査読すると言ってましたが、一生依頼は来ないでしょう。

 

私は時間が許す限り受けるようにしています。雑誌のレベルはそこまで気にしていませんが、いわゆるハゲタカジャーナルもあるので新しい雑誌の場合は一応Pubmedで名前は調べています。ちなみにDear Professorとか書いてきて投稿を促してしてくるやつや、いきなりAssociate Editorにならないかというものは、100%ハゲタカです。Junk mail folderはそんなやつばかりになります。だまされる奴いるのかレベルで安直ですが、ハゲタカと知りつつ業績欲しさに出す人がいるそうです。

 

査読は勉強になります。まず内容を読み込まないとコメントできませんから、じっくり読み、自分の知識が曖昧なところは調べ、可能な限り客観的にコメントします。その過程で研究対象や方法論への知識が深まり、自分の研究でも役に立ちます。実際に、統計手法や方法論、査読者のコメントへの対応、英語の言い回しなど、その過程で身につけたものも多くあります。カラオケで他の人が歌ってるのを聞いて覚えた曲みたいなもんです。ちなみに30歳以降の自分のカラオケレパートリーはほぼ更新されていません。10代の頃に、なぜ中年のレパートリーは更新されないのかと訝しんでいました。いまは「私達ってもう新しくもなんともないんだな」というタラレバ娘の言葉が身に沁みます。

 

他には、その雑誌の大体の採択率、査読期間、そしてEditorが査読者の意見をどれくらい参考に決定するかが分かります。自分が査読したものだけで採択率を推し量るには、相当数をこなさないといけませんが、Manuscript Numberは年ごとの通し番号が多いので、2回査読していくつ違うかを見て、実際に掲載されている数を見れば簡単に計算できます。一流紙の場合は10数%といったところです。そういう雑誌は「査読者が皆ほめているのにReject」が結構ありますが、それもどの程度の頻度かわかります。ちなみに紙面の制約がないOnline雑誌の場合は査読者がOKなら大丈夫な場合がずっと多い印象です。

 

査読をすれば自分の論文が通りやすくなるかといえば、たぶんそうはなりません。少なくとも自分は実感していません。基本的にはボランティアで直接的な見返りはないですが、CVに記載している人も多く、キャリア形成にプラスになるかもしれません。最近は雑誌によってはReviewer Recognition Awardみたいので表彰してくれるところもあります。あとは最近Publonというサイトでも自分のReviewerとしての履歴を客観的に登録できるということを教えていただきました。(ありがとうございました。)Academic careerを目指す人はぜひチャレンジしたみたらどうでしょう。