Team WADA 学生インターンの皆さん、ブログに目を通して下さっている皆さん、初めまして。
Team WADA学生インターンのUniversity of Szeged faculty of medicine 2年 村上逸樹と申します。
4月19日にインターン企画である学生留学体験記にて、ハンガリーの医学部に通っている僕自身の留学経験についてオンラインでお話をさせていただきました。
今回は、海外で医師として働きたいと思っている日本の高校生、医学生に向けて『海外の医学部に入学するってどうなん?』や『どうせ勉強大変なだけやろ』や『英語とか喋れんから無理や』など、たくさんの不安や疑問、興味に答えるつもりでブログとして残しておこうと思いこの記事を書きました。
一人でも多くの、海外へ憧れを持ち海外挑戦をしたいと思っている高校生・医学生を背中を押すことができれば幸いです。
かしこまって話すのが苦手なため、おかしな日本語になっていてもお許しを、、、
まず簡単に、21歳でまだまだimmatureな僕の過去について少しお話ししたいと思います。
僕は愛知県名古屋市出身で、小さな頃から悪ガキでした(今もかも知れませんが…)
医者になりたいと志したのは幼稚園の頃、親が持っていた漫画BLACK JACKを読んでからでした。
幼稚園から帰っては、段ボールや折り紙で医療機器を作り一人で遊んでました。
小学校時代も夢は変わらす、医学部進学実績で有名な私立東海中学という中高一貫の男子校へ進学しました。中学高校の6年間はバレーボールに没頭し、勉強なんて微塵もしていませんでした。そんな僕が海外の医学部へ進学することを決意したのは高校3年生の夏でした。その頃の僕はやけに海外に憧れており、将来は医者として海外で働いてみたいなと思っていたものの、日本の医学部に進んでしまうと、周りの環境に流されやすい僕はUSMLEの勉強なんてするわけなく、怠けてダラダラ6年間を過ごし日本で医者になるだろうなと思ったからです
これが海外医学部を志すまでの僕の簡単な経緯です。ここからは大学入試・医学部留学のメリットデメリット・ハンガリーに来てからの僕の英語力・将来の選択肢などについてお話しします。
<大学入試について>
ハンガリー医学部の入試は日本の大学の入試とは全く違います。
入試科目は日本の大学と比べるとかなり少なく、そのかわりに面接が重視されているように感じました。後ほど海外医学部のカリキュラムについてはお話しするのですが、ヨーロッパの医学部にはPre medから入学する生徒と医学部に直接入学する生徒の2パターンいます。入試科目がそれぞれ違うので、少し複雑なのですが簡単に説明します。
Premed 経由 |
Biology |
Physics |
Chemistry |
English (grammar/reading/listning) |
Interview (japanese/english) |
医学部直接入学 |
Biology(oral) |
Chemistry(oral) |
English(written) |
Medical english(written) |
*bio/chem/physcsから2科目選択 *premed 経由の科目を一次試験として受けた後にこれらの科目を受験
僕は入試を受けた時、英語が全く話せなかったので英語の面接が一番しんどかったです。面接の前にある程度話す文章は考えて挑んだものの、強すぎるサムライアクセントのせいなのかほぼほぼ全く伝わらなくて終わった瞬間とてつもなく悲しくなったのを覚えています。
ただ、なぜ自分が海外の医学部に行きたいのか、将来はどこの国でどんな医者になりたいのか、自分の人生設計などはどうしても伝えたかったので、多少は伝えられたのかなと思います。
<University of szeged ってなんぞや?>
さて、大学の入試のシステムがわかったところで僕の通っている大学を紹介したいと思います。
大学はハンガリーの首都のBudapestから電車で二時間ほどの場所にあるSzegedという街に位置します。大学にしては珍しくキャンパスが存在せず街全体が大学のために作られているような感じです。そのせいで、授業間の移動かがなり面倒くさいです…
学部は10学部ほどあり、総学生数は22000人にも上ります。留学生の国籍数はなんと130カ国です。生徒の中にはUK.USなどの英語圏から来ている人ももちろんいますが、韓国・オランダ・エジプトなどの英語が母国語ではない国から来ている人の方が圧倒的に多いです。ただ、そういう生徒たちもほとんどnativeレベルで英語が話せるので僕が入学した当時は、なんで英語母国語じゃないのにそんなに英語が話せるの?と衝撃を受けました。
最近のSzeged 大学はコロナワクチンの開発に貢献した先輩がノーベル賞を受賞したことで大騒ぎです。
<医学部のカリキュラム>
さて、おそらく日本の医学部に通っている方々が気になるのは海外医学部のカリキュラムについてでしょう。こちらの医学部のテストのシステムや進級のシステムはとても複雑なので今回は簡単に説明したいと思います。
僕はまだ一年生が終わったばかりの新2年生なので、ところどころ実際のカリキュラムとは少し違うところがあるかもわかりませんが下記の表が1年生から6年生までのざっくりとしたカリキュラムになります。
僕の通っている大学は、とにかく1,2,3年生がとんでもなく大変です。グループによっては1年生初日の1時間目から解剖学の授業があり、後ほどテストについてお話ししますがMTOと呼ばれる中間テストがありそのテストでも平均点をある程度維持しなければESEと呼ばれる期末テストが受けられないので学期中からなかなか大変です。
しかし、一年生から授業が全て医療に直結しているので、医学の勉強を楽しみにしていた僕にとっては意外と楽しみながら勉強ができました。
1年生のanatomy, med chem, bioのpracticeは8から10名ほどのグループごとに分かれて行われます。僕のグループには日本人2人、韓国人4人、エジプト人1人、イラン人1人、南アフリカ人1人の計9人のグループです。
2年生以降のカリキュラムについては僕が経験し、もしまたブログを書く機会があれば詳しく経験を交えて書いてみようかなと思います。とにかく、留年などが比較的多く見られるのは1,2,3年生であるのはこちらでpre medを含め2年間生活しひしひしと感じられます。原因としては、やはりテストが日本と違い筆記ではなく口頭試問であるのが一番大きいと思います。先ほど言ったようにテストについては後ほど詳しく書きますが、口頭試問は教授によって詳しく聞いてくる内容が違ったり、御献体によって見やすい臓器にバラツキがあったりとやはり難しいと一年生を経て感じました。
<テストのシステム>
僕の通っている大学には大きく分けてMTO,ESEという二つのテストがあります。教科や学年によってもテストのシステムが変わるので全ては説明できないのですが、おおまかにそれぞれのテストについて説明します。
(1)MTO
このテストは日本の大学における中間テストと同等の扱いです。大体の教科はMTO一定に点数を取らなくてはESE
を受けることができません。教科によりますが、1semesterに大体2〜4回あります。また、MTOが重要な教科もあればそこまで大事でもない教科も存在します。一年生の例で言うと、cell biologyは一定の点数をMTO3で取るとESEの免除を受けることができます。Anatomyは逆にMTO1,2,3,writtenの計4回のテストの平均が2以上でなければESEを受けることできません。MTOのテスト形式も教科によって違い、anatomy はMTOも口頭試問ですが、med chem は筆記試験です。
(2)ESE
これは日本で言う期末、学年末テストにあたります。期末テストは教科によって筆記試験であるものもありますが、学年末テストはほぼ全ての教科で口頭試験が行われます。
一年生のanatomyの学年末テストのtopic listを下に添付してありますが、見て分かるようにとんでもない量です。それぞれのtopicの基本的なことを一通り覚えプラスで教授が聞いてきそうなことを覚える用にしてきますが、組織学などは教授が妙な組織を与えてきたりするので僕個人的には結構運の割合も多いのかなと思いました。
<英語力について>
さて、一旦勉強の話はここまでにしてここからは海外で生活している僕の英語力についてお話ししようと思います。
そもそもの大前提ですが、僕は日本産まれ日本育ちの生粋な日本人なので大学受験の時点では読み書きは一般高校生レベルではできていたと思いますが会話なんてもってのほかで外人と会話するなんて想像もしたことがありませんでした。しかし今となっては、ネイティブの人たちとなんら支障なく会話することができています。どうやって英語を話せるようになったのか、どのように勉強をしたのかなどを詳しくお話ししたいところなのですが、、、、何せ自分も特別英語を話せるようにするための勉強をしたわけでもないので英語勉強に関して直接のアドバイスはできないのですが、日頃の生活でちょくちょく気を付けていたことや心掛けていたことがあるので少しお話ししようと思います。
①とにかくしんどくても英語しか話せない環境に身を置く
僕は英語学習の上で一番大切なことはこれだと思います。もちろん僕が通っている大学にも日本人はちらほらいますが僕は絶対に日本人で固まって過ごすことは避けるように気を付けてきました。最初の頃は本当に英語でうまくコミュニケーションをとることができませんでしたが、外国人の友達もスラングの意味やよく使う言葉など優しく教えてくれたので本当に助かりました。もちろん海外にいても日本語が通じる楽な場所はいくらでもあると思います。しかし、海外で医者として働くにはやはり英会話は欠かせないので、多少無理をしてでも自分を英語を使わざるを得ない環境に身を置きとことん英語を使う生活を送ることは僕はとても大切なことだと思います。
②1人で過ごす時間も英語で物事を考える
僕は普段から日本語で物事を捉えることを避けるようにしていました。買い物する時も大学に行く時も常に英語で独り言をぶつぶつ話しながら歩いていたのを覚えています笑
20年近く日本で過ごしていた僕は完璧に日本語脳になってしまっていたので、英語を英語で考える英語脳に変えようと思い独り言はたくさん話していました。
③自分が日本人であることを忘れる
まず海外に着いたら日本人であることを忘れるようにしましょう笑
外人といる時は自分も外人だと思い込み外人のテンションに合わせることで、変な教科書英語ではなくnative の英語を身につけることができます。
僕の場合はアラビックの友達とずっと一緒にいるので少しアメリカ人などとはバイブスが違うのかもしれませんが、それでもたくさんの友好関係を持つことにつながるので、このマインドはかなり大切だと思います。
<将来の選択肢>
ここからは、医学部生の方や実際に働いている医師の方向けではなく近い将来受験を控えていて、東欧の医学部を視野に入れているという方に向けて、将来はどのような選択肢があるのか、実際に東欧の医学部の卒業生はどのような医師になっているかについてお話ししていこうと思います。
まず、ヨーロッパの医学部を卒業するとEU 圏内で有効な医師免許を取得することができます。それにプラスしてその他の国の医師免許を取得する人が多い印象です。USMLE,UKMLEを受ける人も一定数います。そのほかではオーストラリアであったり カナダ、UAEなど働く場所は本当に様々です。
日本人の卒業生はほとんどが日本に帰って日本の医師免許を取得していますが、最近の日本人在学生は海外で働きたいという意志を持つ人が増えてきているように感じます。
外国人の友達の中には入学した時からUSMLEを見据えた勉強をし、4年生が終わったタイミングでSTEP1を受けている人も少なくありません。
また、僕の通っている大学は今USMLEの対策ができるシステムを作っているので、近々もっとアメリカで働く意志を持った人が増えてくるのではないかなと思います。
日本で医師をする選択を持ちながら様々な国で働く選択肢を持つことができることは本当に魅力的だなと思います。
<最後に>
東欧の医学部はやはり英語が喋れるようになるまでは、かなりの孤独感がある上にテストもどんどん進んでいくので鬱になってしまう人や大学を辞めてしもう人もちらほらいますが、将来海外で医師になりたいと言う人にはかなり好条件の選択肢なのではないかなと僕個人的には思います。
今受験を考えている高校生の方たちは何か気になることがあればいつでも下の連絡先に連絡してきてもらえれば可能な限り答えますのでお待ちしております!
Mail: itsuki20030403@gmail.com
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