ThAAAのはなし。

Extent II Thoracoabdominal Aortic Aneurysm Repair: How I Do It -  ScienceDirect

Texasの巨匠、Coselliの論文

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30904252/

Spinal cord deficit after 1114 extent II open thoracoabdominal aortic aneurysm repairs

The Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery

 

Extent IIのThAAA(上から下までね)1114例の検討。

上の図はCoselliの他の論文から拝借しました。

 

1991年から2017年、27年間、1114例の検討。

 

術式としては

・左心バイパス

・mild passive hypothermia (32-34℃)

・CSF drainage(2000から)

・cold renal perfusion (4℃ crystalloid)

・celiac、SMAはLHBの回路からperfusion

・Th7-L1の間のinterocostal/lumbarは再建(island or individual)

 

結果は

・Spinal Cord Deficit (SCD) は151 (13.6 %)、Permanent (PPP) 86 (7.7 %)、Temporary (TPP) 65 (6.1 %)

・SCDに関与する因子として、有意差有りが、Age、CKD、PVD、COPD、emergency surgery、遺伝性の患者さんでは逆に少なかったらしい。

あとは、interocostal/lumbarの再建も有意差あり、CSF Drainageは有意差なかったらしい。

・Operative mortalityは10.4 %、30-day mortality 7.5 %、当然だが、SCD生じた群は成績悪い。長期もね。

 

Survival 3y 6y 9y 12y
no SCD 75.8 60.8 46.0 34.4
PPP 71.7 51.3 43.6 29.2
TPP 37.2 22.8 17.3 8.7

 

正直、Extent IIでこの成績は非常に良いと思います。20%がre-operation。

あと、27年間を3つの時期に分けてるけど、SCDの成績は改善してない。適応が拡大しているのかも知れませんが。

SCDは、何が何でも避けなければいけない合併症です。

患者さんが目覚めて、足動かないのはね。

個人的には、CSF Drainageやって、肋間動脈は、特にTh7-L1らへんは再建して、術中、術後のhypotensionを徹底的に避けることでしょうか?

その為には丁寧な止血は必須。

肋間動脈の再建はやらないでも同じという話もあるそうだが、やるべきでしょう。

あとは、術中のsegmental perfusionで極力spinal cordのischemicを減らすことかなと思います。

 

March 27, 2021

AN