お邪魔いたします。シカゴ大学太田です。
先日、日本から金行先生がシカゴ大学に見学に来てくれました。シカゴ大学はちょうどナースのストライキの真っ最中で、私的には、手術もなくのんびりとできたのでよかったのですが、日本から夏休みを利用してわざわざ見学に来てくれた金行先生には、ちょっと申し訳なかったです。ですのでその分、一生懸命遊びほうけました。ノースウェスタン大学とシカゴ大学での見学体験を寄稿していただいたので、以下に掲載いたします。
以下、本文。
成田赤十字病院 心臓血管外科の金行と申します。
今回、夏期休暇の1週間を利用してシカゴにあるNorthwestern UniversityとUniversity of Chicagoに見学に行かせていただき、太田先生よりブログ執筆の命を受けましたので共有させていただきます。
まず見学にあたっての準備ですが、昨年度ほかの用事でNorthwestern Universityの中野先生、University Of Chicagoの太田先生にメールをさせていただいた際に、見学はいつでも可能との返答をいただきました。しかしながら見学受け入れまでの審査に時間がかかることもあると伺いましたので、今年度の4月に再度連絡させていただき9月の見学予定で具体的に申し込みをしました。そこからは事務の方から連絡をいただき簡単なpaper workするだけでしたが、Northwestern Univeristyに関しては手洗いができる反面、ワクチンの審査が厳しく、特に9月からの見学ではインフルエンザワクチンの接種が必須であり、日本では基本的には8月、9月にインフルエンザワクチンが手に入らないので、直前まで困りました。私の場合は自分の病院の感染症科の先生の協力があって渡航直前になんとかワクチンが手に入りましたが、それ以外の場合にはアメリカで接種する方法があるようです。詳細はわかりません。いずれにしても見学といえどもメールのやり取りや準備にある程度時間がかかるので、早めに動き出す必要があると思いました。
最初の3日間はNorthwestern Universityの基幹病院であるNorthwestern Memorial Hospitalでの見学でした。シカゴのダウンタウンの中心地にあり、病院の近くにホテルはたくさんあるのでどこからでもアクセスは良好です。前日に中野先生に教えていただいたChief residentに直接電話で連絡を取り、結局見学の3日間ともホテルのフロントまで迎えに来てくれて朝は一緒に行く形になりました。今回の2つの病院ともに病院内のセキュリティが非常に厳しいので、誰かと一緒でないと病院の中に入ることすらできませんでした。朝の集合は6時で医学生、レジデント、フェローを合わせた10人ぐらいのチームの回診から始まります。前日の当直者と一緒にレントゲンなどの画像を確認した後に、CICUの各部屋を回りながらそれぞれの患者さんについて当直者がプレゼン。その日の大まかな方針を決めます。だいたい15人前後でしょうか。そのあとは日中に病棟を管理してくれるPAに方針を引き継いで、だいたい7時にぐらいになると1件目の入室になります。今回の見学のときは1日にORの3部屋を使って開心術が3-4件、それと並行してTAVRが別の部屋でやっているという感じでした。初日はDivision ChiefのDr. McCarthyのMVPを見学することができました。お昼前後には終わってしまい、そのあとは中野先生に昼食に連れていっていただき色々と相談して夕方ごろには解散でした。2日目は中野先生の三尖弁のIEに対するCormatrixを使った三尖弁手術を手洗いして見学させていただきました。日本では見たことないが手技でしたので勉強になりました。こちらも午前中にはほとんど終わってしまったので、昼食後に残りの症例のLVADの手術を見学しました。3日目は朝からmini LA resection、昼食を挟んでmini AVR+上行置換を見学して終了となりました。
写真:大都会にそびえ立つNorthwestern Memorial Hospital
後半の2日間はUniversity of Chicagoで見学でした。もともと前半にUniversity of Chicagoの予定でしたが、直前でストライキが起きたため手術がキャンセルとなってしまい、予定を変更しました。そのため病院近くのホテルはどこも満室で予約できませんでしたが、ダウンタウン地域からも比較的アクセスは良好で、Uberを利用して朝の時間帯であれば20分程度、値段は片道で20ドル前後でした。University of Chicagoの初日は朝7時30分のカンファレンス前に太田先生の部屋に案内してもらい、リサーチフェローでいらっしゃる幸田先生にご挨拶した後に2日間の流れを説明してもらいました。その後、移植に関するカンファレンスに参加、太田先生、クリニカルフェローとして働いてらっしゃる西田先生と共に病棟を回診し、Robotic surgeryで有名なDr. BalkhyのMVPを見学しました。お昼前後で終了したので、西田先生との昼食をはさんでから太田先生ともお話させていただき15時前後に解散となりました。2日目も同様に7時からカンファレンスに参加して、その後はDr. BalkhyのMAP+TAPを見学、太田先生と靴磨き談義をして解散となりました。ストライキの影響で入院患者が少なく、手術もあまり予定をいれていなかったということで見学のタイミングとしてはあまり良くなかったかもしれませんが、日本では見たことがなかったRobotic surgeryを見れたことや実際にフェローとして働いている日本人の先生とお話できたのはとてもよかったです。
写真:太田先生に磨いていただいた革靴
学生のときに交換留学で心臓外科の見学は行いましたが、臨床経験を積んだ後の見学はまた違った視点から見ることができます。将来、臨床留学を志す立場としても、目指すべきクリニカルフェローの先生たちが実際にどういった仕事をしていて、そこに達するには日本でどういったことをしなくてはいけないのか再確認することもできました。さらに日本のほかの施設でトレーニングを積んだ先生や海外に出て活躍されている先生と直接お会いして話をして知り合いになるというのは、自分にとって貴重な財産になると思います。中野先生、太田先生をはじめとして多くの先生方に今回の見学のことで事前の準備から現地でのコーディネートなど本当にお世話になりました。シカゴの見学を通して感じたこと、学んだことを今後に生かしていきたいと思います。この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。
写真:最終日にUniversity of Chicagoのメンバーとお揃いのTeam WADA Tシャツを着て
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