読者の皆様こんにちは。2024年10月現在は北海道大学病院で救急・集中治療に従事しています医師の棟方と言います。この度英国で医師登録をするのに必要なUKMLAという試験(アメリカで言うUSMLE)のすべての過程に合格したにあたり、それまでの経験を書かせていただく貴重な機会をいただきました…と、かたっ苦しいのは大大大嫌いなので普段話しているような砕けた文体で書かせてもらいます!なお、詳しく書こうとすると簡単な短編小説できるんじゃないかレベルになるのでoverview的に今回は書かせてもらいます (詳しくお話聞きたい俺、もしくはわたし、は個人的に連絡くださいね)

 

まずUKMLAについて簡単に…UKMLAは1次筆記試験と2次OSCEの二段階になっていていて、もともとはPLABと言われてた試験です。なんですが、2024年からUKMLAという呼称に変わってます。もともとPLABは「イギリスで医師やりたいぜ!」っていう情熱的なEU圏外出身 (ここめっちゃ大事!)の医師に対して、イギリスのGMC (イギリスで医療行為をしている医師を仕切っているえらい機関)が「情熱的なのは結構だけど、十分な知識とスキルあんの?」ってことで課してたテストにあたります。このときはイギリス国内にある医学校に通っている医学生は日本でいう医師国家試験を受ける必要なく医師になれたんですが、2024年からは「EUの外だけじゃなくて、イギリス国内の医学生もテストしたろ」っていう方針になって(なんでかは知りません)、もともとのPLABがUKMLAという試験にリニューアルされてEU圏外出身の医師はもちろん、イギリスの医学生にも課されるようになってます(専門医の過程もそうだけど、イギリスって試験大好きだよね)。

 

さて、EU圏外の人からしたらテスト受けなきゃだめよっていう事実は変わってないんですが、ポイントは「PLABとUKMLAって内容変わったの?」ってことになります。結論からいくと内容は大して変わっていないんですが、合格するのが難しくなりました(悲報!!!)。当初は多くの人が「内容変わんないし、難易度もそんなに変わらんはず!」と楽観視されていたのですが(人は希望観測的に物事を見たがるものみたいです)、変更されてから1年ほど経過してみて「あれ?難しくなってね?」っていうのが多くの人の感想みたいです。実際、blueprint参照してみると、PLABよりもUKMLAの方が受験者に求めることは多くなっています。患者がより医療者に対して求めること多くなってきているので、それに応える対策の一つであることと、そもそも患者と”ちゃんと”英会話できない医師はいらん、っていうGMCの意思表示かと僕は思っています。

 

さて、試験対策の話に移ります。UKMLA1は筆記試験ですが、個人的な感想としては多分日本の国家試験の方が難しいです。だ・け・ど、日本の医師国家試験に受かった日本のお医者さんはノー準備で勝てる試験か?と聞かれると残念ながら答えはNOです!!理由はUKMLA step 1でそもそも聞かれることが日本の医師国家試験の内容とやや異なるのと、イギリスの試験なのでイギリス流にマネジメントできるか?という点が重要になってくるからです。結構多くの点で日本とイギリスで疾患だったり、臨床で遭遇する種種類類の状況のマネジメント法が変わります。「日本ではこうやってるから」はまっっっっったく通用しません(これは特にstep 2のOSCEで重要な点になります)。そんなこんなで僕は1,2か月ほど準備に時間を要しました。

 

続いてStep 2についてですが、僕、実は一回落ちて、二回目で受かってます。受けたのが研修医二年目の終わり時だったので「二年近く臨床経験あるし、たかがOSCEならいけっしょ」って思ってなめてかかったら見事コテンパにされました(笑)。前述していますが、「日本のやり方じゃなくて、イギリス流にマネジメントできますか?」ってことを聞かれてます。一回目落ちたあとはそのまま救急集中治療医になったので、普段の臨床に加えて、日本式三次救急の勉強で多忙も多忙で、試験直前までは一分たりとも勉強できてませんでした。なので、医局に「一か月だけ時間ください!!!」と交渉して1か月という長期休暇をもらい、ここで医学部受験時代並みに詰め込み勉強をしました(多分DSM-5的に鬱病の診断もらえるくらいの抑うつ気分になりながらでしたが(笑))。なお、知ってる人に聞くと通常3か月くらいの時間かけて準備する試験らしくて、それを1か月に詰め込んだので、この時はけっこうヒーハーヒーハーしながら勉強しました...救急で体力鍛えられたことにこの時心から感謝してます(笑)。当たり前なんですが、個人的には準備足りてない状態で2回目受験になってしまい、試験直後は絶対落ちたとなかなか絶望的だったんですが、奇跡的に受かってました!これは素直にうれしかった!!

 

なお、ここまでUKMLAについてさらっと書いてきましたが、この試験、受験するためにそもそもIELTSかOETでそこそこのスコアを持っていないと受験資格ありと認めてくれません。なので、日本で生まれて日本で育ってきた純ジャパな、そんなあなたは英語の勉強をまずは頑張ってください (僕もそんな純ジャパだったので、英語の習得にはかなりの労力を費やしました…大学時代は多分医学よりも英語の勉強してたんじゃないかな?)。

 

以上、イギリスで医師になるために必要な試験について、合格体験記として簡単に書きました。勉強は具体的にどんなことしたんですか?とか、英語はどう勉強したんですか?とか、その他質問ある人は個人的にDMください(ykmune2022@gmail.com)