つい先日、医師国家試験の結果が出ました。合格された方はおめでとうございます。

 

私は、初期研修・後期研修・海外フェロー時代と、比較的たくさん怒られてきたタイプなのですが、その中で学んだ「やって良かったなという事」と「やらなければ良かったなという事」を簡単にお示しします。(どの世界もそうかもしれませんが)外科系は良くも悪くも指導医に気に入られ信頼されるのがとても大事だと思われますので、その観点から記載します。これからの方の参考になれば嬉しいです(結果に関しては責任は負いかねますが)。

 

【やって良かったこと3選】

1.指導医の手技を褒める。

手術手技を褒められて嫌な気分になる外科医はいません。多少わざとらしくても、明らかな悪意がないのであれば嬉しく感じます(僕は)。オーストラリア・ニュージーランドでも有効です。懐に潜り込むきっかけにしたいところです。使えるフレーズとしては、「うわぁ、すごいっすね!」「何やってるか全然わからなかったですけどなんかすごいですね!」「こんなの初めて見ましたよ!」などがあります。上級編としては軽くディスった後で褒めるというのがあります。例えばオーストラリアにいた時のボスの1人(野蛮な感じに見える大柄のオーストラリア人)に「You speak very loud and have too thick fingers. But, your procedure is very careful and precise. What’s happening?」と言ったら、その時を境に明らかに色々とやらせてもらえるようになりました。褒めるにはある程度良く見ていないといけないので、よく目を凝らして見るようにしましょう。

 

2.指導医のやり方を踏襲する。

同じ名前の手技でも、人によってやり方は千差万別です。出来るだけ細かく真似して指導医の前で披露したり、他の先生のやり方との細かい違いに気付いている事を匂わせたりしましょう。とても大事だと思います。

 

3.自分が手術・手技をした患者さんの事はこまめにチェックする。

自分が手術・手技をした患者さんの事は自然と気になるものだと思いますが、意外にそうでない人もいます。指導医の先生は、自分でやった方が確実だしストレスもないけども、研修医の先生の勉強のためにエクストラの肉体的・精神的エネルギーを費やしながら手技をやらせているのだという事は知っておくべきです。そういう指導医の心意気を無駄にしないようにこまめにチェックしましょう。

 

【やるべきではなかったこと3選】

1.不適切な場面で指導医の手技を褒める。指導医が集中したい場面で不適切な話題を提供する。

緊迫している場面で面白くない冗談を言ったり、不適切な褒め言葉を述べたりするとイラっとされます。

 

2.他の指導医のやり方を指導医の前で披露する。

外科医は意外にメンタルが繊細な人が多いです。指導医のライバルや、指導医とあまり仲の良くない先生のやり方を披露するとイラっとされる時があります。指導医ごとのやり方をノートにまとめたりして術前にちょっとチェックするのは効果的です。良くないフレーズとしては「あ、先生、(先生の嫌いな)A先生はこうやってるんで僕はA先生のやり方でやります(笑)」があります。指導医がよっぽど変でなければ指導医のやり方を踏襲すべきです(少なくとも初めのうちは)。

 

3.自分が手術・手技をした患者さんの事を全然診ない。手技をやらせてもらうのが当たり前だという態度をとる。

指導医が若い先生に手技をやらせて指導するのは義務だと思います。しかしながら、それが当然だという態度をとったり、無責任な態度をとるのは非常にまずいと思います。また、感謝の気持ちを表現することも大事です。

 

以上、非常に簡単ではありますが大切だと思うことを勝手に述べさせてもらいました。

 

他にも沢山あると思いますので、これから外科研修をされる先生方のために、他にも大切なポイントを是非とも教えて頂ければと思います。コメント欄に記載して頂くか、メール(seiri45@yahoo.co.jp)を頂くか、ブログに書いて頂ければとても嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。