初めまして!TeamWADA学生インターンの富山大学医学部3年の西岡です。

僕が個人的に「患者さんの語りを聴く」という企画をやっていまして、今回はTeam WADAインターン生にも参加してもらった会をレポートにまとめました。いつもは日本人の患者さんに語って頂くのですが、今回は初めて海外の患者さんをお呼びして、全編英語でやってみました。患者さん含めて11名の方に参加していただきました。

 

患者さん

女性 50代後半 パーキンソン病(症状発覚から15年)、ニュージーランド人、ゴールドコースト在住。

 

僕からの企画説明から始まり、聴く側(学生)の自己紹介をした後で、患者さんに自身の病の体験を自覚症状から診断、オーストラリアへの移住、コロナ禍の3つのパートに分けて語って頂きました。その後に質疑応答の時間を取りました。

最初の自覚症状でのパートでは、日本とは違いニュージーランドはGP制度(かかりつけ医制度)が確立されており、予約から受診まで非常に時間がかかったこと。そこからさらに専門医へのコンサルと診断に時間がかかり、正式にパーキンソン病と診断されるまで約2年を要したことをお話いただきました。

パーキンソン病の初期はハネムーン期と呼ばれ、この時期に適切な治療を行っていれば、病気の進行を緩やかにすることができます。、例えば、パーキンソン病のように早期発見が大切な疾患に関して、日本のように専門医にかかることが比較的容易なシステムと、GPシステムがある国とに関して、双方のメリット・デメリットについて国を超えたディスカッションもできればいいかなとも考えました。

次は、病気の進行に伴い気分をリラックスさせるためにオーストラリアのゴールドコーストへ移住したお話を伺いました。病気の進行と共に増える家族の負担、できないことが増えていく自分への苛立ち、そして、未来を見通すことができない不安からくるうつ症状。教科書や講義ではパーキンソン病の症状はふるえ・筋固縮などの運動症状の他に、うつ症状・易疲労性などがあるという知識を学びます。しかし、患者さんの口からのリアリティを持った語りを聴くことで、病気を単なる知識としてではなく、生きた経験として深く理解できるのではないかなと思います。

最後に、コロナ禍での体験をお話いただきました。世界的にロックダウンが進んだ去年、家族に問題が起こったこと、在宅によるストレスで症状がさらに大きくなったこと、ふるえの進行で仕事を辞めざる得なくなったことなど、ロックダウンが精神に与えたダメージを生々しく理解することができました。その中でも、孫が生まれたことや、治験を通して素敵な医療者に出会えたことは幸せなことであったとも語ってくれました。

 

僕は質疑応答の時に、痛み(ペイン)には身体的、精神的、社会的、スピリチュアル的の4つがあるが、あなたにとってそれぞれどのような痛みですか?と質問しました。意図として、NZ人である彼女がスピリチュアルペインをどう捉えているかに興味があったからです。彼女は身体、精神、社会的な痛みをすぐ答えた後、スピリチュアルペインに対して「難しい質問だね。。」と言い少し沈黙しました。そして、「私は大きな絵を描きたい。パーキンソン病になったからこそ描ける絵を。もし描けなくなるならば、それは私にとても大きなスピリチュアルペインになるわ。」と言いました。

 

患者さんのリクルートから当日まで非常に大変でしたが、聴いて下さった学生、何より話して頂いた患者さんのおかげで素敵な時間を過ごすことができました。

海外の患者さんからお話を聴くことは、継続していこうと思いますので、興味ある方はTeamWADAの学生インターンに応募してみてください笑!