皆さんこんにちは。
イギリスで病院看護管理職をされているMayumi先生による医療面接英語勉強会の報告です。私は学生インターンではないですが、医師役の機会をいただきましたので学んだことを紹介します。
【今回のお題】
55歳女性。左膝の痛みを訴えている。左膝は固まってしまったような感覚で歩きづらく、左膝を曲げると激痛が走る。運動は習慣的に行っており、これまで膝を怪我したことはない。彼女のBMIは28である。
【課題】
・患者さんに現在の状態を説明すること。
・治療計画を提案すること。
お題をサッと読んでみて、肥満の中年女性が膝の痛みを訴えているので、変形性膝関節症を1番に考えました。痛みが左膝のみならば、関節リウマチは考えにくいかなぁと思いました。朝のこわばり、他の関節に痛みは無いか、全身症状(発熱、全身倦怠感など)の有無とか聞いてみようととりあえず考えました。
問診で患者さんから得た主な情報は以下の通りです。
・椅子から立ち上がるなど、運動を開始する際に左膝が痛い。
・左膝の痛みの軽減のためにゆっくり歩くようにしている。
・アセトアミノフェンを服用してみたが、効果は無かった。
・右膝は特に症状はない。
・全身症状は特になく、膝以外で困っていることはない。朝のこわばりもない。
・既往歴として喘息がある。膝をこれまでに怪我したことはない。
・最近、検診で血糖値の上昇を指摘された。
まず、反省点としてアレルギー歴を聞くのを完全に忘れてました。後から鎮痛薬としてNSAIDsを提案して、患者さんから「その薬はアレルギーがあるから使えない。」と言われました。英語での問診は初めてだったので緊張していたこともありましたが、初歩的なミスでした。
変形性膝関節症が疑わしいので、膝のX線写真を提案しました。フィードバックでもご指摘いただきましたが、関節リウマチとの鑑別のために血液検査を追加してもよかったと思います。検診で血糖値が高いと言われたそうなので、糖尿病の可能性を考えても血液検査をするべきでした。
治療方針としては次のように説明しました。
第1段階: 保存療法(減量、筋力増強訓練など)
患者さんのBMIが28ということで食事習慣を見直す必要があると思い、栄養指導を受けるよう提案しました。それから、運動療法の指導のために理学療法士にも紹介すると説明しました。
第2段階: 保存療法が十分でない場合は、薬物療法を開始することを提案しました。具体的には鎮痛薬内服または関節内注射です。
「関節内注射は痛くないのか?すぐ仕事に戻れるか?」と聞かれて、うまく答えられませんでしたが、後から調べてみるとエコーガイド下でなるべく細い針を使用することで穿刺時の痛みを最小限にできるそうです。また注射自体は5分程度で終わり、そのまま普段通りの生活を送ることができるとのことです。
第3段階: 薬物療法でも改善しない場合は手術を考慮する必要があると説明しました。
今回、私は手術療法のことまで全て一気に説明しましたが、最初から全ての治療法を説明する必要は無いとフィードバックを頂きました。どこまで説明するかは臨床経験のない私には難しかったですが、とりあえずは第1段階の治療法を説明してフォローアップの予約を取ることでよいと思いました。
最後に、私が医学英語を学ぶ際に参考にしているサイトを紹介したいと思います。Web MDやMayo Clinicは英語圏の患者さんが参照する医療情報サイトで実際の患者さんがどのような英語表現を使うのかを学ぶことができます。日本でも同じですが、患者さんは専門用語を使って医療者側に説明することは無いので、これらの一般的な英語表現もおさえておく必要があると思います。
日本語でも英語でも患者さんに寄り添った診療ができるよう、これからも頑張りたいと思います。ありがとうございました。
Jotaro Abe
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