ボストン小児病院 小児循環器画像診断部 佐々木奈央先生 インタビュー
皆さんこんにちは、TeamWADA学生メンバーの小林優希です!
今回は小児循環器科の魅力と女性のキャリア形成についてボストン小児病院小児循環器画像診断部の佐々木奈央先生にお話を伺いました!
TeamWADAの医師インタビューにもご夫婦でお話ししてくださっています。そちらもぜひご覧ください!
→ https://www.youtube.com/live/Ncj3LilC7Cw?feature=shared
佐々木 奈央先生
—ご経歴—
-2003: 東京医科歯科大学(現東京科学大学) 卒業
2003-2004: 横須賀米海軍病院 internship
2004-2007: Jacobi Medical Center 小児科Residency
2007-2010: Icahn School of Medicine at Mount Sinai小児循環器Fellowship
2010-2014: University of Miami 小児循環器 Attending
2014-2016: Nichlaus Children’s Hospital 心臓MRI Fellowship
2016-2021: Nichlaus Children’s Hospital 小児循環器 Staff
2021-2022: Weill Cornell Medicine 小児科循環器 Assistant Professor
2022- Boston Children’s Hospital 小児循環器画像診断部 Assistant Professor
—インタビュー本編—
小林:
小児科を選ぶきっかけになったのは横須賀海軍病院だったとお聞きしました。横須賀海軍病院での出来事と小児科を選んだ理由は何だったんでしょうか?
佐々木先生:
横須賀の米軍病院は小規模な施設で、入院設備はあるものの、簡単な手術や処置が中心です。日本人フェローの主な役割は、重症患者が出た際に日本の病院へ搬送する手配をすることでした。アメリカ人医師と日本の医師の間に立ち、通訳のような橋渡しを担うことが最も重要な仕事です。
搬送の仕事がないときは各科をローテーションしていて、小児科はGeneral Pediatrician(一般小児科医)が行うような業務が中心で、そこまで専門的なことをするわけではありません。ただ、印象に残っているのは、肺炎や1型糖尿病を発症したお子さんがいて、特に糖尿病の子は「こんなに具合が悪い子を、専門医ではない小児科医がちゃんと診ている」というのが衝撃でした。ICUの専門的なトレーニングを受けていないような先生でも、レジデント時代に学んだことを活かして、すごくうまく初期対応されていて。Aラインをパッと入れたりとか、診断もすぐに的確にして、初動の対応がきちっとされていてから搬送されていたんです。私は当時まだ学生でしたけど、「ああ、すごいな」と感動しました。そうやってしっかり対応してから搬送しているのが、すごくかっこよく見えたし印象的でした。
私が学生のときに小児科を志そうと思えなかったのは、大学病院の小児科にあまり魅了を感じられなかったからです。特に日本の大学の小児科って、アメリカやヨーロッパに比べると小さい規模なんですよね。うちの大学でも、患者さんの多くは白血病とか骨髄移植が必要な血液腫瘍の子たちで「これは私には精神的に無理だ」と思ってしまいました。
それが横須賀で肺炎や糖尿病のお子さんを診るようになって、「あ、よくなる病気ってあるんだ」と気づいて、すごく新鮮な気持ちになりました。そこで「小児科っていいな」と思って、小児科を本気で目指すようになりました。
小林:
小児循環器・画像診断を選んだ理由としてなにかきっかけはあったのでしょうか?
佐々木先生:
もともと私が小児循環器を目指したのは、日本で小児の心臓移植がほとんど行われていなかった時代に、「それを学んで日本に持ち帰りたい」と思ったのが最初の動機でした。
でも、フェローの時期にすごくショッキングな経験があって、生まれたばかりの時からずっと診てきた子が、補助人工心臓をつけて6か月待った心臓移植手術で、ヘパリンに対する抗体(HIT)を持っていたために、手術中に大出血を起こして出血性ショックで亡くなってしまいました。私はその頃、上の子を妊娠中でホルモンの影響もあって、本当にショックで。「この仕事をあと40年やるとして、こんなに毎回辛い気持ちになるんだったら続けられない」と思ってしまったんです。それが、移植医療を専門にするのを諦めた理由でした。
そのとき、「画像診断なら患者さんとの距離が少し置けるかもしれない」と思ったんですが、それもある意味で大きな間違いでした(笑)。胎児エコーで診断した子どもを、その後もずっと追いかけて診ていくことになりますし、結局すごく深く関わることになります。患者さんが亡くなれば当然つらいし、そういう悲しさとは無縁ではいられないんですよね。でも今はもう、「そういう仕事なんだ」と受け入れてやっています。
あとは、自分が空間認識とか図形が得意だったっていうのもあります。MRIやCTの断面を三次元的に把握するには、空間的なセンスが求められます。また、メンターの先生のことを患者さんの親御さんが「妊娠中から診てくれてる先生だから、これからもずっとお世話になりたい」って言うのを聞いて、「いつかこういう医師になりたい」と強く思うようになりました。
機械や画像の物理的なことも大好きだし、心臓MRIやCTの設定を考えるのも楽しい。そういう意味で、私は本当に画像診断に向いていたんだなと今では思っています。
小林:
なるほど。小児循環器の中でも画像診断をサブスペシャリティとしている先生にお会いするのは、私にとって初めての経験でした。日本ではこうした分野の専門医があまり見られない印象があるのですが、このようなサブスペシャリティはアメリカ特有のものなのでしょうか?
佐々木先生:
そうですね、日本では循環器の患者さんだけを診るという環境がなかなかないようです。以前は一般的な考え方として「小児科医たるもの、全身を診れて当然。どんな患者も診られなきゃいけない」というものがあったのですが、小児科は本当は明確に細分化されるべきだと思っています。もちろん、境界が曖昧な部分もありますけど、基本的には健康な子どもと、病気の子どもっていうふうに大きく分けられる。そして、病気の子どもたちの中には、たとえば小児癌や先天性心疾患など、稀で、しかも管理が難しい疾患が多いんです。
私たちが診ている先天性心疾患だけでも、病名で100種類以上、手術方式で50種類以上あるんですよ。その上に不整脈を併発することもある。つまり、小児科こそ専門分化が必要なんです。それなのに、一般の小児科医が、先天性心疾患の複雑な病名を全部把握していて、全身を診なきゃいけないっていうのは、無理があるし危険でもあります。
アメリカでは、小児循環器は当然サブスペ化されていて、さらにその中でも役割が分かれています。カテーテル専門の人、画像診断専門の人、不整脈専門の人、ICU専門の人、移植や心不全を専門にする人、そして成人先天性心疾患を専門に診る人など、かなり細かく分かれています。
私の場合は、心臓のCT・MRIを専門にしていますが、3か月の子と14歳の子ではMRIをどう設定するかって本当に一人ひとり全く違うんです。画像の撮り方、呼吸や心拍のコントロール、使うシーケンスも全部違ってくるんです。あと、私たちは胎児心エコーもやっていて、産婦人科医と同じように自分でプローブを持って、妊娠17週ぐらいから先天性心疾患を診断しますが、それも簡単な話じゃなくて最低でも半年以上はトレーニングしないと、確実に診断できるようにはならないと思います。
私たちは画像診断に関するすべてをやっているし、その上で「この疾患にはこの検査がベスト」というところまで含めて、他の医師にアドバイスするのも役割の一つです。
小林:
先生が考える画像診断の魅力とはなんでしょうか?
佐々木先生:
画像診断の一番の魅力って、「診断の出発点になれる」ことだと思うんです。つまり、一番早く情報にアクセスできるということ。たとえば、他の科だったらCTを撮って、それを放射線科に回して読影してもらわないと診断できない。でもそのプロセスって、どうしてもタイムラグがあるし、自分でコントロールしきれない部分も多いんですよね。
でも私たちの場合、最悪、自分でエコーを持って、直接患者さんに当てて、すぐに診断をつけられる。そういう即応性がすごく大きな強みなんです。
CTやMRIに関しても、放射線科の技師さんたちと日頃から一緒に仕事をしているので、たとえばスケジュールが混んでるときでも緊急の時は融通を利かせてもらえます。もちろん、私も一緒に立ち会って技師さんたちと相談しながら、必要な設定を細かく調整することも多いです。
そして、MRIやCTの撮像中からすでに画像を確認して、診断に結びつけていくことができるんです。「ああ、この構造はこうなってるね」とか、「これだったらこの術式がいいかもしれないね」と、検査中にすでに外科的方針まで話し合える。
つまり、自分の判断と責任で、スピード感を持って診断し、それが治療方針にも直結する。それが画像診断の一番の魅力であり、最大のやりがいだと感じています。
小林:
それでは、現在働かれているボストン小児病院について魅力を教えてください。
佐々木先生:
私は先天性心疾患が本当に好きで、新しい診断とかが出てくるのがワクワクするんです。ボストン小児病院は、全米でも症例数が断トツで多くて、日本で一番手術をやってる施設の約2.5倍の数を扱っています。だから、ここ以上に面白い場所はないと思っています。もしここを辞めるとしたら、それはもうこの分野に飽きたときだろうなと思うので、ずっとここで働きたいです。
ボストン小児病院を選んだのは、仕事の質も高いし、ボストン自体が東京の文京区のように大学が多く、生活もしやすいからです。日本への直行便もあるし、日本人も多くて和食も手に入るので、家族みんなで気に入っています。
ボストン小児病院では循環器の患者が病院全体の約3分の1を占めていて、ITサポートも循環器専門の人がいるほど、この分野に特化しています。
小林:
ボストン小児病院の勤務体系についても教えてください。
佐々木先生:
ボストン小児病院では、担当する分野によって働き方が大きく異なります。私の専門は画像診断で、すべてシフト制での勤務で基本的には朝7時〜夕方6時前後に業務が終了します。業務量が非常に多く、1人で全てをカバーするのは不可能なため、このスタイルが取られています。
例えば、月曜の午前中は「エコー担当」のシフト、午後は入院患者の対応や事務作業、研究などに時間をあてます。別の日には外来が入っていたり、MRIやCTのシフトだったりと、日によって仕事内容が変わるため、毎朝出勤して、その日のスケジュールに従って業務を進めていく形です。
また、自分の担当患者の手術日程を調整したり、外科チームや他の診療科と連携したりと、チーム間の連携やカンファレンスも非常に多いです。循環器領域では、毎週2回、朝7時から外科との合同カンファが行われ、疾患ごとのミーティングも複数あります。すべてに出席するのは現実的ではないため、自分の担当領域に関するものに絞って参加しています。
病棟で急変があったり、ICUで緊急エコーが必要になった場合には、「エコー当番」というオンコール担当の医師が対応します。たとえば夜6時以降にエコー検査が必要となった場合、当番医が自宅から呼ばれて対応します。この病院には大きなICUがあり、広範囲の地域から重症の小児心疾患の患者が搬送されてきます。緊急エコーの依頼は夜間にも頻繁にあります。
小林:
なるほど、先生の1日についてもお聞きしたいです。
佐々木先生:
私はだいたい朝7時半〜8時に出勤し、早ければ16時、遅いときで18〜19時に退勤します。オンコールは2週間に1回程度で、その際は夜遅くまで病院にいます。オンコール中は、帰宅後に電話がかかってきたり、自宅から画像データを確認してレポートを書き、必要であれば夜中に病院に行かなければならないこともあります。
「アメリカはシフト制で仕事とプライベートがきっちり分かれている」というイメージがありますが、画像診断に関しては、業務が完全にオフになるわけではないです。ただし、自宅でも仕事ができるため、育児との両立はしやすいと感じています。
一方で、たとえば夫(佐々木潤先生)のようにICU担当の医師は、勤務時間中は非常に忙しいですが、勤務外は完全にオフにできる働き方です。こうした点からも、診療分野によって働き方は大きく異なることを実感します。
小林:
先生は2人のお子さんの母でもありますが、仕事と育児との両立はどのようにされていますか?
佐々木先生:
私にとって、自宅で仕事ができるという点は大きなメリットでした。子どもがまだ小さかった頃は、保育園のお迎えが必要だったので、外来後すぐに病院を出て、子どもを迎えに行き、ご飯・寝かしつけをして、夜8時くらいからレポート作業を再開する、という日々を過ごしていました。
病院の電子カルテや画像診断ソフトには自宅からアクセスできるため、家庭の予定を優先して一度帰宅し、その後に仕事を進められる環境がとてもありがたかったです。家庭の時間をしっかり確保しながら、必要な仕事もこなせるというこの働き方は、育児中の医師にとって非常に助かるスタイルだと感じています。
小林:
出産のタイミングやキャリアの両立についてもお聞きしたいです。
佐々木先生:
出産や育児のタイミングについては、人それぞれですが、「no time is a good time(良いタイミングなんてない)」という言葉があります。私はフェローシップ3年目の12月に出産しました。妊娠中も外来や検査を多めにこなして、産後が楽になるように調整しました。
アメリカでは妊婦さんに対して周りが過剰に気を使うことはなく、健康なら普通に働けます。日本のように「妊娠したら当直できない」といった制約は少なく、若いうちはどうにかなるという実感があります。実際、産む日まで働くのが普通で、予定日過ぎても働ける雰囲気です。
アメリカの女性医師の85%が子どもを持つか里子を迎えており、「産むのが当然」という風潮があります。妊娠のタイミングで気を遣ったり遠慮したりすることもなく、みんな産みたい時に産みます。男性医師も3ヶ月程度の産休・育休を取ることが一般的になっており、育児への取り組みや職場の理解が進んでいます。
ボストン小児病院では最低3ヶ月、スタッフなら5ヶ月の産休が保証されています。産休は連続で取る人もいれば、分けて取る人もいて、柔軟に対応することができます。
小林:
そうだったんですね、実際に働かれている中でアメリカで働く女性医師のメリットとデメリットに関して何か感じたことはありますか?
佐々木先生:
アメリカで女性医師として働くメリットとしては、昔よりも女性の地位や待遇がかなり改善されていて、給料の格差も減り、重要ポストにも女性が積極的に採用されるようになっていることがあります。デメリットは正直ありません(笑)。ただ、私が若い頃はまだ給料差や発言を軽視されることもあり、特に外科系では男尊女卑が強かったです。
日本は給料格差はあまりないと言われますが、そもそも第一線で働く女性医師の数が少なく、比較にならないと思います。アメリカは女性医師が多い環境で、女性の存在感が大きいです。
私自身、フロリダで給料格差を経験し、それも理由でニューヨークに移りました。職場によってはまだ差がある場所もあるものの、最近は第三者機関が調査して男女差をなくそうと努力しているところが多いです。
小林:
これからアメリカで働きたいと考えている女性医師や医学生に何かアドバイスはありますか?
佐々木先生:
私がポジションを得られたのは諦めずに真面目に働き続けたからで、それが一番大事だと思います。日本でもアメリカでもコツコツ努力を続けることが評価されるのは同じだと思います。
アメリカ特有のこととして、待遇や給料について交渉をしっかりすることです。また、アメリカでは男性は交渉するので給料が高い傾向がありますが、女性はしないと思われているので低く設定されていることがあります。研修医時代はお給料は規則により定められているため、交渉の余地はないですが、トレーニングが終わり指導医になるタイミングで自分のために交渉する必要があります。
また、男女格差は給料面だけでなく、会議での扱いや昇進にも影響があります。表面化しにくいので注意が必要で、上位ポジションになるほど格差が顕著になります。
小林:
ご夫婦で同じ地域で働かれているとのことですが、勤務地や職場選びの際に調整が難しかったことや、どのように乗り越えてこられたかをお聞きしてもよろしいですか?
佐々木先生:
夫婦で同じ地域で働くには、正直なところ思い通りにいかないことも多いです。若い頃は「自分の希望が通らなかった」と喧嘩になることもありましたが、今振り返れば、どんな場所でも得られる経験はあるし、結果として今はとても満足のいく環境にたどり着けました。最初から二人ともが希望通りの職に就けることは難しいですが、話し合いながら柔軟に対応していけば、必ず道は開けます。相手に合わせた結果として第一希望に行けなくても、それで「終わり」とは決して思わないこと。むしろ、二人で働けることによる経済的な安定や豊かさは、長い目で見れば大きなメリットです。
また、スタッフとして採用される際には、病院側が「配偶者は何をしているのか」「家族がその土地で幸せに暮らせるか」といったことをかなり気にします。というのも、アメリカでは一人の医師を採用するのに多大な書類と時間(数ヶ月)が必要で、すぐに辞められると大きな損失になるからです。転職理由として最も多いのが「家族の事情」であるため、そこは非常に重要視されます。それから “夫婦セット”での採用は、アメリカではごく普通の考え方です。病院内で他の科に声をかけて「配偶者も雇って」と調整が入ることもよくあります。
小林:
将来アメリカで医師として働きたいと考えている学生に向けて、学生時代にやっておいたほうがいいことはありますか?
佐々木先生;
学生時代にやっておくべきことは、やっぱり英語の勉強です。日本人は他の外国人に比べ英語が苦手な人が多いので、その差を埋める努力はとても大切だと思います。
また、アメリカで働く医師たちを見ていると、医者である前に一人の人間としてすごく魅力的な人が多いことに気づきます。アメリカでは医学部に入る前に大学を卒業している人が多いこともあり、趣味が多彩だったり、医療以外の分野で優れた実績を持っていたりします。だからこそ、学生のうちにもっと自分磨きや趣味、人間としての豊かさを育むことが大切だと思います。時間のある学生時代をただなんとなく過ごすのではなく、夢中になれることを見つけて自分を広げる時間にしてほしいと、今強く感じています。
小林:
今後のキャリアについて、どのような方向性を考えていらっしゃいますか?
佐々木先生:
今後のキャリアについてですが、私はもともと野心的なタイプではなくて、臨床が好きで、そこに一番やりがいを感じています。もちろん、まだまだ勉強が必要ですが、自分の得意分野でもあるので、これからも続けていきたいです。
これまではリサーチは少しずつ関わる程度で、正直あまり得意ではなかったんですが、上司から「もっと挑戦してみたら」と勧められていて、少しずつ臨床研究にも力を入れていこうと思っています。具体的には、心臓MRIの撮影技術(シークエンス)の精度を評価したり、診断における有用性を検証したりしています。また、先天性心疾患の画像診断を通じてリスク要因を明らかにするような研究や、画像をツールとして使った臨床的な研究にも行なっています。
さらに、今後は「医療費の効率的な使い方」にも興味があり、その分野の研究にも取り組んでいきたいと考えています。
小林:
最後に海外を目指す医学生や若手医師に何か一言メッセージお願いします。
佐々木先生:
「アメリカで学問を極めたい!」と強い目的を持つ必要は必ずしもないのではと私は思っています。憧れや興味で来てみるだけでも十分意味があります。大事なのは、来てからどれだけ頑張るかです。
人生は長いので、若いうちから進路を決めすぎなくてもいいと思います。むしろ、アメリカで生活しながら出会いや経験を通じて、自分に合った道を見つけるほうが自然です。
アメリカでは想像以上のことが起こり、思い通りにいかないことも多いですが、その中でやりがいを見つけてほしいと思います。こちらで成功している人は、アメリカ生活自体を楽しめている人が多いなという印象を受けます。
文化や環境は日本と違い、良い面も悪い面もありますが、自由で女性が働きやすい環境が多いのは魅力です。
なので、失敗を恐れず「とりあえず行ってみよう」という勢いも大切です。その中で自分らしいキャリアを築いていければ、それが一番だと思います。
小林:
とても勉強になりました。お忙しいところご協力いただき、本当にありがとうございました!
佐々木先生からおすすめの本を紹介していただきました!
“Career and Family: Women’s Century-Long Journey Toward Equity”
Claudia Golden著
佐々木先生:
2023年にノーベル経済学賞を受賞した経済学者Claudia Golden本です。彼女は女性のキャリアや労働市場における女性の歴史的影響を研究していて、その成果が評価されました。私もこの本を読んで以来、女子学生向けの講演でよく紹介していて、日本のジェンダー問題の現状を理解するのに非常に役立つ内容です。教育に関わる先生方にもぜひ読んでほしいと思います。
やる気のある女子学生にはアメリカに来てほしいし社会を動かす力になってほしいです。男性中心の社会で「待つだけ」では変わらないからです。アメリカには多くの中年・高齢女性医師や研究者がおり、彼女たちのリーダーシップのお陰で、働きやすくなっています。日本でもそうした強い意志を持った女性が増え、次世代が生きやすい社会を作る力になるべきだと思います。
ぜひ読んでみてください!
COMMENTS