このブログには薬剤師が恐らく私一人であり、薬剤師の留学って何なん?って思う方もいらっしゃるかと思うので(いないかもしれませんが)、これから数回に分けて、アメリカで薬剤師になる方法や留学方法などについて、お話していこうかと思います。

 

初めに、日本で学部以上の教育を受けた日本人がアメリカで薬剤師になるのは、本当に大変だと思います(もちろん、他の医療職もそうですが)。どの道を選んでも、何かしらの高い壁にぶつかることになると思いますが、その大変な部分も含めて愚痴も混ぜつつお話しします。

 

まず、アメリカで薬剤師になる方法ついてですが、大きく分けて3つあると思います。

そのうちの2つは、

アメリカの大学院に通い、PharmD (Doctor of Pharmacy) の学位をとり、薬剤師免許の試験を受験し、免許を取得するー正規入学or 編入

という方法です。これについて今回はお話しします。

 

まず、基本的なアメリカに置ける薬剤師の教育について。

アメリカの薬学教育は、学部ではなく大学院教育が基本です。理系の大学やコミュニティカレッジなどに通って、薬学大学院(これが正しい日本語名なのかは定かではないです)に入学するのに必要な単位を取得し、PCAT (Pharmacy College Admission Test)と呼ばれる、薬学大学院用のセンター試験のようなものを受験し、その成績やエッセイ、面接などの結果がよければ、晴れて大学院への進学が決まります。ここでは薬学大学院をCollege of Pharmacy, COPと記載させて頂きます。COPのカリキュラムは基本4年間、内容は薬理学や薬物動態学、薬物治療学、薬剤経済学、薬剤経営学、薬物情報学など、薬剤師として薬局や病院で活躍していくために必要な知識を学びます。この大学院を卒業すると得られる学位はPharm.D=Doctor of Pharmacyと呼ばれ、Ph.Dとは異なります。このカリキュラム経た薬剤師は全員Pharm.Dを持っており、Dr.と呼ばれます。

 

薬剤師になりたいアメリカの学生は、大体学部で2−4年、COPで4年の合計6−8年かけて薬剤師になることになります。

 

現在少数ではありますが、アメリカのCOPの中には、海外で取得した単位をCOPへの入学や編入への単位として認めている大学もあリます。私は日本の薬学部を卒業し、薬剤師免許も持っているため、日本で取得した単位を使って、COPの2年次に編入しました。編入後は、他の一般の薬学生と同じく、それぞれの教科の授業を受け、定期試験をパスし、病院や薬局、製薬企業などでの実務実習を経て卒業、Pharm.Dを取得し、薬剤師免許受験を経て免許取得という現在に至ります。

 

さて、その編入方法ですが、数少ない編入を認めている大学のうちから、私はフロリダ州にある、私立のNova Southeastern University College of Pharmacyを選びました。ここを選んだ理由は、

 

日本人薬剤師でこの大学を卒業している人が何人かおり、情報収集しやすい。

他の同じようなカリキュラムを持つ大学に比べてほんの少し学費が安い。

 

の二つの理由からでした。

さらにこの大学はインターナショナルクラスを設けており、海外の薬学部を卒業し、単位を移行した学生向けのクラスがあるのが特徴です(クラスのほとんどはインド人、しかもみんな名字はPatelですが)。

 

とは言え、私にとってはこの編入すら、地獄の道のりでした。というのも、

 

  1. 1. 入学条件のうちの1つがTOEFL 80点以上 or IELTS 6.0 (一般的な大学よりも低めのラインですし、皆さんには簡単でしょう….でも最後の英語を勉強したのが何年も前、英語なんて話したこともなければ、外国人の友達すらいなかった私にとっては、それはもう、大変でした…)
  2. 2. 他の大学よりも授業料が安いと言えども、授業料は合計で1500万円以上。生活費も合わせれは2000万円は絶対必要 (アメリカ国民であれば、恐らく国や州や大学からローンが借りられますが、留学生はもちろんアメリカでのローンは不可。)

 

この2つの壁が私には高すぎたからです。

 

さて、この壁をどうやって乗り越えたか、次のブログで書いていこうと思います。

なにぶん気まぐれな性格なので、いつになるかはわかりませんが、乞うご期待(してくれている方がいるといいですが….)!