少し前の論文になりますが、del Nido cardioplegiaの話。

確か日本では販売していないんじゃないかな。

 

Thaiでは使ってなかった。Emoryでも少数派でした。

太田先生はdel Nidoなので、確認の意味で論文探しました。

 

新し目で、まとまっている論文が見つからず。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26445810/

del Nido cardioplegia in adult cardiac surgery – scopes and concerns

 

del Nido心筋保護液のReviewになります。

少し古い、2016年の論文。

 

まず、del Nido心筋保護液(DNP)はもともと小児用のCardioplegia(CP)で、

比較的最近、大人に使用されるようになっています。

ポイントは、single shotで長時間心停止を得られることです。

 

内容は、

Plasmalyte A 1000 ml
20 % Mannitol 16.3 ml
50 % MgSO4 4 ml
8.4 % Sodium Bicarbonate 13 ml
Potassium Chloride (2 meq/ml) 13 ml
1 % Lidocaine 13 ml

 

血液と混ぜて1:4 にすると、

Sodium 150 mmol/l
Chloride 132
Potassium 24
Magnesium 6
Calcium 0.4
Lidocaine 140 mg/l
Mannitol 2.6 g/l
Sodium Bicarbonate 26

NaチャンネルブロッカーのLidocaineが入っているのと、Caが入ってない。

 

Emoryで、HOCMの手術の時に、サポートでscrubしていた前チーフのR. Guyton先生が、

『これ、del Nidoだよな、(心筋保護がdel Nidoだと)心筋の感じ(心停止後)がいつもと違うな』

と、おっしゃっていました。

本当かな?とは思いましたが。

 

この論文の中でも、DNPとconventional CPとを比較したstudyが引用されています。

やっぱり、心停止時間、CPB時間は短い。特にconventional CPより劣るということはないようです。

 

大体1:4の血液混合で使用するらしい。

投与量としては、初回20 ml/kg (max 1000 ml)、second doseは90 minで。

anteがいいとかretroがいいとかは不明のようです。

あと、太田先生も良くおっしゃっているが、delayed recovery of heartが見られるそうです。

あとは、高濃度のKの影響の懸念があると。coronary vasoconstriction、reperfusionの際の心筋虚血なんかが書かれてました。

 

やはり、single-doseでlong-actingというのは魅力かと思います。

今のところ、使用していて特に気になることはありません。

sick caseや、long clamping caseに対してどうかというのは思いますね。

 

少し、追加で論文を検索したいと思います。

 

March 8, 2021

AN