心臓外科医12年目 男 北原大翔の質問
VISAのことよくわかっていないのでとりあえず色々教えてください。
岡村(心臓外科医@スタンフォード大学)の答え
アメリカに来て1ヶ月半ほど経ちました。
仕事では、時々ですが新生児のブタに人工心肺をつけて脳MRIを撮影するということをしています。準備から手術、後片付けまで本当に大変です。
プライベートでは、先週末にヨセミテ国立公園に行ってきました。壮大という言葉がピッタリの場所でした。また行こうと思います。
ところで以前、北原先生がブログのどこかで「ビザはJ-1よりもH1Bが絶対にいい!理由は分からないけどH1Bがいい。」って話を書いていたので、アメリカのビザのことを書きたいと思います。
調べた限り、その理由を記載しているサイトは見つからなかったので、僕なりになぜJ-1よりもH1Bが良いのか考えてみました。
というよりもJ-1ビザのデメリットに気づいたので書いてみたいと思います。
ちなみに僕は研究留学なので、J-1ビザで入国しています。家族はJ-2です。
〜なぜJ-1よりもH1Bが良いのか〜
その①
まずはじめにJ-1ビザの”two year rule”が原因だと思います。
ネット記事を読んでいて誤情報が散見されたので確認ですが、J-1ビザにおける”two year rule”=”2年で帰国しなきゃいけない”は誤りで、正しくは、
「two year ruleとは、プログラム終了後に自国または渡米前に居住していた国に、少なくとも2年間居住しなければ移民ビザ、婚約者ビザ、短期就労ビザまたは企業内転勤者ビザが発行されない。」というルールです。
つまり、帰国後に2年間は自国に滞在しないと、もう一回渡米できないですよー、という縛りのことです。
そして、さらに重要なことは
two year ruleはJ-1ビザの全員に適応される訳ではない
ということです。
僕のビザを加工してupしたので見て頂くと分かると思いますが、僕はtwo year ruleが適応されていません。
では、two year ruleが適応される人とされない人の違いは何かというと、ビザ申請のためにアメリカ大使館で面接を受けるときに、DS-2019(留学先から発行される就労許可証)のtwo year ruleの項目に面接官がチェックを付けるかどうか、で決まります。
本当にそれだけです。
実際に面接に行くと分かるのですが、面接官がチェックボックスにチェックを入れるのを目の当たりにします。
その時は、内心結構ヒヤヒヤしました。
付け加えますと、おそらく医師が研究留学する場合は、多くはtwo year ruleの対象にならないと思いますが、適応されている先生もいるようなので、僕には詳細な基準はわかりません。
〜なぜJ-1よりもH1Bがよいのか〜
その②
DS-2019が基本的に1年更新なので、多くの先生は毎年領事館に出向いてビザの更新手続きをしなければならない、ことがあると思います。
僕は、まだ渡米したばかりで聞いた話ではありますが、毎年領事館に行くのは面倒だなぁと思っています。
留学生の中には、1年で切れたJ-1ビザのまま滞在している留学生もいます。実際。
この場合、2年目以降にアメリカでの生活に支障はありませんが、万が一帰国しなければならない緊急事態(家族の不幸とか)があった際に、再入国ができなくなるという点でリスキーなのかなと思います。アメリカに居続けるだけであれば、生活上は問題になることはありません。たぶん。
そもそもDS-2019が2年更新の留学生もいるようですが、期間がどうやって決まるのかは分かりません。
〜なぜJ-1よりもH1Bがよいのか〜
その③
J-1ビザでアメリカ滞在中に、一時的に海外旅行に行く場合や日本に戻る場合、DS-2019に一筆サインをもらう必要がある、というのもJ-1が面倒な要因の1つです。
アメリカは移民国家ですので、各所属施設には必ずInternational officeみたいな部署(外国人を対応する部署)があります。
そこに出向いて、事務所のおじさんに理由を伝えて、DS-2019右下のTRAVEL VALIDATION BY RESPONSIBLE OFFICERという欄にサインしてもらう必要があります。
家族同伴の場合、家族全員のJ-2ビザ用のDS-2019にもサインをもらう必要があります。1度もらえばDS-2019の期間内は何度でも海外に行くことは可能になりますが、DS-2019が基本1年更新で、普通は年に何度も海外に行く訳ではないので、結局のところ一時帰国の度にInternational officeに出向く必要があります。
〜なぜJ-1よりもH1Bがよいのか〜
その④
J-1ビザでの滞在は、原則5年間が最大となる、ことも要因の1つかと思います。
https://www.immi-usa.com/j1-visa/j1-visa-extension/
こちらも↑を参照して頂ければと思いますが、
Teachers, scholars, researchers, and professors – five years.
とあります。
また、僕が所属するStanford大学では、title(日本でいう肩書き。教授とか講師とか助教とか大学院生とか。)によって大学がDS-2019を更新してくれるかどうかが決まる、と上司に言われました。
つまり、J-1だからって5年間必ず更新できるとも限らないようです。
僕は幸いVisiting Instructorというtitleなので、更新がしやすいらしいですが、よくあるPostdoctoral fellow(いわゆるポスドク)だとStanfordの場合2年でバッサリと帰らされるそうです。。。
僕が思いつく限り、J-1のデメリットは以上です。
いろいろ書きましたが、僕自身今の所はJ-1ビザだからといって不便を感じたことはありません。
折に触れて面倒なことが起きるということなのだと思います。
ちなみに、J-1のメリットも記載しておくと、
・税金がかからない(正確には、払った税金が確定申告の際に返納される”らしい”)。
・J-2ビザで入国している家族(特に奥さん)がアメリカで働くことができる(H1Bは配偶者は働けないそうです)。
の2点だと思います。
何かまた気づいたことがあれば書きたいと思います。
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