今更ですが上のグラフは2018年の出生率が過去最低の91.8万人だったよってグラフです。3年連続で100万人割れ、また1人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は1.42でした。
自分が小児心臓を扱う医師だからか非常にこの値が気になってしまいます。ちなみに先天性心疾患は100出生あたり1人の割合で発生すると言われているので100で割って9000人。このうち手術適応になったりする子はもう少し少ないのと、再手術が必要な子などもいて日本の年間の手術数は大体7000~8000を毎年推移していますが確実に減少していくと予想されます。
さて本題、最近以下リンクのTEDを見ていて非常に良い内容だったので是非観ていただきたいです。; ワハジャットアリ 子供を持つべき理由
アメリカに来る前、またこの動画を見る前はアメリカは女性の社会進出や育児の法整備などに関して先進国なんだろうなあと勝手に思っていたのですが…そうでもない!笑 っていうか日本すごいよくない?って思えます。
この動画であったのは
・アメリカは有給の産休・育休はない(うちのPAさん臨月まで働いてました)
・医療保険がないと1出産あたり$32,000-かかる(約350万円ですね)
・この人は子供のDay Careに毎月$3,500-(約38万円ですね)
かかってる…最悪じゃん!
片や日本はどうでしょう保険対象外ですがそこまではかからないし、出産一時金やらある。有給の産休もある。
数に限りがあったりして大変ですが認可保育園などなど もちろんまだまだ課題はありますが”そんなにひどくないぜ?”っていうところです。
しかし子供を持たない人が実際増えています。(誤解がないように、欲しくても止むを得ず子供ができない方達のことには言及しておりません。文面からわかると思いますが念のため)
この人も言っていますが子供を持たない理由のNo.1が “financial concerns” 経済的不安です。個人的にはこの動画にあるハンガリーの政策の4人以上子供がいる家庭は所得税0っていうの良いと思いますが笑(日本だとせめて減額とか)
もう1回書きますが日本だと経済的不安はそんなに悪くありませんnot terribleです。
個人的な考えですが日本の”子供がお荷物的空気”一斉にやめません?それ大きいと思うんですよ
多くの女性が感じるであろう出産で一時離脱した際のキャリアが止まる、実際に戻りにくい”空気”
子供が熱出して早退しなきゃいけない時の、申し訳ない”空気”
子供の泣き声や遊び声にクレーム入れる大人たちの”空気”などなど
それをもっと
テレビで”子供がいる幸せな家庭”とか”今週のちびっこヒーロー”とかもっと増やして
”子供の運動会行くお父さん格好いい!”とか”定時までに仕事片付けて保育園に迎えに行くお母さん格好いい!もうボーナス20%up”みたいな笑 空気にしたいですね。
最後にこの動画でこの方はTEDトークの3日前に最愛の娘がステージ4の肝臓ガンだと知ります。
それでもこのトークの最後に
“Deciding to have babies was the best decision we ever made.”
“子供を持つというのは私たち夫婦がこれまでした決断の中で最高のものでした。”と語ります。
泣けますね、かっこいいですね。是非一度見てみてください。
教育費に関しては2020年4月から高等学校等就学支援金制度で一定の収入以下の家庭は実質(私立に関しても)高校無償化になるのでもはや日本が教育費が高いというのはないと思います。習い事はそもそもオプションですから国がどうこうすることではないですし、大学はなんだったらアメリカバカ高いのでtotalでも日本の方が良いかと思われます。
なのでどちらかというと経済的理由以外の社会的ストレスや子供に割く労力より自分を優先する人が増えているのかなあと思う今日この頃です。
アメリカも実際合計特殊出生率は下がってきており、労働力や税収減を移民で賄っているから成り立っているだけのようです。なので日本もある程度の移民受け入れはして行くべきなのかなあと思います。(もちろんビザ管理とかをより一層しっかりする必要がありますが)
子供のことも考えてキャリアを決めるのが当たり前なアメリカ文化はすごい好きですね。色々将来を考えさせられます。
高校が私立でも無償化というのはすごいですね。(これが、将来の出生率に影響を与えるかどうかはわかりませんが。)習い事はもちろん個人の自由ですが、多くの日本の子供は習い事や塾に行ってますから、みんなと同じことをしないと不安になる人たち、また教育費に関係なく「良い学校」に子供を入れることにエネルギーを費やしている日本では、結局こういう「教育費」は少なくならない。子供が多ければ、それなりのスペースがある家に住みたいから、その「居住費」とかも考えるでしょうし。でも、少子化自体は経済的以外の要因が多いでしょうね。
今回の一時帰国で、日本にアジアからの移民の方が増えたのには驚きました。コンビニやスーパーのレジとかは、大半は移民の方でした。ニュージーランドも学歴一辺倒でなく、子供自身が何をしたいかを考えて、将来を決めていく(多くの場合は)という感じなので、娘が日本でなくてニュージーランドで育てられて、よかったと思っています。
経済的なものとしては、日本では教育費が高いですよね。これに対して全ての人を援助はする財力は政府にはないでしょう。(税金をあげれば別ですが)。無意味な学歴主義とか、習い事とかさせる習慣を変えるには相当の時間とエネルギーがかかります。また多分、経済的理由以外にも子供を作らない理由はあるでしょう。子育てのほとんどのストレスを女性が担う事になるが嫌だとか、子供に時間を取られるよりも、自分の時間を楽しみたいとか。日本の『働き方改革』が真の意味で実行されれば(ただ帳簿上の勤務時間を短くするだけでなく、世間の長時間仕事をするのが美徳であるという考え方が変わる)、子供の数も増えるかもしれません。私も子供から多くのことを学びました。あと2人くらい欲しかったです(笑)。