お邪魔いたします。シカゴ大学太田です。
おっさんラジオいちファン様へ
拝啓
萌芽の候、貴殿におかれましては、この災禍にあってご苦労も多いかと拝察いたしております。
先日はおっさんずラジオ宛にファックスにてお手紙をいただきまして誠にありがとうございます。いつもおっさんずラジオを聴いていただいているとのことで大変感謝したしております。
元を正せばこの企画は、常に効率よく完璧であることが求められ、また一旦思わざる過誤を犯せば末代まで祟るとばかりに非議の槍玉に上がる入り組んだ現代社会において、瑕疵の許容および不完全のススメをメインテーマに、必要なものを全て取り払った残滓である「おっさんどうしのただの日常会話」を提供することにより、なんの実入りもない「無駄」な時間を過ごしていただき、その「非日常」を楽しむことで心にゆとりを持っていただくのが目的であります。
実を言いますとこれ、チームWADAの企画会議に通すために考えた大義名分であります。ホントはラジオを公開し、例えば再生回数5くらいにおわり、有名(?)Youtuber北原代表に「いい企画なんですけど、ちょっとどうでしょうか?」と言われればしめたものだったのです。例えばこうです。
北原(仮)「いい企画なんですけど、ちょっとどうでしょうか?」
太田(仮)「なにが?」
北原(仮)「いや、ラジオですけど再生回数5なんですけど」
太田(仮)「あーええ感じやん」
北原(仮)「いやいや、誰も聴いてないんですけど」
太田(仮)「そんなことないよ、私2回聴いたで」
北原(仮)「2回も?自分で?」
太田(仮)「せや、自分大好きやからな」
北原(仮)「まあそれはいいんですけど、僕も一回聞いたので、つまりあと他に2人しか聴いてないんですよ」
太田(仮)「すごいやん、2人もおるやん!」
北原(仮)「いやいや、やはり平均視聴回数って大事ですので。。」
太田(仮)「やっぱ大物ユーチューバーは言うことが違うな」
北原(仮)「いやいや、大物ではないです」
太田(仮)「え?!ほな小物か?」
北原(仮)「いやそういうことではなくて」
太田(仮)「ユーチューバーってのは否定せずやな」
北原(仮)「まあなんならもうyoutuberです。それより聴いてるの2人だけ説の件ですけど」
太田(仮)「あーそれな、それ多分先生のオトンとオカンやで」
北原(仮)「え?なんで?」
太田(仮)「実はな。。。
ってな具合にラジオの低視聴率に関して繰り広げられるであろう後日談をネタにブログでまた何かそれっぽいことを言って、対費用効果を重視し成果主義の世の中に物申してみようというのが当初の目論見でした。
しかし、ここにきて貴殿からの「愛のファクシミリ」です。
ホント驚きました。当初の予想を遥かに超えてたくさんの方にラジオを視聴していただき、また、ファックスにて丁寧な感想・ご意見まで頂けるとは思いもよりませんでした。受け取った刹那、「今時ファックスっておい!。。。逆に新しいな!」などと独語しておりましたが、お手紙を読みすすめるにつれ、貴殿のラジオ愛に魂を揺さぶられました。前述の通りなんでもない不純な(?)動機で始めたおっさんずラジオですが、しっかりと昇華させなければと気持ちを新たにいたしました。
ご指摘の私が大野先生に「友達ちゃうけどな」と発言した件や私と大野先生の間柄についてお答えする前に、まずお茶漬けレベルについて説明させてください。
貴殿も小学校の時の道徳の時間に習ったと思うので詳細は割愛しますが、一般的なお茶漬けレベルは概ね以下のような分類になると思います。
お茶漬けレベルブロンズ:ご飯にお茶漬けの素を乗せポットのお湯を注ぐ
お茶漬けレベルシルバー:ご飯にお茶漬けの素(永谷園除く)を乗せ急須でお茶を注ぐ
お茶漬けレベルゴールド:ご飯に高級お茶漬けパック(デパ地下起源)を乗せ急須でお茶を注ぐ
お茶漬けレベルプラチナ:ご飯に独自の具(鯛、鰻、しらす、大葉、安曇野わさび等)を乗せ急須でお茶(最高級玉露匠)もしくは出汁(極撰豊後だし)を注ぐ
お茶漬けレベルブラック:Invitation only
お茶漬けは、ご飯、具材、汁が調和し、それらが一体化して舌の上で味のハーモニーを奏で、サラサラと喉越しよく体の中枢へと誘われ、熱い吐息を吹き返す瞬間に香りの森を抜ける。そんな究極のお茶漬けを追い求める「お茶漬け道」は人生の縮図です。美味しいお米、香り高い具材、素材を際立たせるお茶っ葉、いろんな要素を研究し向上させ、高みを目指して日々コツコツ努力することが前人未到の偉業「お茶漬け道」を極めるという究極の人類の夢を叶えうる唯一の道なのだと思うのです。
そんな日々の試行錯誤の繰り返しの中、本道とは外れたところで人は思いもよらない戸惑いに遭遇するものです。それがかの有名な「お茶漬けを完食した後に、少しお茶を飲みたいな、あ、でも湯呑みがないな、えーい、お茶碗にお茶を注いで飲んでしまえ」問題、またの名を「お茶漬け界のリーマン予想」です。この誰しもが遭遇する難攻不落の問題。誰もお茶碗にお茶を注いでお茶を飲む誘惑に打ち勝つことなどできないのです。
ところが、思いもよらない何気ない一言や行いが人生を豊かにするように、「お茶漬けリーマン予想」を解かなくてもこの問題を先送りする方法があるのです。
湯呑みをそっと置いておくのです。
その湯呑みの存在は、お茶漬けバトルの戦士をそっと影で支え、勝敗に関わりなく戦士たちを暖かく迎え、そして「戸惑い」から解放してくれるのです。戦士を癒し世紀の戦いの本道に心血を注ぐことを可能にする湯呑みの存在はまさにお茶漬け道における究極の安息の地なのです。
(訳註:お茶漬けをサラッと食べて、その後湯呑みでお茶を飲めるよ!)
つまりそういうことです。
大野先生は私の人生における「湯呑み」です。私が心臓外科医を追及できるのも、ラジオで「友達ちゃうけどな」と少々荒めの言葉を使えるのも、安息の地に湯呑みがあるから、テキサスの地に大野先生がいるからなのです。ですので、おっさんラジオいちファン様、どうか私のラジオ・ブログ等での失言や不行儀はこの湯呑みに免じてご容赦くださいませ。
これからも湯呑みと共に、もとい、大野先生と共におっさんずラジオが良い作品となり後世に語り継がれるよう励んでまいります。より一層のご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。時節柄、くれぐれもご自愛のほどお祈り申し上げます。
敬具
チームWADA 副代表 太田壮美
追伸1:大野先生より貴殿へのメールを預かりましたので下記に添付いたします。ぜひご一読くださいませ。
以下、大野より
前略
おっさんラジオ、いちファン 様
先日は、ファックスを頂いたそうで、誠にありがとうございます。
第2回のラジオでの壮美の心無い態度で深く傷ついた私の心が、少しだけ癒されました。
壮美と出会って10年、、、
お笑い芸人として、どんどん大きくなる壮美の背中を、必死で追いかけてここまできました。
壮美が、分かりにくいボケで、周りにツッコんでもらえなかった時も、
壮美が、ツッコんでもらえなかったボケで、今度こそ!とボケて、それでもツッコんでもらえなかった時も、
壮美が、言ってからオモロかったと思うと、必ず2回言って自分だけ笑ってしまい、周りが苦笑いになった時も、
いつも壮美のそばで見守ってきました、、、
ご心配頂いたようですが、私は大丈夫です!
今は一方通行の想いですが、いつか壮美が立派に大爆笑をとれる日がきて、きっと報われると信じています!
壮美が、お笑い芸人としてもっともっと大きくなれるよう、これからも壮美の応援、よろしくお願いします!!
草々
大野 GUSO 正裕
以上。
それではおっさんずラジオvol.4「愛のファクシミリ」ご査収ください。
追伸2:不完全こそこの企画の醍醐味ではありますが、一応指摘させていただきます。厳密には「おっさんラジオ」ではなく「おっさんずラジオ」でございます。よろしくお願いいたします。
タケヨシ
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