ベルギーの澁谷です。

 

昨日オランダ語の資格を取ったことを記事にしたばっかりですが、今日事件が起きました。

 

重症大動脈弁狭窄症(severeAS)で小切開での大動脈弁置換術の患者さんの手術がありました。

 

術者が遅れて来るまでにばーっと準備して、はいっ!おいしいとこどうぞ!ってやるのが僕の手術室でのお仕事なのですが、今日もそんな感じで手術前のタイムアウト(オランダ語)もほどほどに「マグイクメッシェアルシュブリーフト?(メスいただけますか?)」とかいって皮膚切開しようとしたときでした。

いつもは僕のタイムアウトはオランダ語の発音が怪しいのでみんなで笑ってくれるかそのままさっとスタートさせてくれるのですが、今日に限って麻酔科医が顔を乗り出して、「ホニャホニャホニャホニャ〜、カルディオプレヒー?」とか言ってきました。

 

するとなんかみんな、あれ?ちょっと、まじ?みたいな雰囲気になったのでその雰囲気だけはわかったのと、カルディオプレヒーっていうのは心筋保護のことというのだけは理解できてました。まあもうメスも持ってるし、状況はとりあえずよくわからないですが僕は早く準備したい一心で、「ok、で、はじめていい?」と言ってさりげなくオペを始めようとしました。

すると、また麻酔科医が「ホニャホニャホニャホニャ〜、カルディオプレヒー?」と食い下がってきました。こいつと話してもらちがあかないと思ったのか経食道心エコーの画像を見せてきて、大動脈弁逆流を見せてきます。

僕としては、あれー?今朝の術前カンファだと大動脈弁逆流なかったのに〜。なんじゃらほい。ぐらいの軽い気持ちでもうはじめようとしていたのですが、それがあると小切開手術が成り立たず、手術のプラン変更が必要じゃないかという麻酔科医からのとても大事な提案だったのです。

 

もちろん結局術者に電話がいき、術者の指示で「タイ(僕はタイと呼ばれてます)、小切開は無理だから、プラン変更で正中切開で準備進めて!残念だけど仕方ないね」とすぐ伝達が来ました。

 

そんなこともわからず、早く進めたい一心で、小切開の手術の準備を進めようとしてしまったのでとても恥ずかしく、周りからも「ほら〜、やっぱりあいつわかってないじゃん!」感がひしひしと伝わってきた(ような気がした)ので、一人でバツの悪い思いをしたまま手術はその後何事もなく終わりました。

 

手術終わった後、アドバイスをくれた麻酔科医にさっきはごめんねと謝りにいきました。麻酔科医もとてもナイスガイなので「大事な情報は聞いてくれると嬉しいな、二件目もがんばろう!」みたいに、控えめながらも神対応してくれてとてもジーンと来ました。

 

言葉って難しいですね〜。コミュニケーションの大事さを痛感しました。それと、何も考えずに手術に臨んでたのがバレた気がして、何重にも恥ずかしかった1日です。

とほほ。

 

写真は全然関係ないですが、旧小児科病棟前の落書きです。オランダ語がたくさん書いてあります。