お邪魔いたします。シカゴ大学太田です。

 

米国の医療現場で働いていると毎日のように”Nice to meet you(初めまして)”が飛び交います。できるだけ個人一人に頼らず組織で医療を支えるように構築してある関係上、いろいろな職種の人が入れ替わり立ち替わり時間制で働いていることが理由の一つです。また自分に合う職場を見つけるまで職場・職を変えて転々とすることに寛容であること、同じ職でも並行して学校に通い職種をステップアップしていく文化があることなどもその要因の一つなのでしょう。その反面、Nice to meet youの直後から医療チームの一員として割と高いクオリティの仕事が求められます。「石の上にも三年」の文化でスロースタート、大器晩成型が多い日本人が働き始めるときは辛いシステムかもしれません。見習い期間はもちろんありますし、指導役がつくこともあるのですが、その期間は日本人が一般的に思うそれより極端に短く、指導役自体がまだ新人の部類に属する場合なんかも多々あることです。そして出来が悪い人たちはすぐにクビになります。組織として医療のレベルを保つために必要なことなのかもしれません。できない人を時間をかけて我慢強く教えたり、尻拭いをし続けるという文化はあまりないのです。日本人外科医が臨床留学する際によく採用されるフェローのポジションでも同様の傾向があります。クビといっても「明日からもう来なくて良い」というのは相当なことがない限り法律上難しいので、大抵の場合は「お金がないので来年の契約更新ができない」と言われて契約期間内は波風を立てないように干されるのが普通です。経歴上は「クビ」にはならず一年のフェローシップを修了した形になるので割と良心的なクビと言えるのではないでしょうか。その職場や職業に適さない人は早々にダメ出しをされる・ダメ出しできるシステムは厳しいようですが、本人にとって早く諦めをつけて別の道を探すことが可能ですし、職場にとってもある程度のレベルの維持のため、また不適切な人材に無駄に労力を割くことを避けれるので良いシステムと呼べるのかもしれません。しかし、大器晩成型の隠れた優秀な人材を見逃す・失うことになるかもしれない欠点もあるかもしれません。このSNS社会にあってもそのような日本人フェロークビの話題はあまり出てきませんが、頻繁にとは言わないまでも、割と良くあることです。とはいっても「明日からもう来なくていいよ」バージョンを私は2件だけしか知りませんが。

 

ところで皆様、あけましておめでとうございます(やっと言えた、もう2月だけど。。)。

 

本年度1月から月岡先生がフェローとしてシカゴ大学に来てくれました。皆様ご存知の通りTwitterアルファ垢@TsukiokaYusukeをお持ちの大物です(医療とカンケーねーけども)。本人がこのブログを読めばなんだか景気の悪い話の後に紹介しないでくれ。って言われそうですけどね。っていうか言われるよりTwitterで全世界に向けて呟かれるのが先ですかね。月岡先生は米国で働くのは初めてなのですが、諸外国で学位を取ったり働いた経験があるので(あー見えて実はエリート)、今回も問題なくスタートできているようです。月岡先生のことは以前からTwitterを通じて存じ上げていましたし、チームWADAの定例会議でもzoomでお会いしていたのでなんとなく知ってはいたのですが、やはり皆さん思っていると思うのですが、なんか胡散臭いです。何かとんでもない闇の人格が潜んでいます(断言)。 Twitter上では家族思いで温厚な性格を装っているようですが、今のところ実際の医療現場でも温厚ないい人を演じきれているようでよかったです。すでに基礎はしっかりしているので心配はしていませんが、シカゴ大学ならではの手術や患者マネージメントについて順次学んでいってくれればいいかと思っています。そして私との手術においてはやはり「阿吽の呼吸」を早くに習得してくれるとうれしいですね。特にボケ・ツッコミに関しては全然全くかなりまだまだです。とは言うものの一般的に阿吽の呼吸の習得には時間を要するというのが通念ですが、月岡先生のあの天然で温厚な性格を完璧なまで演じることができる腹黒さがあれば、すでに私の手術における阿吽の呼吸は見抜いていてもおかしくはないと思うのです。おそらく早々に阿吽の呼吸をマスターしてしまうと腹黒さの存在に気づかれる可能性があると踏んで、最初は阿吽の呼吸を封印し、天然さを演出しつつ、徐々に小出しにしてくると思われます。一見穏やかなスタートを切ったように見えて、実は水面下での激しい駆け引きの応酬が行われている、そんなシカゴ大学心臓外科の今日です。

 

業務連絡です。月岡先生、もう腹黒い(めっちゃ黒い)のは見抜いてますので、さっさと阿吽の呼吸を発動してもらって大丈夫です。よろしくお願いします。

 

さて、前置きの月岡先生クビの話はおいといて、あ、違った、省略しすぎた。米国医療現場の就労開始時の初速度と解雇事由関連の話と、黒の堕天使月岡先生の就任の話はおいといて、本題のラジオです。今回は人生で会って2回目の優秀な店員さんとの阿吽の呼吸を求めて空振りしまくるおっさんの悲しき物語です。事前にお断りしておきますが、テキサスのおっさんにことごとくオチを潰されていつも以上にグダグダの尻すぼみになっており無駄時間指数がいつもより高めですのでご了承ください。それではおっさんずラジオvol.13「阿吽のサラサラ」で無駄時間の極みをお楽しみください。

 

 

私がピッツバーグで臨床フェローを始めた当初、私の初速は非常に遅かったです。のちに知ったことですが、実際ファカルティーミーティングで私の不出来が問題になり話し合いが持たれた程でした。その際、当時日本人ファカルティーだったT先生が「彼は日本人だから最初はゆっくりだけど、そのうち必ず形になるからしばらく待ってほしい。3ヶ月ほどで結果を出すはずだ」と私を庇って守ってくれたのです。おかげさまで今の私があるわけで感謝してもしきれません。今度もし月岡先生の腹黒さがバレてシカゴ大のファカルティーミーティングで問題になったら、私の出番ですね。

 

「彼は腹黒いけど日本人だから最初は腹黒くてゆっくりで、そのうち必ずめっちゃ腹黒い形になるからしばらく腹黒さをエンジョイしようぜ!3ヶ月ほどでペンタプラック並みに腹黒くなるはずだ」

 

まずはこれをDeepLに英訳してもらうところから始めることになります。指導医というのもなかなか大変です。

 

月岡先生、シカゴへようこそ。