こんにちは!Clinical Dojo運営メンバーです!

 

【どんな企画?】

Clinical Dojoとは、アメリカと日本で豊富な臨床経験を持つ総合診療科の現役医師の指導のもと、all-Englishで問診方法(history taking)から臨床推論(clinical reasoning)までを学べる企画です。企画では、指導医である野木真将先生が実際に経験されたリアルな症例を扱います。

 

3/1に2026年度第1回となるオンラインセッションを野木先生と開催し、多くの医学生が参加してくださいました!症例はすべて実臨床に基づいており、実践的な学びの場となっています。

 

では、その時の様子をレポートしていきます!!😃

 

【症例】

20-year-old female with nausea and lower abdominal pain.

 

【問診・身体診察】

症例提示後、患者役の野木先生への問診がスタートしました。

 

今回の症例では、

・2日前から徐々に増悪する下腹部痛(左→中央→右下腹部)

・排尿時の痛み(burning pain)と血尿様のピンク色尿

・頻尿・残尿感

・嘔気、食欲低下、早期飽満感

などの症状が明らかになりました。

 

また、月経は不規則で最終月経は2か月前、避妊は完全ではなく、性交歴も複数あることから、妊娠や性感染症(STI)の可能性も重要な論点となりました。

身体診察では、
・発熱(37.7℃)
・頻脈(HR 140)
・下腹部(特に恥骨上部および右下腹部)の圧痛
が認められました。

問診を進める中で、泌尿器系・婦人科系・消化器系といったanatomical frameworkを意識して整理することの重要性を学びました。

 

更に、妊娠可能年齢の女性の場合、必ず妊娠を考慮する必要があることも学びました。Sexual historyを聴取する際に便利な「5 Ps」について教えていただきました。

 

5 Ps

  • Partners
  • Practices
  • Pregnancy
  • past history of STDs
  • Protection from STDs

 

【アセスメント】

続いて、問診・身体診察を通して得られた情報を皆で整理しながら、1,2文にまとめる、”Problem representation”を行いました。

 

以下がまとめの文章です↓

 

20 yo female college student, sexually active with irregular menstruation, who presents with acute progressive nausea and lower abdominal pain. Physical examination reveals fever, tachycardia, and tenderness in suprapubic area and right lower quadrant.

 

【DDx; Differential Diagnosis】

続いて鑑別診断を考えました。

 

今回の症例では、

・排尿時痛や血尿 → urinary tract infection

・下腹部痛+発熱 → pelvic inflammatory disease (PID), STD

・月経不順+性交歴 → pregnancy関連疾患(異所性妊娠など)

・右下腹部痛 → appendicitis

など、多角的な視点から議論が進みました。

 

また、「CT検査の前に妊娠検査を行うべき」という重要な臨床判断についても指摘があり、実臨床での安全性への配慮の重要性を学びました。

 

【診断】

野木先生より、最終診断を教えていただきました。

 

<Final diagnosis>

Hemorrhagic cystitis due to E.coli

19-week gestation

Substance abuse

 

<treatment>

Ceftriaxone 1g q24h

OB/GYN consult

 

<Take Home Messages>

・下腹部痛の鑑別では、泌尿器・婦人科・消化器の3つの視点(anatomical framework)で考える!
・妊娠可能年齢の女性では、画像検査前に必ず妊娠の有無を確認する!
・Sexual historyは“5Ps”を意識して系統的に聴取する!

 

【おわりに】

今回の症例では、比較的よく遭遇する主訴でありながら、鑑別の幅が非常に広く、問診の質が診断に直結することを実感しました。特に、sexual historyの取り方や妊娠の可能性を常に念頭に置く姿勢など、教科書だけでは学びにくい実践的なポイントが多く、大変学びの多いセッションとなりました。

英語での問診や臨床推論はまだ難しさもありますが、回を重ねるごとに少しずつ慣れてきている実感もあります。今後もさらに学びを深めていきたいと思います!

最後になりますが、野木先生、今回も貴重で刺激的な学びの機会をありがとうございました!次回の開催も楽しみにしています!!