こんにちは!Team WADA学生メンバー、Clinical Dojo運営のKです。

 

【どんな企画?】

Clinical Dojoとは、アメリカと日本で豊富な臨床経験を持つ総合診療科の現役医師の指導のもと、ALL Englishで問診方法(history taking)から臨床推論(clinical reasoning)までを学べる企画です。企画では、指導医である野木真将先生が実際に経験されたリアルな症例を扱います。

 

11/25に2025年5回目となるオンラインセッションを野木先生と開催し、4年生から6年生まで12名が参加してくださいました!今回の症例は、野木先生がイベント前日にご経験されたものだったということで、私たち学生も自然と身が入りました。

 

では、その時の様子をレポートしていきます!!😃

 

【症例】

73 year old man with persistent nausea at night.

 

【問診・身体診察】

上の症例が提示されると、患者役の野木先生への質問タイムが始まります。問診は1時間以上続きました!

問診の結果、患者は症状として、夜間に仰臥位で悪化する嘔気、頭痛、めまいがあると分かりました。また、既往歴として複数回の心筋梗塞と腹部・胸部大動脈瘤があり、患者が嘔気を自覚したのは、腹部大動脈瘤のステント留置手術を受け、退院した直後だったということも分かりました。

私たちは、主訴である嘔気に注目し、消化管に関連することを中心に質問していましたが、野木先生のご指摘で、頭痛・めまいにも着目し、神経症状についても深堀する必要があると気づかされました。

 

【アセスメント】

続いて、問診・身体診察を通して得られた情報を皆で整理しながら、1,2文にまとめる、”Problem representation”を行いました。以下がまとめの文章です↓

 

73 years old male with the history of multiple episodes of strokes and aortic aneurysm who presents with chronic, progressive, nocturnal nausea especially in supine position, refractory to multiple antiemetics, physical examination was unremarkable.

 

 

【DDx; Differential Diagnosis】

続いて、得られた情報を元に鑑別診断を考えました。

体位により症状が変動することから、structural (構造的)なことが原因で生じた疾患なのかfunctional(機能的)なことが原因で生じた疾患なのかという視点で考えると、structuralな原因か潜んでいる可能性が高いのではないかといった話など、議論を重ねていきました。

 

話し合いの結果、鑑別診断に挙がった疾患はこちら↓

・食道裂孔ヘルニア(傍食道型)

・頭蓋内圧亢進症

・術後合併症

・機能性ディスペプシア

・脱水

・SMA症候群

・小腸閉塞

など・・・

 

しかしどの疾患も、今回の経過や症状では、典型的ではない部分があり、納得する答えが出せないまま、野木先生によるFeedbackタイムとなりました。

 

【検査結果・診断】

野木先生から画像検査所見を伺いました。

 

頭部MRI検査:問題なし

腹部CT:下行大動脈に大動脈瘤あり。大きな裂孔ヘルニアはない。胃に残渣あり。大動脈周囲に炎症が起こっていることを表す、fat stranding(脂肪組織が白っぽくモヤモヤと見える所見)を確認。

 

今回は、イベント直前の症例だったということで、現場でも確定診断はついていませんでしたが、暫定診断として、以下のような疾患が挙げられたとのことでした。

 

Working Diagnosis 暫定診断:

  •  SMA syndrome related to recent AAA surgery? 

(最近受けた腹部大動脈瘤の手術が契機となったSMA症候群)

  •  Periaortic inflammation irritating duodenum?

(腹部大動脈周囲の炎症による、十二指腸の刺激)

  • Severe esophageal reflux from hiatal hernia?

(食道裂孔ヘルニアによる、迷走神経反射)

  • Gastroparesis from perigastric vagal nerve damage? 

(胃周囲の迷走神経障害による、胃無力症)

 

以上より、以下の検査を追加で行うこととなりました。

 

【追加検査】

上部消化管バリウム検査、胃排出能検査

 

ここで、野木先生より、上部消化管を調べるさまざまな検査について伺いました。特に、胃無力症の鑑別に使える、”Gastric emptying study”について詳しく解説してくださいました。

 

最後に、野木先生より、消化管を調べる検査には様々な種類があるため、どのような検査が適切か、造影剤は何にするべきかなど、迷った場合は放射線科の先生に相談することが大切であるというお話を伺いました。

 

<Take Home Messages>

手術後の体調不良は、post operational complicationの可能性を考えよう!

画像検査には様々な種類がある!どの検査を行うべきか迷ったら、放射線科医に相談しよう!

 

【おわりに】

今回は実際の現場でもまだ確定診断がついていない、on-goingな症例を扱いました。実臨床では、私たち学生が試験などで見る臨床問題のような、必ずしも明確な病名がつく病態ばかりではないことを、再認識しました。

個人的には今回が2回目の参加でしたが、英語での問診~身体診察まで一連の流れや語彙力がまだまだ不足していると感じました。同世代の参加者の皆さんからもたくさんの刺激をいただき、もっと勉強しなければとモチベーションが爆上がりした時間となりました!

最後になりますが、野木先生、お忙しい中いつも刺激的で最高に楽しい学びの場を提供してくださり、本当にありがとうございます!次回は来年の開催となりますが、今からとても楽しみです!!