ロンドンに来たばかりの頃。4ヶ月は前払いでホームスティをしていたので、生活費は殆ど掛からなかったけど、ステイ先を出て、フラットシェアを始めた頃、OSCE (Objective Structured Clinical Examination) Student という言わば研修生的なポジションに約1年程いました。研修生という立場上、上限週25時間までの労働が認められたVISA を貰えたので、多少の収入はありました。ですが、べらぼうに物価の高いロンドンで到底この収入だけで生活していくと言うことは、当然質素になる事はわかっていました。でも、私はそういう生活をとても楽しめる性格らしい。

 

28歳でオペ室勤務していた頃は時間が不規則な事もあり、ほぼ毎日お昼は出前で、お世辞にもお料理が得意とは言えませんでした。

 

質素な生活が始まり、月末の給料前にどうすれば食費の節約が出来るかなんて考えてた時、同僚リッチモンドの奥さんが“日本人はランチボックスを毎日作るんでしょう?本で読んだわ”とリッチモンドと私の分と勤務が同じの日はお弁当を作ってきてくれたんです。奥さんは“真由美もたまにはご飯が食べたいでしょう?”って!そう、リッチモンド家族はフィリピン出身なのです

 

ある日、奥さんが子供を連れてリッチモンドに会いに来ました。奥さんも看護師で、共働きのリッチモンドとはシフトを交互にして子供の面倒を見ていました。こちらの病院では、勤務先に家族が当然のように遊び来ます。

 

お弁当は本当に美味しく、助かりました。でもお弁当箱を奥さんに返す時といったら、もう、恥ずかしいやら、情けないやらで…日本から送ってきたお菓子なんかを空になったお弁当箱に詰めてお返しました。

 

研修を修了した時、お礼を申し出たんですが、いらないって断わられました。

 

 

子供のいるし、私の分も作るのは大変だったでしょうと言うと、彼らは大笑いしながら、1人分も2人分も同じよ!

 

It’s a piece of cake (お安いご用だよ)

 

 

奥さんが作った甘いホームメイドのキャッサバ ケーキを一緒に突きながら、彼が一言。僕は日本食を食べた事がないから、寿司、天ぷらが食べたいな!真由美は日本人だから今度は真由美が作ったお弁当が食べてみたいな!

 

 

当然、It’s a piece of cake と返答したものの、内心かなり焦っておりました。

翌週、日本の家族寿司と称して、永○園のちらし寿司を持って行きました。