医学部6年 男性からの 質問

 

医学部6年の学生です。消化器外科志望で大腸ガンや炎症性腸疾患に関心があります。医師として留学するとなると消化器系で特に臨床系はかなり現実的には厳しいのかと思っています。先生はどのような経緯で消化器外科留学をされたのか教えてください。

 

 

小林の 答え

ご質問ありがとうございます。スイスのローザンヌ大学消化器外科に勤務しております小林光助です。私は研修医終了後に東京大学の肝胆膵外科、人工臓器移植外科に入局し、卒後9年目で2018年春からローザンヌ大学で勤務しています。臨床留学の経緯としては、医局関連が正直なところです。スイスでは、まずはassistantとして78ヶ月勤務し、その後Chef de Cliniqueという、日本でいうチューベン(卒後10-20年)として働いています。勤務内容は、手術、病棟管理、外来、また外科の救急当番としての日直・当直です。主に肝胆膵手術の執刀、助手として手術に入りますが、その他救急当番時の緊急手術など、合わせて年間300例程度の手術を担当しています。特に肝胆膵領域に関しては、日本と比較して特別秀でている訳ではないですが、ローザンヌ大学病院は2019年にNews Weekが定める世界Best10の病院にランクインする大規模病院であり、年間に十分な症例が経験出来ること、救急当番時は消化器全般の手術も経験できます。

スイスでの臨床留学ですが、基本的には日本の医師免許は使えません。ただし、それはどの国でもそうですが、相手国政府の許可を得て、特別に招聘される場合はこの限りではありません。私の場合は医局同士の了承と、フランス語の資格を修得することで、スイスで臨床をしております。フランス語に関してはDELFというフランスが定める国際的に有効な資格試験で、英検で準1級程度のレベルの試験を受験しました。フランス語を始めたのが、留学を打診された後ですので、渡欧前1年〜1年半の猛勉強が必要でしたが、手術テクニックや術後管理、また術前後の化学療法など、日本とは多少異なることもあり、自分の知識と経験を向上する上では、消化器外科の臨床留学は、語学の習得と合わせても有意義なものだとは思っています。ただし、永続的に海外で勤務することを考えている訳ではないのでしたら、日本での手術・患者管理を身につけた上での留学をお勧めします。私の留学内容に関しては後日詳細をアップさせていただく予定です。