葛飾ハートセンターの木下です。
月岡先生より寄稿させていただく機会を頂戴しましたので、先日夏休みにインドの病院に見学に行ってきたことをお伝えしたいと思います。

知り合いのつてで、首都デリーから550kmほど東に向かった先にある、ラクナウという都市のSanjay Gandhi Postgraduate Institute of Medical Sciencesという病院に見学に行ってきました。当初は手術見学をする予定でしたが、急遽予定手術がキャンセルになり、残念ながらICUと病棟のみの見学となってしまいました。従って、ひじょーーーに浅い内容になるのですが、ご容赦ください。ICUに多く入院されていた冠動脈バイパス術後の方についてお話を聞くと、インドではOff pumpがほとんどであること、グラフトは両側ITAはあまり使わず、LITAとVeinがほとんど、とのことでした。日本の病院に比べると、ICUの床に砂が落ちていたり、お世辞にも清潔とは言えませんでしたが、外の道路と違って牛の糞が落ちていないだけ全然マシだと思いました。
留学についてお話を聞いてみると、外国人フェローは執刀をする機会はなかなかないようですが、開閉胸、カニュレーション、グラフト採取などはたくさんできそうな感じでした。ラクナウは人口300万人いかないくらいの都市ですが、見学した病院では年間で800例程の開心術を行なっているそうで、世界一心臓手術件数の多い病院も、インドにあるとかないとか、みたいです。インドでの生活が苦でない人、胃腸が強い人にはいいかもしれません。

見学後は、ガンジス川で有名なバラナシにも行ってきました。死体が流されているような川の水で、沐浴したり洗濯したり歯を磨いてるインド人を実際に目の当たりにするとやはり衝撃でしたが、せっかく来たしなと思い、ただ全身沐浴する勇気はなかったので、外科医っぽく手洗いだけしました。
あまり万人にお勧めはできませんが、いい経験にはなったかなと思います。ぜひ皆様もインドに行ってみてください。

バラナシを離れる時、心なしか手がスベスベになっている気がしました。あんなに川の水は汚いのに、やっぱりガンジス川の水には何か秘密が、特別な何かがあるんだ、と思いました。

しばらくして、石鹸で手を10回ほど洗ったことを思い出しました。