こんにちは。Ns.Ross医療面接英語勉強会の報告です。

今回のお題は【32歳女性、最近パンやパスタを食べた後の下痢、腹部膨満が出現し来院。ガスが溜まったり下痢と交互に便秘にもなるとのこと。夫によるとパンを食べた後の息もとても臭い。原因を知りたい。】問診して検査や治療方針を説明しなさい、というものでした。

 

あらかじめシナリオを読んで思ったことは、こんなにもパン、パスタを繰り返しているのだから小麦関係かなぁ。もちろんIBS(過敏性腸症候群)もあるかもしれないけど2回もパン、パスタ繰り返しているし…これで国試だったらセリアック病?流石にひっかけ問題みたいなことはないよね…? セリアック病でもアレルギーとかグルテン不耐症とかとの違いを分かりやすく説明しなさいってことかなぁ。でも、あまり決めつけて説明しないように気をつけよう。といった感じでした。

 

問診中さらに患者さんから得た情報としては、

数か月前から症状出現、増悪・軽快傾向とくになし

体重変化ほぼなし

マウスウォッシュも効果なく、歯医者でも歯肉炎等問題なし

アレルギーは花粉症のみ

家族に同症状なし

3か月前に昇進してからストレスがある

渡航歴はドイツ、フランスに3日ずつ仕事で

便は茶色泥状

会議中なども悪臭のおならがでて非常に恥ずかしい

 

ストレスがあるというのはひっかかったのですが、色々要因が重なることもあるしと思い、やはり小麦が気になって「症状からはセリアック病と矛盾しないようです…」と控えめに切り出してみました。その後病気の説明をして、検査としては血液検査で抗体チェック、内視鏡を提案しました。治療としてはグルテンフリー食。患者さんはグルテンフリーのパスタを最近試したが不味いし高い、というので米も勧めてみたけれどあまり好きでなさそう。ポテトを試し栄養士を紹介する流れになりました。

 

ま、蓋を開けてみれば実はIBSだったらしいのですが!だまされた~(笑)

セリアック病も除外すべきだろうし、いいのですが、やはりそうではなかった場合についても触れる心の余裕があればよかったです。カウンセリング提案してはどうかとフィードバック頂きました。患者さんも求めている診断をまずつけたい、分かりやすく説明しなきゃという気持ちが先だってしまい、患者さんのストレスの話を軽く流してしまったかなぁと少し反省です。

 

胃腸炎一般と重なる部分も多くなりますが、IBSに対し、特効薬はなくても症状をやわらげるものとして、乳酸菌食品などで腸内の環境を整える話も出ました。ヤクルト(海外では値段高い)、ヨーグルト、チーズ、納豆など(たとえ乳糖不耐も併せ持っていたとしてもチーズ、ヨーグルトなどは大丈夫)。その他、刺激物は避ける、カフェインを控えるなど。処方薬としてイギリスはビオフェルミンのようなものはなく、サプリとして売っているが高価だそうです。

 

また、勉強会終了後に調べて初めて知ったのですが、特定の糖類を多く含む食品(FODMAP)を避けることでIBSの症状が軽減するとの報告がありました!だから逆に小麦摂取後に症状がひどくなるというのもIBSでも十分ありうることなのですね。

ちなみにFODMAPとはFermentable Oligosaccharides, Disaccharides, Monosaccharides And Polyols の略だそうです。

FODMAPが少ない食品としてはじゃがいも、バナナ、ニンジン、米、豆腐などがあるようです。なのでポテトを試してみるのはセリアック病でもIBSでも正解だったみたいです。

勉強になりました!!!

Seiko