最近は予定の手術がないので暇をしてます。LVADとか移植とかエクモとかは予定とは関係なくやってくるので、なんならそれらの数は普段より増えてる気がします、が、それでも暇です。暇なのでもの凄い勢いでNetflixを見ています。

 

暇なおかげで考える時間が増えたので、夜起こす起こさない問題について考えてみました。

 

この問題は例えば心臓外科の手術後の患者で、何かしらの変化が起きた時や状態が安定しない時(これらも程度が様々なのでなんとも言えないが)、ICUのチームから患者に関する連絡をもらいたいかどうかという問題です。というのもアメリカでは基本的に心臓手術後でもなんでもICUにいる人はICUのドクター率いるICUチームが管理しています。なので、夜中も必ず一人のICUドクターが自分の患者さんをみていてくれており、心臓外科医は何食わぬ顔をして家に帰ってNetflixが観れるのです。それはとてもありがたいのですが、時に朝患者をみた時に「え、一体夜中に何があったんだ」みたいなことが起きていたりします(あまりにクリティカルなことはもちろん起きませんが)。そのため基本的には「患者が重症であれば何かしらの連絡はしてもらいたい」的なことを伝えておきます。もちろん夜中の2時に電話をもらって喜ぶ人なんて、よっぽど好きな人からの電話でない限り、いないと思いますが、よくわからないことが自分の知らないところで夜中のうちに起こっているというのも嫌なものがあります。まぁこのよくわからないことも、普通はそこまでとんでもないことではないのですが、それによって状態が悪くなるということがごくごくごくまれに発生したりします。かといって連絡をうけたらそれに対してのベストな答えを導き出し結果を変えることができるのか?というとそれはまた別の話ですが、少なくとも議論をした上でチームとして治療方針を決定できるので、医療的な観点からみると非常に健全な感じがします。ただ「いつでも連絡してくれ」と言っていると、たまに夜中の3時とかに「スワンガンツカテーテルが抜けたから入れ替えようと思う」というどうでもいい連絡をもらったりする弊害もでてきたりします。

 

ここら辺はバランスなんだと思いますが、全く術後の患者を気にしない人もいれば(もちろん元気な人の心臓手術後であれば特に気にする必要はないと思いますが)、逆になんでもかんでも連絡を要求し全てを自分の管理下に置きたいと思う外科医もいます。どちらがいいかというのはなく、もうこれは完全にその外科医の好き嫌いだと思います。

 

夜起こすか起こさないか問題の答えとしては、ICUにいる患者にとっては夜中の2時と昼の2時に違いはないので、必要と思ったら連絡をとり、”時間”という要素を連絡をするかどうかの判断に含めないことが大事なのかと思います。あと、いままで「なんで夜に連絡しなかったんだ!!」と激昂する外科医をよくみてきましたが、「なんで夜中に連絡したんだ!!」と怒る外科医はみたことないので、おそらく患者のため、外科医のため、チームのためには連絡をした方が無難なんだろうな、と思いました。僕個人的な好みとしては、できるだけ連絡はせず、かつ、完璧に患者の状態をよくしてくれるICUチームがいいです。

 

きれいな夜です。