ベルギーの澁谷です。

 

昨日今日は実験の日でした。

実験の日は大体1日1-3頭の羊(ときどき豚、ほんとときどき牛)にいろんな手術をします。

いくつもの実験のプロジェクトが並行して進んでて、ここ数週は月曜は同じプロジェクトの実験をしています。

 

実験の性質上、ブログで詳細が説明できなくてもどかしいのですが、今やってるこのプロジェクトがまぁ致死率が高いんです。

新しい動物実験モデルを作成するという実験なのですが、だいたい感触的には半分くらいの羊が抜管前後に亡くなってしまいます。

週のはじめからなかなか悲しい思いをすることもあります。

 

ところで、みなさんグレイズアナトミーという海外ドラマをご存知でしょうか?

全米テレビ史上最もロングランの大ヒット医療ドラマです。

現在season16が放送中で、season17までの放送もすでに決定しているようです。

とーーーっても簡単に説明すると、アメリカの外科レジデントが成長してかっこいい外科医になっていく、いわばハリーポッターの外科医版みたいなストーリーです。

僕は登場人物達がみんなかっこよくて大好きでどっぷりハマってしまいました。

渡欧直前は月に20回くらい当直でお金を稼ぎがてら、Netflixで当直中ひたすらグレイズアナトミーを見まくるという廃人生活をしていました。

 

そんなグレイズアナトミーでも度々患者さんが亡くなるシーンがあります。

ぼくの大好きな登場人物の一人、デレク(天才脳外科医)は他院で断られているケースや世界初の厳しい症例をよく手術しており、天才脳外科医ながら患者さんが亡くなるシーンでの登場も多いです。

 

僕がいつも不思議だなぁ〜と思っていたシーンは、患者さんが亡くなるシーンでした。

もうダメだ!救えない!となると即刻死亡宣告をして、手術台のところでマスクとガウンを脱ぎ、その場とかゴミ箱に叩きつけたりして手術室をばっと出て行きます。

デレクだけでなく他の登場人物も程度の差はありますがそんな感じです。

ちくしょう!このやろう!感満載のふるまいでドラマ的には印象に残るシーンなんですが、日本人の死生観的には「死んだ瞬間に切り替え早え〜」とか「他のスタッフはあの振る舞いでどう思うかなぁ」とかドラマのストーリーとは違ういらんことを気にしてしまいます。

 

ベルギーの手術室ではまだ患者さんが亡くなってしまった場面は遭遇したことはないですが、実験室ではときどきあります。

相手は動物ですがやはり気分はとても悪いです。

僕たちも全力で手術しているので、結果が良くなければ当然悲しいです。

ただ、そこで、やはり一緒に働いているスタッフと死生観の違いを感じることがあります。

僕たち日本人的には患者さんが亡くなってしまった時は、「言葉は少なめ」「黙って、黙祷」「霊柩車が見えなくなるまでお辞儀のまま見送る」みたいな文化があると思います。

少なくとも僕が働いたことのある病院はどこもそんな感じでした。

 

それが、ヨーロッパ の人は、亡くなった時によーしゃべるんです。

あれがダメだったか?いや、あれかな?いや、そもそもプランがダメだったか?次どうしよう?って言いながら、亡くなった動物の臓器いろいろ取り出して検証が始まります。

まあ、実験だから、検証はもちろんとても大事なのですが、その生と死の切り替えがすごい早くてびっくりします。

さっきまであんなにDCとか心マッサージしてたのに切り替えはやいよー!みたいな。

死生観なので何がいいとか悪いとかではないのですが、ただただ、おーっ!これが文化の違いか〜と毎度貴重な体験だなと思います。

 

なんだか話が取り止めも無くなってしまいましたのでここらへんにしときます。

とりあえずベルギーでは地域規制の関係で、Netflixでグレイズアナトミーが見れないのでうずうずしていることだけは確かです。

 

写真はデレクです。かっこいい〜。