チャレンジャーズライブでは、下記の12の項目毎に1~5点で評価されます。初めてチャレンジャーズに参加される方のために、各項目の意味するところと対策を簡単に解説してみました。あくまでも個人の意見ですが、参考にして頂ければ嬉しいです。

 

1.「良好な視野と位置関係で操作を始めているか」

意味:台の高さ大丈夫?手を置く位置は安定感のある場所か?心臓は縫いやすい位置(高さ・奥行)に置かれているか?グラフトは縫いやすい位置に置かれているか?

対策自分で台の高さを調節する(肘が90度前後くらいになるように)。心臓は深すぎたり、遠すぎたりしない位置に置く。指の長さ、手の大きさ、持針器の長さ、セッシの長さによるので練習する中でベストの位置を見つける。

 

2.「落ち着いて操作を進めているか」

意味:手の震えが大きすぎないか?動きが雑でないか?

対策:沢山練習をして自信を付ける。吻合する前にコーヒー・玉露・モンスターエナジーなどのカフェイン飲料を摂らない。持針器やセッシを短めに持つ。手を固定しないで吻合する練習をする。誰かに隣で見られながら吻合する練習をする(結構緊張する)。震えたくない時に腹式呼吸でゆっくり吐くもしくは止める。

 

前腕や手を適切に台に固定すること・曲げる関節を少なくすること・肘を体幹に固定していることなどが大切だと思います。肘をできるだけ体幹に付けたまま身体を振るようにすることで解決できることも多い。

 

コーヒー1杯(235ml豆抽出)に95㎎、コーヒー1杯(235mlインスタント)に62㎎、紅茶1杯に47㎎、煎茶1杯に30㎎、モンスターエナジー1杯(355ml)に142㎎のカフェインが含まれている。カフェインが効き始めるのは30分後、半減期は5時間(300㎎摂取したら、10時間後に75㎎が体内に残っている)。男性で400㎎、女性で300㎎の摂取が上限と言われている(人によると思いますが、私は100-150㎎摂取するとドキドキし始めます)。

 

腹式呼吸を意識して、口をすぼめてすごくゆーっくり吐くと副交感神経が優位になるので震えが少しおさまる。胸式呼吸で呼吸が浅くなると交感神経が優位になる。

 

3.「吻合の形態など、イメージが出来上がった上で操作を進めているか」

意味:吻合口やグラフトの切開長が適切か。冠動脈切開は正中か?ジグザクになってないか?外翻させるように注意しているか。的確なバイトやピッチで吻合しているか。

対策:色々な切開長で試してみる。外翻させるにはグラフト刺入後は糸を引っ張らず、冠動脈刺入後に糸を引っ張る。12-13針で一周することが多いので、逆算してシンメトリカルに吻合する。

 

4.「糸の絡みの防止や助手への指示など、トラブル回避を目的とした事前対策を講じているか」

意味:助手にあらかじめ糸やグラフトを持っておいてもらったり、冠動脈を引っ張ってもらったりの指示を出しているか。

対策:予選も本選も初見の人に前立ちをしてもらうので、やって欲しいことは礼儀正しくきちんと伝える練習をする。どうやってもらえば糸が絡まないか、視野が出せるかを熟知しておく。

 

5.「糸の絡みや、視野の悪化などのトラブルに対して冷静に的確に対処しているか」

意味:糸が絡んだ時や視野が悪い時にイライラして感情のコントロールを失っていないか。焦らず適切にリカバリーできているか?

対策:糸が絡む事は結構ありうるので、もしそうなっても急がない。急ごうとすると手が震えたりしてドツボにはまる。ゆっくりほどく。視野に関してもゆっくり対処する。多少時間がかかっても大丈夫。

 

  • 6.「補助手のピンセットの扱い、針の運針などが心臓組織に対して愛護的であるか」

意味:組織に対して垂直に針を刺入しているか?針の曲がりにあわせた滑らかな回転で刺入しているか。セッシで冠動脈やグラフトを強く把持していないか?セッシで内膜に触れていないか?セッシで組織を優しく引っ張ったりして視野を展開できているか?

対策:針は垂直に刺入する。血管の外膜(一番外側のモニョモニョした膜みたいな層)は把持してもいいが、それ以外は触らない・握らない。組織内に針が残っている時は、針をセッシと持針器で同時に持たないようにする。引っ張る時は優しく。

 

  • 7.「針の運針の取り幅、あゆみが的確であるか」

意味:バイトやピッチに一定の規則性があるか。側面はやや大きめにとっているか?

対策:上記の通り。シンメトリーにするのが大事。

 

  • 8.「反対側の血管壁に針が触れていないかなど確認しながら慎重に操作が進められているか?」

意味:対側の血管壁を引っ掛けていないかなど、冠動脈内をちゃんととチェックしながら吻合しているか?

対策:常に血管内の針先が良く見えるようにしながら吻合する(ブラインドでやらない)。

 

  • 9.「出来上がった吻合の形態が美しい」

意味:猫の手になっているか?内翻していないか?外翻しているか?

対策:グラフトのカットバックの長さと冠動脈の吻合口の大きさを調節する。バイトとピッチをシンメトリカルにする。

 

  • 10.「吻合にかかった時間が適切である」

意味:遅すぎないか?10分以内で3点、8分以内で4点、6分以内で5点。

対策:練習して無駄を省く。上記の点数配分になっているが、おそらくそれほど厳しくないと思われる。実際、私は本番では13分弱位だったし、優勝した中原君は12分弱だったと記憶している。時間を気にしすぎるよりも、確実できれいな吻合をする方が良いと思われる。

 

  • 11.「運針の操作に淀みがなくスムーズであるか」

意味:針の握り替えが上手にできるか?同一視野内(吻合部に近い場所)で握り替えができているか?

対策:針の握り替えの練習はYoucanで毎日できる。フォアからバック、バックからフォアなど沢山練習する。吻合の際に、次の運針のために自然に針の向きを調節できるように練習する。

 

  • 12.「Fore hand, Back handの運針が自然体操作としてマスターできているか?」

意味:スムーズに針を刺入出来ているか?どこでフォアにするか、どこでバックにするか決めてやっているか?

対策:ここの場所はフォア、ここの場所はバックと決めておいてそれを練習する。