私事ですが、6月の年度末前にAssistant Professor of Medicine (日本でいう講師)からAssociate Professor of Medicine(準教授)に昇進しました。米国臨床のアカデミアでの昇進はあまり書かれてないので書き留めておきます。
私の所属するUniversity of Washington(以下UW)内科ファカルティーには3つのトラック、(1) physician scientist track (2) clinical educator track (3) clinical scientist track(自分はこれ)があり、自分の属するトラック(入職契約時に基本的には自分で決める)により昇進への条件が異なります。トラックにより昇進に要する大まかな年数の目安はありますが、実力・実績主義が原則の米国では 個人次第で昇進の早い遅いがあるのが事実です。私は2017年9月にAssistant ProfessorとしてUWに入職したので、4年9か月後に昇進したことになります。実際には、2021年9月(入職から4年経過した時点)にGI Division Chiefから、昇進の手続きを開始したい旨の話があり、その時にChiefから昇進への審査過程は長く1年程かかると言われていましたが、ほぼその通りになりました。UW内科の場合は昇進審査会議がそれぞれ別の4段階であり、(1) Division、私の場合は消化器内科 (2) Department of Medicine、内科 (3) School of Medicine、医学部 (4) Medical School Dean’s Office、医学校学長であり、これらの各審査会議が(1)から(4)の順でありました。私のトラックで昇進に必要な事項は、(1)臨床での貢献度、具体的には紹介例があるとか、Regional(ProfessorではこれがNationalになる)での知名度 、(2)学術活動、具体的には論文数、学会での招待講演や教育講演の司会の有無、(3)教育での評価、具体的には日頃のフェロー、レジデント、医学生からのフィードバック、が主でした。昇進審査への打診があった後に、これらをDivisionの担当者にポートフォリオとしてまとめてもらい、UW以外の外部からの3通の推薦状(これも必須)を添えて上記の各4段階の審査を経て無事に承認されました。
大学により昇進の条件差は当然あると思いますが、自分の想像以上に審査過程が多岐で長く、米国のアカデミアでの昇進の大変さを実体験を基に知れたのはとても勉強になりました。
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