心臓外科のチーフがいなくなったので代わりにTAVR(日本で言う所のタビ)とかになんとなく入るようになりました。内科の先生が主体となってやってるので、なんとなくワイヤーを持ってたり、なんとなく「バルーン膨らませて」とか言われたりしているといつのまにか終わってたりします。成績も悪くないのでとてもいい手術ですね。
内科の先生がガウンを着ている姿を観察していると、結構両の手を合わせて股間のあたりに置く、いわゆる股間に手ポーズを取っていることが多いな、と思いました。この現象はわりと色々なところで見られるのですが、外科医は決していわゆる股間に手ポーズをしないので、股間に手ポーズをしていたらそれは内科医であることがわかります。外科医の基本ポーズは2パターンで、猛々しく振る舞いたい時の仁王立ちポーズとフェミニンさをだす時の乙女の祈りポーズです。この内科医外科医のポージングの違いは育ってきた環境が違うゆえに生まれる事象であると確信しています。外科医に限らず医学を勉強してきた人なら一度は経験していると思いますが、手術室内には異様なまでの清潔絶対感が存在します。もちろん清潔は大事なのですが、特に何もわからない状態で手術室に入ってくる学生などには、泣き出したくなるような徹底的なマークがつきます(もちろんよくわかっている人もいるが、僕のように何も勉強せずに突入してくるバカもいるため網羅的に攻撃せざるを得ない)。そして、必ず学生・若手医師の中ではもはや名物化している清潔おば様・お姉様がそこにはいて(必ずいる)、昨日なんか面白くないことでもあったのかと心配すらしてしまうような厳しい剣幕で、これでもかというくらいのマウントを取りながら「お前はなんて不潔なんだ」と罵ってきます。そんな学生時代をなんとか乗り切りもはやあれもネタだったよねぇとみんなが昔を懐かしんだくらいのところで(やはり人間、別の科に行く人はこの苦い過去を忘れる、というか覚えている必要性もない)、若手外科医はいわゆる清潔に厳しい外科部長という本物の鬼に出会い、さらなる教育を受けます。この清潔おば様&清潔鬼の波状攻撃により股間に手を置くどころか、へそより下に手を下げることのできる外科医がいなくなるのです。
まぁだからといって誰かが乙女の祈りポーズと股間に手ポーズを2群に分けて前向きに比較し、結果乙女の祈りのポーズの方が感染などの合併症が少なかったという研究をしてるわけでもなく(たぶんしてないはず、調べてないけど)、別に何も起こらなければいいのかなとは思います。もちろん清潔は大事だと思いますが。TAVR後のエコー結果を待つのが暇だったので思い切って僕も股間に手ポーズをしてみようかと少し魔がさしましたが、やはりどうしても、手がへそより下には動かせませんでした。僕ももうすっかり、教育済みなのです。
昔ドラえもん のび太と鉄人兵団という映画がありました。2011年にリメイクもされたみたいです。のび太の庭にちょっとずつなんかの部品が落っこってきて、それを組み立てるとロボットができるというまさに夢のような話です。僕のところにもシカゴの太田先生から部品が送られてきたので少しずつ組み立てていこうと思いました。ロボットが出来上がるといいな、と思います。
僕は仁王立ち派です。
急にポジションかえたりすると罪悪感わく〜ね