医師13年目 女性からの 質問

 

一般病院で働いている13年目の医師です。オーストラリアで臨床留学をしたいと思っています。何かアドバイスやご意見を頂けますと嬉しいです。

 

 

月岡 の答え

 

オーストラリア留学に必要だった資格は、IELTS(全ての項目で7以上)と外科専門医でした。AMC examinationというオーストラリアの国家試験もありますが、Registrarという立場で働く上では、その試験は必要ではありません。ちなみに、ニュージーランドのIELTS要件は(スピーキングとリスニングが7.5以上、ライティングとリーディングが7.0)です。

ポジションの呼称がややこしく、申し込みの際に非常にわかりにくかったので、これからクイーンズランド州で働きたい方のためにポジションについて簡単に説明します。https://www.health.qld.gov.au/employment/work-for-us/clinical/medical/career-structure

まずは、若い順から、Intern(1年目)、Junior House Officer(JHO, 2年目)、Senior House Officer(SHO, 3年目以降)となり、これらはまとめてResident House Officer(RMO)とカテゴライズされます。通称”resident”と呼ばれる人達です。病棟業務を一手に引き受けます。カルテ記載、採血・画像のオーダー、病院間連携をやってくれます。この段階ではまだ専攻は決まっておらず、心臓外科に進みたい人は論文を書いたり、発表をしたり、SVGの創を積極的に閉めせてもらったりと、ポイントを稼いで次の段階(Principal House Officer)に勧めるように頑張ります。

その上のポジションがPrincipal House Officer(PHO)です。多くの場合、日本からの臨床留学で得られるポジションはこのポジションになります。基本業務は、朝の回診(6時半位から)、日中のオペ室業務or外来or電話当番、夕方の回診。こまごまとした指示出しはレジデントに口頭でお願いすればやってもらえます。当院の場合、当直はなく、自宅待機です。例えば病棟の患者さんがAfになった場合、病棟の夜間担当のレジデントから電話がかかってくるので、電話で指示を出します。急変時は急いで病院に向かいます。到着するまでICUや救急医が対応してくれます。

PHOと同じ業務を行うのが、Registrarです。PHOとの違いは、オーストラリアの心臓外科トレーニングプログラム(SET)に乗っていることです。将来コンサルタントになる候補生たちです。このプログラムに乗るのが非常に難しく、オーストラリア全体で年間5~6人です。これに乗ってしまえば、6年間で一人前になれるように症例が割り当てられます。

PHOとRegistrarは混同してどちらもRegistrarと呼ばれます。私は、現段階でトレーニングプログラムに乗っていないのでPHOのポジションのはずですが、病院との契約はSenior Registrarというポジションで、州からもRegistrarの給料が支払われています。給料は手取りで1,000万円くらいです。週休2日、且つ、年間5週間の有給付きですので待遇は良いと思います。当院には約10人のRegistrar・PHOがいます。

晴れてトレーニングプログラムを終了し、試験に合格した人が得ることのできるのが、Consultantというポジションです。部長的な立場で、RegistrarやRMOを従えて、チームのトップとして医療を行います。オペ室も割り当てられ、自分の裁量で手術を行います。収入は跳ね上がるようです。当院には約10人のコンサルタントがおり、その下に、私たちregistrarが10週間おきにローテートします。

以上、簡単に説明させて頂きました。

質問などある方は遠慮なくおっしゃって下さい。

 

以下に関連のあるもののリンクを貼らせて頂きます。いずれも参考になると思いますので是非読んでみて下さい。

https://ameblo.jp/yusuketsukioka/entry-12491329393.html?frm=theme

https://ameblo.jp/yusuketsukioka/entry-12491689357.html?frm=theme

https://ameblo.jp/yusuketsukioka/entry-12491970650.html?frm=theme

https://ameblo.jp/yusuketsukioka/entry-12484412852.html?frm=theme

http://ajapanesedoctorinaustralia.blogspot.com/2015/09/blog-post.html

 

コアラの国でのフェローシップ~鹿田先生ブログ~