間違い電話

2018-02-17

電話対応は、海外で働く日本人が最も苦手とする仕事のうちの一つだと思います。少なくとも私にとっては。この2年間でだいぶ慣れたとはいえ未だに楽しいものではありません。今もこうやって土日48時間、電話を握り締めながら当直をしているわけですが、早く終わってくれないかと願っているような状態です。

院内からの電話はあまりストレスを感じることはないのですが(患者さんを見に行って状況を把握することができるから)、他の病院からの紹介の電話はストレスです。多くの場合早口でまくし立てられるし、見に行けないからです(特に、イギリス訛りの白人っぽいしゃべり方のときは難しいと感じます)。ですので、交換台(switch。外からの電話をつないでくれる。)からの着信は、嫌です。「うわぁ」と思います。

それを知ってか知らずか、交換台は比較的頻繁に間違えて電話を回してきます。多いのは整形外科(Orthopedic)関連の紹介を、間違えて私の電話(Cardiothoracic)につないできます。夜中の2時とか3時とかに。おそらくthoの部分が似ているからくる単純なミスだと思いますが、私としてはその紹介の電話を1から真剣に聞かなければなりません。どういう事故で、どの骨と靭帯がどんな感じになっていてとか、専門外のなじみのない話を延々と聞かされ、最後までピンとこないまま、「どうしたらいい?」と聞かれるわけです。「えっ?」となります。もし英語が完璧ならば、「それ整形外科じゃん」といえるのですが、英語が完璧に聞き取れていない自覚がある分なかなか自信を持ってそう言えません。ですので、「ごめんもう一回言って?(もちろん)最初から。」といって聞きなおして、少しだけ理解を深めた上で、「それ、もしかしたら、整形外科の先生に話したかった?」と恐る恐る聞くということをしなければなりません。相手もがっかりした感じになりますし、私も無駄に神経を使い疲れます。交換台にはもう少しきちんとしてほしいです。

注意しなければならないのは、整形外科紹介の間違い電話だとたかをくくっていて、実は間違いではなかったというケースもあることです。先月、紹介電話の前半が完全に整形外科の話だったので、「あ、これあれやな。間違い電話のパターンのやつや。」と思って適当に聞き流していたら、最後のほうに「で、シートベルトなんちゃらかんちゃら、遠位弓部から下行に、たぶん外傷性の解離があるんだけど、どうすればいい?」ということでした。完全に油断していたせいでびっくりして、なぜか「オー!イエース!!ザッツ、グッド!!!」と言ってしまいました。「What?」と言われました。

この経験から学んだことは、あくまでも言語アウェイにいることを肝に銘じ、慣れた感じを出さずに、真摯に取り組むことが大事だということです。

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