ハンブルク留学までの経緯②と最近

2017-01-22

以前の続きです。

ハンブルクには2016年3月よりお世話になっています。Girdauskas(ギルダウシュカス)先生というリトアニア出身、ライプチヒで修業、Bad Berkaをへてハンブルクに赴任された先生のもとで二尖弁研究をしたいというのが私の今回の留学の目的です。先生の1月からの栄転に伴い私もハンブルクについてこさせていただくこととなりました。

当初は3月のひと月は見学生として、4月よりAssistenzarztとして雇用していただく約束でした。2月は日本に帰国し書類作業に当てました。州が変わることにより労働許可申請のためいちから書類を取り寄せることが必要になるためでした。3月にドイツに行くまでにはすべて手元に揃え(戸籍抄本、医師免許証英訳(州によっては英語では受け付けてくれないところも)、無犯罪証明書、ドイツ語証明書(B2レベル)など)再び渡独しました。病院のinternational officeが書類手続きを手伝ってくれるというので任せることにしましたが、ここが少し反省すべきところでした。

労働許可申請には州医務局(Landesprüfungamt)に書類を提出し申請する必要があります。以前のBad Berkaでは個人でしなければならなりませんでした。Hamburgではまずofficeに書類を提出し、officeがそれを医務局に提出するという手順でした。いろいろあり医務局に提出されたのは5月中旬になりました。個人でしていればここまで時間はかからなかったと思います。多少はドイツ語でやり取りはできるので自分でした方がよかったと思っています。医務局に書類が提出されてからさらに3か月かかり、ようやく8月中旬に医務局から労働許可(Arbeitserlaubnisアーバイツエアラウブニス)がおり9月1日より臨床医として1年間の期限付きで許可をいただくことができました。

労働許可自体は短期間、申請した医療機関(私の場合は今回ハンブルク大学病院)でのみの医療行為を許可するものです。期間が過ぎれば更新が必要になりますし、ほかの医療機関へ異動する場合はまた今回のように申請しなおすことが必要となります。日本のように一度ドイツで許可されているからといった理由で申請にかかる期間が短縮されるといった粋な計らいはドイツでは全く望めません。すべてで言えることですが、この国では全くそういった配慮は皆無です。

この面倒を避けるにはApprobation(アプロバチオーン)をとってしまうことです。Approbationはドイツ全域、生涯にわたって使用可能な医師免許です。一応労働許可の交付自体は期間内にApprobationをとるということを約束として配布されます。留学期間が1年程度であればApprobationは必要ないと思いますが、数年を予定されている場合、もしくは州によっては労働許可がなく最初からApprobationが必要な州もあるようです(有名なBad Oeynhausenはそのようです)。

Approbationは労働許可に提出する必要書類に加え、

・大学での成績証明(どの科目を何時間受講したのかということを英語で記載してもらう)
・Fachsprachprüfung:Ärztekammer(エルツテカマー)が催す口頭試問。主にドイツ語で医療が可能かどうかが問われます。

遠回りしましたが、こういった手続きを経てやっと念願の臨床留学再開を2016年9月に果たしました。
手術室では全く一からのスタートで、基本的には第二助手として登板。術者が若手の場合は第一助手にベテランの先生が入り、人工心肺のカニュレーションくらいまでは術者と私の二人でというのが続きました。術野すら見えず、「今日は何もやってないから皮膚くらい縫う?」と第一助手の若手に言われることもたびたびありました…。
ひと月たった10月のある日ベテランのM先生から「きみは手術の流れを知っているから第二助手じゃなくてもいいよ。第一助手にしてもらえるように言っておくよ」と声をかけてもらえました。日本では確かに第一助手で入ることがほとんどだったため、第二助手でも学ぶことは多いものの不足感は否めずやきもきしていたところでした。それからもなかなか状況は前に進まず、Girdauskas先生や手術予定を組む担当の先生に掛け合いなんとか1月から第一助手へ昇格してもらうことができました。

日本人の気質として「私は何ができる」「私はこれをしなければならない」と主張することは難しいのだと思います。しかしこの国では(他国に留学中の先生方も同じかもしれませんが)主張しなければ状況は全く改善されません。言ってもうるさいなあと思われるかもしれませんが、状況を打開するには自分の行動ありき、頑張っていればなんとかなるのではなく、頑張ってそしてさらに自分で主張して勝ち取っていかなければ前には進めないことをこちらで学びました。

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