医工連携ブログ 3

2018-03-08

6. 医療に関わる最新技術なのか?大人のおもちゃなのか?
「3D printingとは、3D CAD computer-aided designもしくは3D CG(computer graphics)で描かれた設計図通りに3Dモデルが製作できるという技術であり、さらに我々は形状だけではなく質感も人体臓器と同等である素材を開発し、胸郭モデルと心臓モデルを開発しました。」

これを売り文句とし、2015年にはISMICS・EACTSをはじめ、国内学会でも多数発表の機会を得て、内視鏡外科学会でも表彰を受け、ある程度の評価と反響を得ました。少なくとも、医学的な検査データに基づいて開発したシミュレーターであり、質感も豚の心臓を調べた工学的データに基づくものでありますが、この時点ではまだ「いい感じのシミュレーターを作っただけ」の状態であり、一歩間違えば「ただの高価でリアルな大人のおもちゃ」になりかねないという問題が常につきまとってきました。(逆に言えば、ただの高価な大人のおもちゃで良いのであれば、何でも作れます。笑)

色々な先生にご意見をいただき、やはり「医学的にこのシミュレーターは何かエビデンスを出せるものなのか?」「この分野は医学の学問として成り立つか?」ということにまで踏み込んでこそ、本当に開発が成功して医学に貢献できたというレベルに到達できたと言えるのだ、ということを実感しました。

また開発が進むにつれ、工業界の方だけでなく、金融業界、コンサルティング業界、広告業界、ベンチャー企業の社長、弁護士の先生、、、等、様々な業界で活躍されている方との出会いがありました。自分は単なる駆け出しの外科医でありますが、徐々に自分の立ち位置がどこなのか?この活動のエフォートをどれくらいにするか?が問題にもなってきました。医療界以外の業界に憧れもあり、華やかにも見えて、あれこれと考えを尽くしましたが、(一周回って)周りの人から見た僕は「僕が心臓外科医である」ということに一番の価値がある、ということに落ち着きました。
(続く)
写真は、シミュレーター作成を論文化したものと、医療ベンチャーとして活躍中の杉本先生・谷口さん(株式会社Holoeyes)+田端先生(東京ベイ浦安市川医療センター)+僕

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