開心術が一件しかない日とかは基本的には胸部外科レジデントが優先してオペに入ることになってます(今はアンドリューというやや優秀なやつがまわっている)。ところが、今日はなぜか朝から「ヒロの貴重な症例をとっちゃ悪いかな」と何も言ってないのに手術を譲ってきました。おかしいな、とは思ったのですが、要は大変な手術(解離手術後トータルアーチ)を大変な人(テイ、若手アテンディング)がやるから入りたくなかったみたいです。もちろん僕も入りたくなかったのですが、「勉強させてもらいますか」と思い手術に入りました。手術の内容は思った以上に最悪で勉強になりました。よく、一回の失敗はリカバーしうるけど、二回目をしくじるともうダメ、と聞きます。今日は15回くらいしくじっているのをみることができました。もっともこれやっちゃダメだな、と思ったのは剥離中に弓部の解離瘤を損傷して緊急でポンプを載せたのですが、何を思ったのかその損傷したところにクランプをかけようとしてました。案の定大動脈が崩壊してとんでもないことになってました。まぁそれでもなんとなく手術は終わりました。
9件のコメント
マウスでやったりしてますね。セプラフィルムではないですが。肉眼的所見と組織学所見でスコアつけたりしてるみたいです。ただ、組織学的所見が実際の剥離のしやすさと相関するかはわかりませんが。
動物で、試したら?
どんなシチュエーションでカミカゼ特攻したんですか?
1つ目は4度目redoのroot, total arch症例で、aortaが胸骨にへばりついていました。胸骨がほとんどあいてない状態でソ―でいったのでえらいことになりました。PAに胸をめいっぱいおさえてもらいながらBダッシュで大腿をカニュレーションしがっつり冷やし始めたのですが、severe AIがあったので、LVがえらいことになってました。2つ目は6度目redo(最後の手術は心移植)の若い人のtotal arch、FETです。aorto-aortic anastomosisよりdistalのnative aortaが瘤化し、archは7㎝くらいの瘤になってました。胸骨自体は難なくあいたのですが、左胸骨をはがしはじめた瞬間噴火しました。1つ目の経験があったおかげで、2つ目は非常に冷静に対応できたと思います。
6度目ってやばいですね。だいぶ許してくれないですね。
7度目というのが経験あります。回数よりも前回の手術(種類、術後出血、血腫、グルーやその他の気休め意味なし無駄金止血剤使用の有無、フェルト使用、アオルタ周囲に心膜などかぶせる、術野以外の無意味な剥離の有無)が再開胸の難しさを規定していると思います。最近セプラフィルムを使う人をちらほら見かけるのですが、再開胸の時結構いい感じらしいです。
セプラフィルムって、お腹の時によく使ってたやつですよね。
おそらく有用なのですが、客観的にデータでそれを証明するのはとても難しそうですね。なんかいいアイディアありますか?
僕もフェロー時代に2回ほど大動脈にカミカゼ特攻しました。難なく終わる症例の100例分以上の価値があると思います。