仕事の流儀ブログ V2.1.2

2017-03-10

お邪魔いたします。シカゴ大学太田です。

シカゴ市内及び周辺には心臓外科のある病院が約70施設もあります。ノースウェスタン大学をはじめビックセンターの多い中にあって、シカゴ大学もまあまあ頑張っております。先日、ふと聞いた情報によると、シカゴ大学病院では9000人の職員がおり、そのうち医師は2000人。アテンディング医師はそのうち800人ほどらしいです。その中で心臓外科の手術をすることができる、もしくは許可されているのは4人だけです。許可はされていないが実力的には手術できるというのは北原先生のみだと思われるので、つまり全病院内で5人だけです。約0.05%です。各科の領域においてこのような専門性の高さはあるはずですが、やはり外科系、特に心臓外科には他科の者がマネできない特殊技能が伴うと思います。客観的に第3者の立場に身を置いて考えると、単純に「心臓手術ができる」というのは本当にすごい能力だと思います。これを少数精鋭しかできない素晴らしいこと、と捉えるか、全人類の日常において重箱の隅を汚す埃のごとくマイナーすぎる取るに足らないものと捉えるかは人それぞれ、国それぞれだと思います。日米における心臓外科医をある程度体験し、かつ見聞するに、その待遇の違いからどうしても前者が米国で後者が日本と考えてしまう自分がいました。しかし最近は、比べること自体無意味であり、どちらが良くてどちらが悪いといった低次元の話ではなく、結局は自分がどのように鍛錬し、何を目指すのかだけの話であり、日米に限らず諸外国への留学は単に目標達成の一手段にすぎないのだと思っています。場所や立場にとらわれることなく自由に目標に向かって突っ走るのが理想なんだと思います。

写真:動機が不純であっても、まあ本来の目的が達成されるならいいじゃないか。私自身の怠惰な性格を克服するため、その日の手術の目標、次の1時間の目標など、できるだけ事細かに目標を決め、放っておけば何もしない自分を奮い立たせるようにしています。先日、日本の学会発表のため一時帰国しておりました。来日にあたり約10個ほど目標を定めておりました。その目標のうち最重要項目の一つであった、靴磨きバーにいってきました。南青山にあるおしゃれなバーカウンターのお店で目の前で靴を磨いてもらいながら、ドリンクを頂きつつ、バーテンダーというか靴磨き職人の方と、靴磨き談義に花を咲かせるという靴磨き好きにはたまらないお店です。インターネットでこのようなお店があると知った時は大興奮し北原先生にすぐに報告し、「必ず行く」宣言致しました。1時間ほどかけて磨いてもらった私の靴はピカピカです。これぞプロフェッショナルです。似たような道具材料を使っていても、私の仕事とは全く異なる素晴らしい仕上がりです。いろいろとコツを教えてもらい、ついでに私の靴に合う独自の配合のライトブラウンの靴クリームも通常の3倍ほどのお値段でしたが、思わず購入してしまいました。一般の人口に対して考えた場合、誰しもができるわけではない専門性が高すぎる心臓外科の世界に身を置くものとして、私自身の仕事が他職種の人が不可侵がゆえに、守られらた立場でぬるま湯につかり安心している傾向があるのではないかなどと心をめぐらせる靴磨きバーでの滞在でありました。北原先生は靴磨きにおける私の立場よりもずっと上のレベルで心臓外科を鍛錬しておられますが、そのような同職の人にも、これぞプロフェッショナルと評価を得られるようにまた目標を立てて頑張りたいと思います。北原先生、東京に土地勘のない私のために靴磨きバーの案内役をかって出て頂きありがとうございました。まさに東京の靴磨きバーの案内におけるプロフェッショナルでした。

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