ある日、補助人工心臓を植え込む手術がありました。
だいたい心不全の人の心臓は大きく、中の弁とかも色々と異常になってたりするので弁を一緒に手術することが多いのですが、今回は久しぶりにハートメイト3を植え込むだけの手術でした。手術の開始からある程度のところまで手順が一緒なように、手術の終盤、止血から閉胸にかけても工程はほぼ同じになると思います。必然的にナースに頼む言葉も決まってくるので、毎回この人おんなじこと言ってる、と思われながらもひたすら同じことを言っています。閉胸時には必ず骨の間になんか白いやつを挟んでいます。たぶん骨になんかいいんだと思うのですが、形状からフィッシュスティックと呼ばれています。そもそもフィッシュスティックが何かわからないのですが、とりあえず何の疑問も抱くことなく来た当初からずっと、フィッシュスティックください、と必ず言っていました。その日もいつもどおりフィッシュスティックをお願いしたのですが、出てきたフィッシュスティックはいつもより明らかに肉厚でずっしりとしたいい感じのフィッシュスティックでした。いつもと違う、いつもと違う、と困惑しているとオペナース長のレイラニが「これはグッチのフィッシュスティックなのよ」と言ってくれました。そっかグッチのフィッシュスティックだからこんなにしっかりしたつくりになっているんだ。その後はとくに何の疑問も抱くことなく胸を閉めました。手術は終わりました。
2件のコメント
先生の手術室おもしろそうです。
先生、クイズしたいです、クイズ
ナースはみんな面白い人ばかりです。クイズですね、そのうち必ず出します。