医学教育に関して

2017-05-14

ドイツとくに私のいるハンブルクでは常に医学教育が見直され、医学教育の先進プロジェクトとしてハンブルクは先端を走っているようです。
従来のドイツの医学教育と日本の医学教育(あくまで私が教育を受けた10年前のものと比較して)の大きく異なる点は、
学生の臨床能力の高さだと思います。
ドイツでは日本と同様に系統講義の後に臨床実習が基本となります。私の今いるハンブルクではこの境界をとりはらい、系統講義と同時に見学型の実習を並行して行っています。
従来であれば系統講義→臨床実習→最終学年でのPJ(Praktisches Jahr)という手順となります。
PJでは基本的に日本での研修医のようなものでいくつかの科(内科・外科・選択科)をローテートし病棟での仕事を引き受けます。卒業するころにはすでに日本での初期研修が終了しており、卒業してすぐに自分の専門科へとすすむという人が多いようです。

http://www.saitama-med.ac.jp/jsms/vol30/03/jsms30_184_185.pdf

自身が大学6年生であったころには採血するのがやっと、点滴のルート確保は研修医になってから、基本的な診断能力なども全く備わっておらず、そのようなトレーニングは大学のカリキュラムにはありませんでした。
大学在学中からそういったカリキュラムが組み込まれ、卒業するころには何とか基本はできているというドイツの教育は、すぐにでも日本で導入できるのではないかと思われます。大学6年はなぜか国家試験対策にのみさかれごくわずかの期間のみ実習や講義があっただけでした。実習を通してどっぷり医学にひたることと国家試験に通ることがかならずしもイコールではないということにふかく疑問を覚えます。

また多くの医学生が在学中にPublishしDr.のタイトルをとっています。日本では論文執筆や研究は大学院に進んでからという印象が強く、これもまたすべて大学を卒業してから統計の手法・研究の手法を学ぶことが多いように思われます。

ドイツにいると「日本の医療はすすんでいる」と評価を受けますが、いざ実際医学教育においてはあまりにも問題点が多く、いままで努力や根性で先人の先生方が培われてきたものがアドバンテージとなっていただけだったのではないかと危惧されます。日本がいまなお医学教育改革を行わない間に、ここドイツではさらに医学教育が次のステージへ進んでいきます。

 

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