臨床工学技士のブログ

2018-12-03

みなさん、はじめまして。私は東京ベイ・浦安市川医療センターで臨床工学技士(ME)をしており、昭和大学大学院保健医療学研究科で人工心肺の研究をしている長嶋耕平と申します。北原先生から『MEさんにも是非ブログを執筆してほしい』というリクエストがありましたので、書かせていただきます。

まず、北原先生とのつながりは私が先生のブログを楽しく拝読していたので先生の存在は知っていました。さらに先生は留学前に旭川医大で働いており(ブログから得た情報です)、旭川市は私の地元で旭川医大は実習先の病院でもあったので勝手に親近感を覚えていました。そんな中、今年の8月に先生が当センターへ見学にいらした時に少しお話させて(ブログを見ていることも)いただいたのが初対面でした。SNSで拝見していた有名人に会えた感じがしてすごく嬉しかったのを覚えています。

さて、話は変わりますが、みなさんはMEという職業をご存知でしょうか?臨床工学技士とは病院内の医療機器を操作・点検するために作られた医療職の中ではわりと新しい資格です。主な業務な血液透析、心臓カテーテル検査・治療(PCI、ペースメーカー、アブレーションなど)、心臓手術時の人工心肺の操作、院内のあらゆる医療機器の保守点検(管理)を行う資格です。最近で救急領域や集中治療領域に従事する人も増えて院内でのニーズは私が入職した10数年前よりも増してきているのを感じます。資格の取得方法は3年制の専門学校か4年制の大学で医学・工学の勉強をし、国家試験に合格すると臨床工学技士になることができます。

私が専門としている人工心肺業務はざっくりいうと心臓の手術中に心臓を停止させた時の心臓と肺の機能を代行する装置を操作することです。臨床工学技士の中で人工心肺を専門に行う人を人工心肺技士(Perfusionist)といいます。私がperfusionistを目指したきっかけはある医療職の雑誌で『私の仕事は心臓をとめることです』というフレーズで掲載されていたperfusionistの特集を見てからです。専門学校卒業後に札幌の病院に就職しましたが、その病院は年間の人工心肺件数が30例程度だったので、もっと症例数をこなしているところで修行したいと思い、東京の府中にある榊原記念病院に就職しました。ご存知の方もいるかもしれませんが、榊原記念病院は年間の心臓手術件数は日本一の症例数を誇り、人工心肺の件数も年間1000例以上と国内ではダントツの症例数でした。また、榊原記念病院は心臓専門の病院であり、循環器を勉強したいというやる気のあるスタッフが多く非常に活気がありました。もちろん日本一の症例数をこなすだけあり、ゴッドハンドと言われる先生も多く、手術もみんなが執刀医に息を合わせるようなまさに『阿吽の呼吸』で質の高い手術が日々行われていました。。私自身はというと最初はうまくできるわけもなく、先輩、他科の先輩、麻酔科医、心臓外血管外科医、ありとあらゆる人に動くたびに怒られていたような気がします。怒られすぎて円形脱毛症になったこともありました。しかし、心臓血管外科医に信頼されるperfusionistになりたいという思いは誰にも負けないようにしようと思っていました。その時から約10年経ち、私自身が成長できたかどうかは別として未だに向上心は衰えず、日々の業務に励んでいます。

長々と書きましたが、北原先生からリクエストのあったperfusionistからみるいい心臓血管外科医、悪い心臓血管外科医についてですが、まず悪い心臓血管外科医については私が批評できる立場にないので回答は控えさせていただきます。確実に言えるのは尊敬している心臓血管外科医は榊原記念病院でも一緒に働いていましたが、東京ベイ・浦安市川医療センターの心臓血管外科部長です。私が個人的に思う(偉そうにすいません。)いい外科医についてはざっくりいうと手術が上手い先生だと思います。外科医の先生はこれに尽きると思います。しかし、この回答ではざっくりしすぎなので、あくまでテクニカルなことは外科医ではないのでわからないというのが前提でお話しますと、榊原記念病院の時からたくさんの一流の心臓血管外科の先生をみてきて感じたのは、手術が上手な先生は手術している時の姿勢がものすごくいいです。体に芯が通っているかのように頭の位置があまり動かず、手だけが動いているようなそんなイメージです。手元を早く動かしている訳ではないのに手術が早いというか無駄がなく洗練されています。もう一つはこれはなかなか口ではいい表すことは難しいですが、『空気感』だと思います。その人が入ってきただけで手術室の空気がガラッと変わるような一種のオーラ的な空気を纏(まと)っている先生は一流の先生に共通していると思います。

最後になりますが、ニーズに合った記事が書けたかどうかは別として私自身は海外のperfusionist事情に興味があるので、北原先生には世界のperfusionist情報も盛り込んでもらいながらブログを発信していただけるのを楽しみにしていますし、世界のperfusionistに負けないように『No pump No life』の精神で頑張っていこうと思います!!!

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