シカゴでの留学生活 シカゴ大学循環器内科 客員研究員 藤野剛雄

2019-01-07

初めまして。2018年8月よりシカゴ大学循環器内科に留学中の藤野剛雄と申します。北原先生とはシカゴを去られる前に一度だけお会いし、その縁でこのような機会をいただきました。私の留学の経緯と現在の状況について書かせていただきます。

私はもともと九州大学循環器内科に所属し、留学前は大学病院で重症心不全・補助人工心臓・心臓移植の内科管理が仕事の中心でした。病棟・外来業務に追われる毎日でしたが、ある日医局長から「ステップアップのために留学してみては」と打診され、そこから話が進んで現在に至ります。

そもそも「留学」という人生計画が無い中でそのような話になり、留学に際し大きな障壁がありました。というのも、福岡市内にマイホームを購入した直後の打診でした(ありがちな話です)。子供も小学校を転校したばかりで、家族で相談を重ねた結果、単身で渡米することにしました。また、貯金もマイホーム購入で使ったばかりで、アメリカの自分の生活費+日本の家族の生活費+住宅ローンという苦しい懐事情になりました。さらに仕事に関しては、日本の多くの病院と同様、私の職場も慢性的な人手不足に悩まされている中で自分が抜けること、また自分を信頼してくれていた患者さんたちの主治医を交代することの申し訳ない気持ちもありました。

そのような状況で本当に行くべきか悩みましたが、最終的にはせっかくいただいたチャンスを生かすことに決めました。決断を後押しして下さった病院スタッフの皆様や患者さんたち、また何より理解しサポートを続けてくれる家族には心より感謝しています。

シカゴ大学循環器内科の心不全グループは、補助人工心臓や心臓移植の分野で世界的に知名度が高く、私も留学前から面識があり、その流れで留学を受けいれていただきました。現在はこちらで主に臨床研究に携わっています。日本にいる時より時間の余裕もあり、日常生活も楽しんでいます。シカゴはアメリカ有数の大都会です。アメリカらしい田舎町でのんびり過ごす留学にも憧れますが、一人で住むにはやはり都会が便利で、イベントや見どころも多く楽しいかなと個人的には思っています。

これから留学を希望しておられる先生方に、こちらに来て自分が感じたことを述べて終わりたいと思います。まず、留学を希望するなら早めから準備をしておくべきです。お金も重要ですし、家族のタイミングもあります。また留学に際し助成金の申請をしますが、年齢制限などもあり、チャンスがあれば早めに考えた方が良いと思います。また、家族がいる方はぜひ一緒に行くべきです。アメリカ社会は家族を大切にする文化であると感じますし、子供や家族のためのイベントも多くあります。何より、異国の地で暮らすという経験を家族で共有できることは素晴らしいと思います。また英語は日本で勉強して来た方が良いです。こちらに来てしまえば少しずつ上達するでしょうが、もし初めからもっと英語が喋れればスムーズだったのにと思うことがよくあります。最後に、留学の目標を明確に持ってほしいと思います。私も留学前に、「留学を通して自分がどういう形で社会に貢献できるかよく考えろ」と言われました。まさにその通りで、留学の目標は何か、何を学ぶのか、それをどうやって社会に還元するのか、よく考えてほしいと思います。

留学の期間は限られており研究もどこまで出来るか分かりませんが、異文化の中で日々新たな発見のある時間は非常に貴重と感じます。自分もこれからも毎日を有意義に、シカゴでの生活を楽しみたいと思います。

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