テレフォンショッキング vol.4

2017-07-13

皆さんはじめまして,日本医大の廣本敦之(ひろもと あつし)と申します.
先日の高橋賢一朗先生のブログに書いてあった,AATSのfellowship programの一環であるJames L Cox fellowship of atrial fibrillation Surgeryに参加する機会を得て,4月から今月末までWest Virginia Universityにて研修を行うことが出来ました.
最初,Pittsburgh Universityに行く予定であったところを,mentorであるDr Badhwarが施設を移ることになり,そのまま私の研修先も変更になった,という経緯です.
正直,West Virginia州という州の名前すら知りませんでした.大学はMorgantownという町にありますが,勿論聞いたこともありません.ベビーカーでの移動をせがむ2歳の娘含めて家族4人,日曜日にPittsburgh空港からバスに乗って2時間かけてMorgantownに辿りつき,借りておいた家具付きアパート(短期滞在の場合には絶対にこれが良い・・・はず)に入れた時はさすがに疲れが一気に襲ってきました.
研修ですが,勿論毎日Af手術ばっかりやっている訳ではありません.しかしlone Afに対するMaze手術も含めて毎週のように手術症例があり,見学することが出来ました.高橋先生のブログには手洗いさせて貰えるかも?みたいなことが書いてありましたが,最初に大学の事務局から送付されてきたVISAの書類に“NO PATIENT CARE”と明記されていましたので,手洗いについては無理でした.しかし,外からじっくり見てメモを取りながら見学するのも非常に勉強になるものです.
最初に衝撃的だったのは,基本的にMazeⅣ手術±僧帽弁手術は当施設ではDa Vinciを用いて手術が行われていました.この3か月で胸骨正中切開下でのMaze手術は数例のみでした.マイク越しに突然,“Atsushi,・・・・・・・・”とコメントが入ります.マイク越しの英語は基本的に聞き取るのが難しいうえに早口なので苦労しましたが,日本から来た一介の見学生に手術の際に毎回必ずコメントをくれる親切さを有難く感じました.Cryoprobeだけで焼灼時間はtotal20分,左心耳閉鎖は左心房の内腔側から縫合閉鎖,今まで経験したことのないものでした.そして,MICSの場合は大部分が手術室抜管!!!! 自分にとってはあまりに衝撃的でした.その他,とにかく手術を見ているのが面白くて,毎日手術見学をしていました.Mitraclip,Tendyneという心拍動下に心尖部から挿入する人工僧帽弁など,革新的なことも手掛けておられ,USA医療の進歩を見せつけられた感がありました.
あと,こちらのphysician assistantの優秀さを見せつけられました.術後管理は彼らがどんどん介入して進められて行きますし,手術室抜管しなくても翌日の朝までには殆どの症例が抜管されてnasal酸素だけでカテコラミンも切れていることが多い.日本で僕がやってきたことと一体何が違うのか・・・と戸惑いながらの3か月でした.
留学の仕方としては比較的珍しいものかもしれません.しかし,USA心臓外科医療とはこういうものだ!と見せつけられた3か月であり,非常にinspirationに富んだものでした.
最後に,日本人の力を見せつけられた3か月でもありました.まず村下貴志先生がこちらで働いておられます.非常にお世話になりました.ご家族にもお会いでき,色々と良くして頂きました.
カフェテリアで働いている僕の両親と同年代の方や,留学生の窓口となるofficeで働いている方にも巡りあうことが出来ました.その他,数人の国際結婚されている日本人女性にも会うことが出来ましたし,全く知らなかった小さな町でもこれだけの日本人が活躍していることを知りました.

もう少し若い時に来ておきたかった,,,とも思いましたが,とにかく貴重な経験が出来たことは間違いありません.私の日本のボスである新田教授,そしてBadhwar教授に感謝して本稿を終えたいと思います.

次回のゲストは東京大学の内藤先生です。よろしくお願いします。

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