みなさんはじめまして、加久雄史と申します。北原先生からのご紹介で投稿させていただきます。私自身、留学を意識し始めたときから何度となく「若手心臓外科医の会」の情報を参考にしてきたので、少しでも参考になればと思い書きました。
私は卒後9年目にあたる2016年1月に渡米し、ヒューストンにあるTexas Heart Institute(THI)で1年半研修し、それからシカゴにあるNorthwestern Memorial Hospitalに移り現在に至ってます。ポジションはどちらもフェローです。
THIはDr. Cooleyが創設した機関で、数々の歴史的手術が行われてきた施設です。コネや伝手はなかったため、有名施設にメールを送り唯一返事が返ってきたのがTHIでした。THIの入っているSt. Luke HospitalはBaylor college of medicineの基幹病院でもあり、数多くの心臓大血管手術が行われております。私が所属していたTHIの一般心臓血管外科部門は、Private Practiceのためか、症例の5割強は単独CABG、3割がAVRといった内容でした。手術は日に1-2例に入り、pump on中はアテンディングがほぼ自ら行いますが、PAがいなかったためあとは一人で開閉胸やグラフト採取をする、といった具合でした。なので物足りないところもありましたが、それでも数多くの症例に入り学ぶことは多いと思います。またTHIはフェローの数が多いため(6-7人)、割と入りやすいプログラムかもしれません。給料は年50000ドル弱でした。
2017年7月からはシカゴのNorthwestern Memorial Hospitalに移りました。研修に関しては若手心臓外科医の会で池上先生が書かれている内容とほぼ同じです。近年はそれに加え、TAVR、Transplant&MCSの症例が増加しており、TAVRは週6件、移植はだいたい週1件ペース、VADやMCSも週に数件あり、学ぶ内容は多岐にわたります。またそれぞれのアテンディングも教育熱心で、私の下手な英語相手にも手間を惜しまず指導してくれます。フェローのポジションは2枠あり、期間は1-2年、給料は年80000ドルです。
写真はTexas Heart Instituteのものです。心臓移植が始まって間もない頃、世界中から外科医が見学に押し寄せていた時代の写真のようです。真ん中で執刀しているのはDr. Cooleyでしょうか。清潔も不潔もないような状態ですが外科医の熱意が伝わってくる一枚です。
コメントはまだありません