卒後8年という期間の中で幸運にも偉大なsurgeon達に恵まれ非常に多く学ぶことができています。
外科医にはmentorが必要といわれます。私のmentorであるDr. Marcekはポーランド出身の元々小児心臓外科の先生です。ハンブルクに移りオペに手洗いで入るようになって一番に私を買ってくれたのは彼でした。上級医会議では何度も私の手術修練に関して意見を言ってくれ、私が第一助手につけるよう尽力してくれました。
術中は決して怒鳴ることなく、いつもアシスタント、麻酔医、直介ナース、心肺技師に「ありがとう」と一人一人にいって手をおろします。常にウィットのとんだジョークをはさみ人を和ませいい気持ちにさせてくれます。手術手技だけでなく、術者ひいては一人の人間として彼からは今までも多くのことを学ばせてもらいました。
来年以降のローテーションプランについて定年の近い彼に今日ようやく意を決して相談しました。
専門医を取得するためにはこちらで改めてローテーションが課されます。そのため来年一月以降しばらく手術室で彼に教えを乞うことは難しくなります。私に会うといつも「次はいつ手術室にくるんだい?」と気にかけてくれます。なんとかポンコツの私を一人前に育てようとしてくれている彼は相談後、しょんぼりと「残念だ」と言ってくれました。来年10月には定年退職の予定だと今日改めて話してくれました。残り一年でも短すぎるのに彼からは後2か月ほどしか学ぶことはできないと思うと本当に悲しい気持ちになります。
それでも「Shihoは頑張り屋さんだし、手も動く。もっといろいろ教えてあげたい」といつものように言ってくれました。ハンブルクにうつって間もないころ、不安定な留学という立場、不安定な自分の手術手技、どれをとっても自信を持てずにいました。しかし彼の言葉に励まされ、彼の思いが心を動かし、何とか最近余裕が持てるようになりました。Dr. Marcekに感謝し彼との残り少ない手術室での日々、しっかり学び吸収したいと思います。
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