おそらく厄日であったであろう手術

2018-05-11
  1. ある日、バイパス、大動脈弁置換術後の再大動脈弁置換、大動脈置換をする手術がありました。チーフとの3週間ぶりくらいの手術でしたが、なぜかその日はご機嫌で「これはこういう風にするんだぜ」とか、「ヒロ、この前はありがとな」とか、なんか優しめでした。僕は人の優しさは基本的に疑ってかかる体質であるため、逆に不安な気持ちでいっぱいでした。その後、タオルクリップで人工心肺のチューブに穴があいたり、途中で「ちょっと俺のほうから縫わせてみ」と言って縫った針をいきなりダメにしたり、「これは俺のスティッチが原因で血でてるから俺の方からリペアースティッチかけるわ」といってさらに出血させてたりしてしました。最後にはチーフお得意のクランピー(冠動脈へのAirなどが原因で右室の動きが悪くなっているような人に対して、大動脈を遮断して心臓からの拍出を全部冠動脈に流し込むという荒技、大好物)により大動脈の人工血管につないだ静脈グラフトから鬼のように出血しだし、「ファック」と言っていました。いつものチーフだな、と思いなんだか安心しました。手術うまい人でもこういう日あるんだな、と思いながら手術は終わりました。

 

 

北原 大翔先生(m3.comアゴラでコラム、MediGateで週刊北原を連載中)への質問はこちらまで↓

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