36 僕とシカゴとロボット手術

2018-05-14

はじめまして、奈良県で消化器外科医をしている愛須(あいす)といいます。このブログでちょくちょく登場する平井先生の義理の弟にあたるご縁で、太田先生と北原先生にはシカゴの学会の際に一度お食事をごちそうになりました(ありがとうございました。抜群においしいステーキでした)。チームWADA初の消化器外科医ということでブログを書かせていただきます。

 

 

シカゴに行ったのはSSO, Surgical Society of Oncology という学会のポスター発表のためで、なぜこの学会だったかというとシカゴに奥さんのお兄さん(平井先生)一家がいるからでした。学会と言えば仕事も休めますし、病院からも少しばかりお金も支給されます。正直どんな学会なのか知らないまま行きましたが、そこそこな学会だったのかなと思います。日本の学会でいうと内視鏡外科学会くらいの規模かな?うまく例えれてるかどうか・・・。とにかくシカゴに行けたことで嫁ポイントもかなり稼げましたし、いとこ同士のふれあいもできましたし、楽しい一週間でした。

 

 

下心満々な初の海外学会でしたが、かなり刺激を受けました。まずは定番ですが、自分の英語力のなさ。甥っ子たちの間ではアイスのおじさんで定着している僕なので、会えばいつもアイスを買ってあげることにしています。シカゴでも買ってやろうと店の外でメニューを見ていたら店員に何やら言われたました。早く注文しろということかなと思って店に入ろうとしたところ、甥っ子に「closed って言ってたよー?」と制止されました。「あ、あぁ、そうやんなー(汗)」と返して、開けかけたドアを静かに閉じました。本気で英会話を勉強し直そうと思った出来事でした(涙)。

 

 

あとは学会会場でポスターや講演(リスニングは×)を聞いていても、内容レベルは日本の学会となんら変わらないなと。日本人も英語さえできたら全然世界で通用すると感じたことは大きかったです。とはいってもやはり言葉の壁は大きいもので、、。今まで何度かトライしては頓挫したものの、甥っ子の件と合わせて今回ばかりは真面目に取り組もうと決意しました。

太田先生、北原先生、平井先生がアメリカを舞台に活躍されておられることは本当にすごいことだと思います。同じ舞台に立てるように勉強しなおそうと思います。

 

 

シカゴの話はこのくらいにして、せっかく消化器外科医ですので消化器外科領域のロボット手術について書こうと思います。よく勘違いされておられる方が多いんですが、ロボット手術とは言ってもロボットが全自動で手術をするわけではありません。あくまで操作するのは僕たち外科医です。その動きに忠実に再現して、患者さんの臓器を切った貼ったしてくれるのがロボットになります。

 

 

こんな感じ↓

https://www.intuitivesurgical.com/company/media/images/systems-si/da_Vinci_action_024003%205x7_150dpi.jpg

 

 

ロボットという言葉が独り歩きしてるんでしょうね。僕の中でのロボットといえばガンダムなんでまだ操作する感があるんですが、もう少し年上だと鉄腕アトム的な完全自立のロボットになるのかなと勝手に考えています。あくまで今の所の主体は外科医です。ただ最近のA.Iの進歩はすごいもので、もうすこしすればアトム的な全自動ロボットが手術をしてるなんていう時代が来るんだろうなと感じています。そうなる前に僕は外科医を引退しようと思います笑。

 

 

僕が最初にロボット手術(da Vinci)に出会ったのは研修医1年目のときの学会会場でした。デモ機を操作して技術の高さに感動したことを覚えています。まだ手術も全くできないくせに生意気なんですが、絶対にロボット手術の時代が来ると感じました。それからロボットの話題になるたびに上司の先生に「ロボットは導入しないのか、ロボットはいつから始めるのか」とせっついたおかげかどうかはわかりませんが、うちの病院でも2016年からロボット胃切除を始めています。この4月からは消化器領域でもロボット手術がようやく保険適応(色々な施設条件はある)になって、僕たちは幸先良くスタートが切れそうです。ただ保険適応とはいっても保険点数は今までの腹腔鏡手術と同じ(!?)です。ロボット一台数億円、鉗子一個に数万〜数十万円の世界ですからとてもじゃないけど病院の利益は出ないんでしょうね。まだまだ下っ端の僕はお金のことなんか何も気にせず手術をしていますが、、。

 

 

胃切除に関して言えば、現在主流の腹腔鏡手術でも十分にきれいで低侵襲な手術が可能だと思います。腹腔鏡での胃切除はもはや完成された形と言ってもいいです。今のところロボット手術も手術のクオリティーで言えば腹腔鏡とおんなじもんだと思います。もちろん両方とも術者は選びますが。ただ腹腔鏡手術は伸びしろという意味ではここから飛躍的に進歩を遂げることは難しいんですが、その点ロボット手術は道具、器具、技術も含めて全てが進化し続けます。僕も何例か執刀してまだストレスのある部分は多いんですが、やはりロボット手術には今後の可能性を強く感じています。北原先生のブログにも登場するように心臓外科領域でもロボット手術が盛んと伺いましたので、お互いの領域で更に発展していくことを願っております。

 

 

写真は学会会場で嬉しがって撮ったものです。

シワがつきにくいと聞いて高い布ポスターを折りたたんで持っていきました。

全然しわしわになりました。たぶん会場で一番しわしわでした。

今後ポスターは会場での印刷サービスを頼もうと思います。

コメントはまだありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です