七転び八起記 番外編その3 ~對馬海峡 シカゴ一本釣り~

2018-07-13

ご無沙汰しております。「忘れた頃にやってくる」でおなじみの對馬です。5月いっぱい、シカゴ大学で留学させていただいており、その際はお目苦しい絵日記をこちらのブログで披露させていただいておりました。それが終わってから一ヶ月以上も経ってしまいましたが、今回はそんなシカゴ大学留学のまとめを書かせていただきたいと思います。

 

今回の留学で学んだこと、感じたことはたくさんありますが、3つに絞ってお伝えしたいと思います。1つめは、会社設立の意義について。2つめは、まだまだ死にたくないということ。3つめは、心臓外科医の先生方はきっとエリクサーが使えるということです。

 

1つめの「会社設立の意義」についてですが、まず今回の留学の最初に太田先生と北原先生に与えられたDutyの中に会社設立の注意点について調べて報告する、というものがありました。というのも、お二人のなかで「チームWADA」という会社を設立することで「チームWADA」という団体をより公的なものにしたい、という思いがあったからです。しかしむやみに会社を設立し、何か落とし穴(例えば毎年べらぼうな費用がかかるなど)があったら困るから調べてほしい、とのことでした。そうして日本の会社法について調べた結果、結論としては会社というのは商売を有利に進めるために設立するものである、というまあ当然と言えば当然のものになりました。

現在の会社法では、四種類の会社が定義されていて、それぞれ設立の際に6万円~24万円程度の費用がかかり、それに加えて司法書士さんなどに相談する際に費用がかかり、また年に7万円の法人住民税を納める必要があるようです。その他、社会保険に加入することなどの義務が課せられています。また株式会社の場合は毎年の決算公告(これにも6万円程度かかる)、2年ごとの代表取締役の交代、株主総会を開くことなどの義務が生じます。そして何より、いずれの会社でも設立の際に、役所にしっかりとした事業目的を報告しなければなりません。(まあこれについては、ぼくの友人などでも起業できている事実を鑑みれば、建前でもしっかりしたものを作れればクリアできるのでしょう。)こういったさまざまなデメリットの代わりに得られるメリットとして最も大きなものは、やはり安い税率でしょう。会社を設立せず自分で事業を行った場合は、毎年所得税がかかってきますが、会社で事業を行う場合は、毎年法人税がかかってきます。これらの違いから、利益がある一定額を超えると会社で事業を行う方がより安い税率で済むようになってくるわけです。この他にも、個人事業主の青色申告などの話も調べましたが、まとめて言えば会社法は商売を有利に進めるために設立できるように定められているということです。なので、先生たちのように「チームWADA」という団体をより公的なものにしたい、ということでしたら「チームWADA」で名刺を作るのが最も近道だろうと考えました。なぜなら実際に会社を作ろうが作るまいが、わざわざ会社として「チームWADA」の登録があるかどうかなど調べる人は、少なくとも今の段階ではいないだろうと思うからです。それなら、「チームWADA」で名刺を作り、事業を始めたと言って配るだけでも十分ではないでしょうか。

 

2つめの「まだまだ死にたくない」という件ですが、これは留学中盤で経験した、帰宅途中に暴漢に襲われた一件で感じたことです。簡単におさらいさせていただくと、ぼくが図書館で勉強した後、歩いて帰宅していたところ、三人の黒人に腕をつかまれ、バッグやらポケットやらを全て調べられ、スマホ、タブレット、腕時計、現金が盗まれてしまった、というものです。このとき、ぼくはその黒人らが刃物やら拳銃やら持っていたらどうしよう、ぼくはアメフト部だったし身体がデカいからと言っても戦って勝てる人数じゃないし、そしたら死ぬのかなあ、などと考え、生まれて初めて「まだまだ死にたくない」と感じました。ぼくは小さい頃から世間一般よりはおそらく裕福な家庭で育ち、食事が十分に取れないとか、家に反社会的な人達が押しかけるなどの経験をすることは無かったので、自分自身のリアルな死を感じることなく生きてきました。そのため、将来親孝行はしたいし、何か成し遂げたいなあ、とぼんやり考えつつも、交通事故などで命を落としてしまっても仕方が無いし、そういった不運なことは人を選ばず降ってくるものだろう、などと、今考えればかなり消極的な姿勢でおりました。しかし、今回のような事件を通じてリアルな死の危険に直面することで、今の自分ではまだまだ死ねない、死にたくない、もっと毎日を積極的に生きよう、もっと楽しもうと考えるようになりました。あー、怖かった。

 

3つめは「心臓外科医の先生方はきっとエリクサーが使える」ですが、これについてはいろいろと前提としてお話しておくべきことがあるでしょう。まず「エリクサー」というのは今の20代~30代くらい(ひょっとしてこのブログの読者のみなさまの大多数でしょうか)の世代の一部で流行した、「ファイナルファンタジー」というロールプレイングゲーム内で登場する、特効薬のようなアイテムになります。このゲームのストーリーは、簡単に言えば、「世界を闇に落とそうとしている魔王、悪魔とその下僕たちを倒して世界に光を取り戻す。」といったもので、その過程でさまざまな敵と戦うことになるのですが、「エリクサー」というアイテムは敵との戦闘で受けたあらゆるダメージを全回復する超強力なアイテムなのです。そんなアイテムがあれば、どんな敵も簡単に倒せそう!と思いきや、このアイテムはとてもレアなのであまりポンポン使っていると最後の敵である魔王と戦うときに無くなってしまい、使えなくなるという唯一のデメリットがあります。ぼくはこのデメリットを気にして、なるべく「エリクサー」を使わないでも戦闘で勝てるようにレベル上げなどの下準備を入念に行ってから敵との戦闘に挑むタイプでした。一方で同じゲームをしていたぼくの兄は、そこまで下準備をせずピンチの時は積極的に「エリクサー」を使っておりました。そんな兄を見て後先考えてないのかな、などと感じたものです。(実はこの話は以前にどこかで読んだネット記事の受け売りに近くなってしまうのですが、とても共感するところがあったので紹介させていただきました。)

さて、ここまで書き連ねて何が言いたかったのかと言いますと、今回の留学でお会いした心臓外科医の先生方のパーソナリティは、みなさま少なからず「エリクサーが使える」方たちだろうなあと感じたということです。月並みな言葉に直せば、いざという時に思い切れる、考えすぎず見切り発車でやっていける、とりあえず行動してみて後から考える、といったところでしょうか。一方でぼく自身がどんな人間かと振り返ってみれば、なるべく「エリクサー」を使わないで済むように入念に下準備を重ねる、言ってみれば石橋をたたきにたたいて渡る(ときどき石橋たたいているうちに面倒になって渡らないことすらある)人間性だと感じています。そういったパーソナリティの違いを感じられたのか、今回お会いした先生方からも、ぼくは心臓外科医に向いていないんじゃないかという空気を感じました。それじゃあ自分は心臓外科医の道に行かないのか、入念に考えるのが好きなら内科系に行くのか、それとも齢26にしてこれから自分の悪い癖を修正していくのか、といったことついて内省しながら、帰国後過ごしていたらこの留学まとめを書くのもこんなに遅れてしまった次第です。嘘です。記事の投稿が遅れたことについては単純に実習などで忙しかったのを言い訳に先延ばし続けてきしまっただけです。ゴメンナサイ。。。

実は7月11日12日とチームWADAの会長でもいらっしゃる和田先生が研修をされている手稲渓仁会病院という病院にお邪魔してきました。和田先生はブログで拝見していた通りとてもパワーのあるお方で、そしてとても後輩思いなお方でしたので、今回の病院見学をとてもエンジョイすることができました。そんな和田先生やその他の先生方とお話している中で、上に書いたようなことについて自分なりの考えが固まったような気がいたしましたので、今回やっと投稿させていただいた次第です。いえ、やっぱり嘘です。単純に先延ばししていただけです。

ぼくの兄は某総合商社に勤めているのですが、何年か前までは新入社員として採用するのは体育会系のノリの良い野郎ばっかりだったそうですが、最近は統計や英語、プログラミングなど(うろ覚え)を身に着けている人材も採用し始めているとのことです。このように時代が移り変わっていくに連れて、必要とされる人間も移り変わっていくのが必然と言えば必然だと思います。(まあそもそも時代の移り変わり云々の前に、例えばアメフト部で培ったアメフトの技術など社会に出てから何にも役に立ちそうにないですし、部活を通じて培われているだろう「ノリ」や、引いては「リーダーシップ」「協調性」というのが、あんまり社会では役に立っていないパターンが最近は多いだけなのかもしれませんが、それはさておき。)これと同じように、心臓外科医や他の診療科の医師として活躍される医師の方々の医師像というものも移り変わっていきうるものだと思います。

ということで結論としては、将来の心臓外科医としてどのような人間が必要となるのかわからないですし、自分の興味だってどのように移り変わっていくのかわかったものじゃないので、自分のパーソナリティを変えようなどと無駄な努力をせず、今まで通り心の赴くままに進みたい道に進もうと思います。(あれっ、手稲渓仁会病院での見学あんまり関係無かったかもしれない。。。)(でも和田先生のような年代の近い先生とお話することでこのままで良いのだと感じたのは確かです。)(見学楽しかったです。ありがとうございました。)

 

 今回の留学で得たものはもっともっとたくさんあるのですが、4つ5つと続けても長くて読む人もいないと思うのでここまでにさせていただきます。総じて、今回の留学ではいろんな意味で大変貴重な経験をさせていただきました。本当に楽しかったですし、自分も将来アメリカで働けたらマジかっけぇなと思いました。今回の留学を実現させてくださった太田先生、北原先生を始め、東京大学の縄田先生、名西先生、麻田先生、櫻井先生、コロンビア大学の中先生、高山先生、武田先生、その他の方々にこの場を借りて謝意を述べたいと思います。大変お世話になりました。ありがとうございました。ぜひまた将来、留学のチャンスがございましたら、お力お貸しいただければ幸いです。またぼくの今回の経験が次の学生さんに活かせることができれば幸いです。もし質問等あったら、このアドレス(ys.g.tsushima[あっとまーく]gmail.com)までメールいただければと思います。

2件のコメント

  • OTA 2018-07-14 at 5:04 AM

    お疲れ様でした。私はエリクサーは大事な時に備えすぎて全く使い(使え)ませんでした。まあ、御守りみたいなもんです。

    • YASU 2018-07-14 at 8:12 PM

      コメントありがとうございます。ぼくも基本的にエリクサーを使わない生き方をしたいと思います(そもそも持ってないですけども)。

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