オーストラリア臨床留学

2016-12-27

今年(2016年)の4月からオーストラリアのブリスベンで研修をしている月岡祐介と申します。今回は現在の病院についての概略を書かせて頂きます。

現在働いているThe Prince Charles Hospitalはクイーンズランド州の基幹病院で、同州で唯一、心・肺移植を行っている病院です。年間の開心術は約1500例(成人のみ、小児なし)、心移植は年間20~30例(オーストラリア全体で年間90~100例)。オペ室は4室(心臓3・肺1)。

必要だった資格は、IELTS(全ての項目で7以上)と外科専門医でした。AMC examinationというオーストラリアの国家試験もありますが、Registrarという立場で働く上では、その試験は必要ではありません。ちなみに、ニュージーランドのIELTS要件は(スピーキングとリスニングが7.5以上、ライティングとリーディングが7.0)です。

ポジションの呼称がややこしく、申し込みの際に非常にわかりにくかったので、これからクイーンズランド州で働きたい方のためにポジションについて簡単に説明します。https://www.health.qld.gov.au/employment/work-for-us/clinical/medical/career-structure

まずは、若い順から、Intern(1年目)、Junior House Officer(JHO, 2年目)、Senior House Officer(SHO, 3年目以降)となり、これらはまとめてResident House Officer(RMO)とカテゴライズされます。通称”resident”と呼ばれる人達です。病棟業務を一手に引き受けます。カルテ記載、採血・画像のオーダー、病院間連携をやってくれます。この段階ではまだ専攻は決まっておらず、心臓外科に進みたい人は論文を書いたり、発表をしたり、SVGの創を積極的に閉めせてもらったりと、ポイントを稼いで次の段階(Principal House Officer)に勧めるように頑張ります。

その上のポジションがPrincipal House Officer(PHO)です。多くの場合、日本からの臨床留学で得られるポジションはこのポジションになります。基本業務は、朝の回診(6時半位から)、日中のオペ室業務or外来or電話当番、夕方の回診。こまごまとした指示出しはレジデントに口頭でお願いすればやってもらえます。当院の場合、当直はなく、自宅待機です。例えば病棟の患者さんがAfになった場合、病棟の夜間担当のレジデントから電話がかかってくるので、電話で指示を出します。急変時は急いで病院に向かいます。到着するまでICUや救急医が対応してくれます。

PHOと同じ業務を行うのが、Registrarです。PHOとの違いは、オーストラリアの心臓外科トレーニングプログラム(SET)に乗っていることです。将来コンサルタントになる候補生たちです。このプログラムに乗るのが非常に難しく、オーストラリア全体で年間5~6人です。これに乗ってしまえば、6年間で一人前になれるように症例が割り当てられます。

PHOとRegistrarは混同してどちらもRegistrarと呼ばれます。私は、現段階でトレーニングプログラムに乗っていないのでPHOのポジションのはずですが、病院との契約はSenior Registrarというポジションで、州からもRegistrarの給料が支払われています。給料は手取りで1,000万円くらいです。週休2日、且つ、年間5週間の有給付きですので待遇は良いと思います。当院には約10人のRegistrar・PHOがいます。

晴れてトレーニングプログラムを終了し、試験に合格した人が得ることのできるのが、Consultantというポジションです。部長的な立場で、RegistrarやRMOを従えて、チームのトップとして医療を行います。オペ室も割り当てられ、自分の裁量で手術を行います。収入は跳ね上がるようです。当院には約10人のコンサルタントがおり、その下に、私たちregistrarが10週間おきにローテートします。

以上、簡単に説明させて頂きました。

質問などある方は遠慮なくおっしゃって下さい。

 

7件のコメント

  • NK 2018-11-23 at 5:48 PM

    はじめまして、現在医学科5年生のNKです。

    僕も海外で医師として働きたく思っています。

    月岡先生はサブスペシャルティの専門医まで日本で取ってからオーストラリアへ渡ったのでしょうか?

    • 月岡 祐介 2018-11-25 at 5:03 PM

      そうですね。2015年に心臓外科専門医をとって、2016年から渡りました。専門医をとったのちに海外で経験を積んでいる医師の事をフェローと呼ぶのですが、外科医のオーストラリア・ニュージーランド留学に関していえば、ある程度経験を積んでからのほうがいいような気がします。

      • NK 2018-12-12 at 1:45 AM

        返事ありがとうございます!
        その方向で海外挑戦(オーストラリアかカナダか)を考えているのでがんばります!

  • 虎党 2018-04-29 at 2:27 PM

    突然失礼します。
    オーストラリアで医師として働きたいと考えている外科医です。
    外科専門医は持っているののですが、
    IELTSも突破できたとして、病院はどのように探したのでしょうか?

    • 月岡 祐介 2018-04-29 at 6:15 PM

      どうも初めまして。コメントありがとうございます。私は、各病院のコンサルタントをホームページでチェックし、彼らの連絡先をPubmedやLinkedInなどで調べてメールしました。また、各州のホームページ内にも公式な募集が出ていますので「cardiothoracic surgery, registrar」などと打ち込んで検索することもできます(https://smartjobs.qld.gov.au/jobtools/jncustomsearch.searchResults)。

      • 虎党 2018-04-29 at 8:03 PM

        返信ありがとうございます。
        凄く参考になりました。
        IELTSを突破し、僕もregistrarとして働けるように頑張りたいと思います。
        またもしかしたらコメント欄から質問させていただくかもしれません。

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