ある日、冠動脈バイパスがありました。
器械出しはスーパーオペナースのアグネス。チーフの症例ではなかったので、プレッシャーもなくウキウキしていました(僕も)。内胸動脈をとってると暇になったのか意気揚々と話しかけてきました。
「ヒロ、ごめんね。プレートガール、彼氏がいるみたいなの。インタビューしたら教えてくれたわ」
オーマイガットです。その後もアグネスは話し続けます
「私頑張ってヒロのガールフレンド見つけるわ。ほらあの麻酔科の子とかどう?あ、それともジョシー(なんか威圧感のあるおばさま)はどう?彼女シングルよ、アハハ」と自分で言ったことに自分で笑いだしなぜか「もう変なこと言わないでよ」みたいな感じで僕をどついてきました。
「ちょちょ、ドント タッチ ミー 、内胸とってるから。ドント タッチ ミー」
「ヒーロ、アハハハ」
となぜかツボにはまったみたいでジョシーを僕にすすめたことに爆笑し続けていました。その後、ジョシーが話をうっすら聞いていたのか
「私彼氏いるわよ」
と言うと
「ヒロ、ジョシーも彼氏いるからダメだって、アハハハ」と僕の肩をバンバン叩いて笑ってきました。
「ちょ、ドントタッチミー、ドントタッチミー、プリーズ」
「ヒロ、アハハハ」
もう最後の方は僕のドント タッチ ミーにハマってる感じでした。なんでも面白いスイッチが入っていたみたいです。内胸とってるときにどつかないで、と思いましたが、その想いはなんでも面白い状態の人には届きませんでした。おかげで失恋のショックはやや和らぎました。
ちなみに手術終盤、聞いてもいないのに麻酔科のレジデントが、私も彼氏いるわよ、と言ってきました。手術は終わりました。
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