ニューヨークにあるMontefiore Medical Centerの杉浦唯久と申します。北原先生よりJAYCS留学ブログへの寄稿のお話を頂きましたので、私の勤めるMontefiore Medical Centerをご紹介したいと思います。

まずは自己紹介ですが、私は、2003年に東京女子医大に入局しました。2013年から女子医大の元上司のラボがあるThe Ohio State Universityで、3年間Vascular Tissue engineeringのリサーチをし、この間にUSMLEをパス。2016年からTexas Heart InstituteのLVAD/Transplant Fellowを2年間行いました。2018年からMontefiore Medical CenterのMinimally Invasive Fellowをしています。

Montefiore Medical CenterはNew York市Bronx区にあるAlbert Einstein College of MedicineのUniversity Hospitalです。BronxにはMontefioreと名の付く病院がたくさんあり、Bronxやその北のWestchesterでは幅を利かせています。しかし、Manhattanの人にMontefioreと言っても、「どこそれ？」といった感じであまり知られていません。

Bronxは、あまり治安が良くないことで有名で、ニューヨークの地球の歩き方にも、「旅行者が行くとすれば下記の3つくらい（ヤンキースタジアム、ブロンクス・ズー、ニューヨーク植物園）。それ以外の場所をむやみに歩き回らないこと。」と書かれており、Bronx全部で1ページだけにまとめられています。（病院周辺や私が住んでいる地域は、それほど治安は悪くありません）

MontefioreのCardiothoracic Surgeryは2つの病院で手術を行っており、Moses Campus (Montefiore Hospital)でLVAD、Transplantを、もう一つのEinstein Campus (Weiler Hospital)でMinimally Invasive Surgeryを行っています。CardiacのAttendingはMoses Campusに4人、Einstein Campusに2人です。2つの病院を合わせたCardiac Surgeryの症例数は、年間約1000例ほどで、約40%がCABG、20%がValveの症例で、Aortaの症例はあまり多くありません。Heart Transplantが年間40-50例、Lung Transplantは2017年からプログラムが立ち上がり、2018年は約30例、LVADは年間30-40例、TAVRが100-120例程度行われています。今年から、Structural Heart ProgramのInterventional Cardiologistのチーフが変わり、TAVR、MitraClip等の症例が増えています。

正規Fellowは、2年間のプログラムで各学年2人、計4人とSuper fellowが例年1人です（Super FellowはMinimally InvasiveかTransplantのどちらかで、その年によってどちらの採用があるかは異なります）。Montefioreの特色として、Cardiothoracic Surgery所属のPAが23人もおり、彼女/彼たちが病棟管理、SVG採取、閉胸のアシスタント、当直などをこなしてくれます。

私がやっているMinimally Invasive Super Fellowの業務内容は、TAVRとRobotic CABGに優先して手洗い、Mini AVR、Mini MVR等の手洗い、CABGはほぼ術者側から執刀と、ほぼ毎日のProcurement（HeartとLungの両方)とECMOのオンコールです。ECMOのオンコールでは、院内症例だけでなく、よその病院に行ってECMOのCannulationをし、患者をMontefioreに搬送することもあります。ICUの患者はICU intensivistと共同で管理し、週1の外来で、主に術後患者のフォローをしています。週末のオンコールはだいたい隔週です。TransplantのSuper Fellowの場合、TAVR、Robotic、MICSの代わりに、LVAD/Transplantの症例に入ることになると思います。

大きなプログラムではありませんが、Bronxの中核病院といった感じで、ファミリー的な雰囲気でやっています。